香川市民劇場例会感想文集

2008年4月例会劇団民藝 林の中のナポリ
感想文ロビ−交流会
 4月4日「林の中のナポリ」の終演後、会場ロ
ビ−で出演者を囲んで交流会を行いました。芝居
の感動冷めやらぬ中大勢の会員の参加で大盛況で
した。参加した会員が、出演者の登場を今か今か
と待ち受ける中、まずタクシ−運転手役の有安多
佳子さんが大きな拍手を受けながら登場し、長谷
川さん(ひなげしサ−クル)の司会で交流会が始
まりました。
有安さんが自己紹介をかねてお話しているうちに、
ペンションの主人役伊藤孝雄さん、妻役の日色と
もゑさん、宿泊客の樫山文枝さんが次々に登場し、
役者の皆さんのお話や会員の感想や質問などが出
され、短い時間でしたが楽しい交流会が行われま
した。参加した会員は満足そうな顔で帰路に着き
ました。

◎色々と考えさせられる劇だった。
 出演者の確かな演技が動きの中にも落ち着いて、
しっとりとした舞台を作り上げていたと思う。
まず、演技者がそれぞれの役柄・キャラを演じ切
っていた。樫山文枝の悠揚迫らぬ演技は変わらぬ
存在感を示し、伊藤孝雄は、これまでの主な役柄
もそうだが、過去に起因する鬱々として内向する
性格が外面に現れて不興を買っているのを何とか
繕おうとする葛藤を表現していて演技が際立って
いた。日色ともゑはペンションを切り盛りする女
丈夫の役柄をよく表していた。
 だが何よりもこの劇の現在的意味は高齢者の生
き様を問うたことだと思う。その選択について、
樫山文枝は虚実入り混じった稽古談で煙に巻くか
のように振る舞ったが、言外に相当の苦渋のそれ
であったことも示唆したように思う。この点が強
く伝わってきた。
 ただ、彼女と日色ともゑの抱擁の最後の場面が
それぞれの旅立ち、何者にも束縛されない自由へ
の決意かと考えられたが、日色側の事情はわかり
にくい感じがした。とはいえ、後で思い返すとい
ろいろと考えさせられる劇だった。テ−マの重さ
と達者な演技の故で、劇の趣旨は十分生かされて
いたと思われる。      そてつ 岡田尚三


◎「林の中のナポリ」という表題を率直に理解し
ようと努めたが、それは雪の降りしきる夜から初
夏のさわやかな緑の風に至る8日間の流れをどう
納得させるかという時間の共有でもあった。山田
太一の脚本はいつもテ−マは明晰であり、理論先
行型の筋書きと台詞であり、感覚の自然さをあえ
て避けているので、どうしても出演者に適役を得
ないと舞台そのものは立派だが、人工的に、ある
いは人為的になると思われる。つまり俳優がいか
にベテランでも舞台は成功しないのであり、そう
いうぎりぎりの所で勝負しているところに魅力が
あると思う。樫山のかの子は名演なのだが、やは
り適役とはいい難い。第二幕で四人の女子大生が
やってきて、おしゃべりしたり、中地が日色の直
子とからんでいる室内の状況を見つめる窓際の樫
山のまなざしばかりを目で追っている私は、ああ、
名演技だな、と嘆息しつつも、かの子は樫山の役
ではないと思った。初演の南風洋子をみたかった
と改めて思った。小野寺の伊藤は好演、適役であ
り、しかし、初演とはどう変えたのか、樫山と日
色の入れ替えにどう応じたか、強くそれを知りた
い。       バ−コット 70代以上男性