感想文
◎”好演・熱演とメッセ−ジ溢れる劇に感動”
今回の公演も、スト−リ−の運びといい、出演
者の演技といい、すばらしいもので、演出等のス
タッフにも感謝したいと思う。
まず、開演直後からの、敗戦後の旧華族一家の
没落の描写のリアルなこと、また、GHQとのか
かわりの中から日本国憲法の骨格部分が浮き彫り
にされてくるプロセスには息を呑み、目を瞠った。
ほとんど予備知識なしに観ただけに、劇の展開
が余計に「劇」的に思われ、娯楽性とメッセ−ジ
の発信がうまく調和し、最後の三田和代の憲法条
文の朗読場面が蛇足だったことを除けば、ジェ−
ムス三木の「真珠の首飾り」(当劇上で観た)、
同テレビドラマ「憲法はまだか」および最近の大
沢豊監督の映画「日本の青空」などと通じる良質
の骨太さを痛感したのだった。
そてつ 60代男性
◎「グレイクリスマス」
これは期待していた別人による新陣容の今日的
な再演である。ほぼ期待通りのものといいたい所
だが、私には複雑な思いが残った。いうまでもな
く戦後史の光と影を分かりやすく描いた見事な脚
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本であり、演ずる役者側もやり甲斐のある役ばか
りでが、大切なのは多人数のアンサンブルが成功
することである。それは戦後状況の日本側、GH
Q側の、それぞれ内部での対立という前半、それ
が後半ではモ−ツアルトの下降音階のように悲劇
に落ちて行くことへの、人生の流れが登場人物そ
れぞれの描出に刻まれる必要があるからです。そ
うでなければ悲しみを乗り越える憲法条項の三田
による決意の朗唱、あるいはバラ−ドの朗詠が生
きないと思うのです。
私はこの戦後史を二十歳前後に体験した世代で、
ブギウギもパンパンも物不足も進駐軍もレッドパ
−ジも公職追放とその解除も実感としてすべて知
っている世代なので、ステ−ジの熱演は讃えたい
が、どこか不自然で人工的な印象を持ちました。
具体的に個々のことはここで指摘する必要がない
と思います。
辛口になったことは許してください。三田のさ
いごの朗唱をききながら、朝鮮戦争の特需を思い、
拉致一つ解決すべき道をみいだしえない今日を思
い、PKO参加とか東アジア諸国の軍事力強化の
現状を思い、憲法のもつ歴史的な宿命を改めて思
い、落涙なしに三田の立ち姿をみつめることはで
きませんでした。 バ−コット 70代以上男性
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