香川市民劇場例会感想文集

2010年5月例会劇団青年座 赤シャツ
感想文独自の人物像を演出して感銘を受ける!
 題名からして興味をそそられたが、期待に違わ
ず見応えのある舞台だった。その期待は、勿論、
この劇があの「坊ちゃん」に題材を採っているこ
とによっていたし、実際に、観劇中も頭の片隅で
ことに気付いた。しかし後で振り返ってみて、「
坊ちゃん」の筋と照らし合わせたり比べているこ
とに気付いた。しかし、後で振り返ってみて、「
坊ちゃん」の原作に捕らわれ過ぎるとこの劇の言
いたいことやよさを見逃すのではないかと思えて
きた。というのも、「美しい顔をして人を陥れる
ようなハイカラ野郎の、ペテン師の、イカサマ師
の、猫被りの、家具師の、モモンガ−の、岡っ引
きの、ワンワン鳴けば犬も同然な奴」とまで酷評
された赤シャツについて、うらなりの破談・追放
劇を仕掛けたのは彼ではかなったこと、徴兵忌避
者で内心非難・平和を望んでいたことと、自分の
性格に満足せず実は坊ちゃんや山嵐のように気丈
に振舞いたい本心であったこと等想定外の彼なり
の吐露され、坊ちゃんより深みのある人物像を知
ることになったからである。この劇は、決して「
坊ちゃん」の後日譚、赤シャツの別の一面等では
なく、独立した物語であり、立派な一つの構成劇
と言えよう。
ともあれ、先入観に引きずられると全体を見損な
うと自戒したことだった。なお、今回も演出、出
演者(特に主人公と「ウシ」)に感心したが、う
らなりの声が広い会場の故か、聞き取り難かった
のは悔やまれる。     そてつ 60代男性

◎市民劇場に加入して25年程たちますが、今ま
で一度も感想など送ることをしませんでしたが、
今回の芝居のようなものをこれからも多く観たい
と思い書きました。
 赤シャツの立場から物事を考えると、まるで現
代のどこにでもある問題になってしまいます。
八方美人的な優しさが、理解されず割の合わない
結末になるなど赤シャツの苦悩に共感してしまい
ました。
ほろにがいユ−モアたっぷりの芝居に笑と同情と
いう矛盾した気持ちが後に残り、久しぶりによい
演劇に出会ったこと、感謝したしました。
        グレ−プフル−ツ 60代女性
久方ぶりに完成度の高い舞台に接した。
全幅の拍手を送る。
 まず、役者の一人がよい。それぞれの役割を身
につけていて、自然観がある。テ−マも人間の機
敏、人間のつよさ、弱さを体現して漱石世界の伏
流水を見事に描ききっている。演出もまあテ−マ
に応じて、悲喜劇のありようを追跡している。
つまり、よろこびとかなしみの裏表性がリアルに
納得されるのである。回転する大道具の舞台、そ
のデザインも鮮やかで舞台を安定させていた。
ロシア兵の登場も当時の時代背景や松山の姿を暗
示させ、明治という時代背景を体感させた。
個人的なことだが、私は松山に行けば、あのロシ
ア人墓地を訪れるのを常としている。それにして
も、百年後の日本人の心を心配して予言した赤シ
ャツの、すばらしい大団円のお顔の演技、その百
年後の現在、適中したとみる私のかなしみは深い。
         バ−コット 70代以上男性

◎今回も前回も役者の声が小さく聞き取れなく面
白くありませんでした。マイクをつけてほしいで
す。         つつじ 70代以上女性

◎先日の例会「赤シャツ」本当にあっという間の
2時間50分でした。ということは、すばらしか
ったということでしょうか。
 三人揃って赤シャツを買ってしまいました。
ありがとうございます。     木曜会 女性

◎いや〜面白かった。楽しかった。
夏目漱石の「坊ちゃん」を赤シャツの目から見る
とこうも変わるものかとおかしくもあった。登場
人物も内容もほとんど一緒なのに全く違って見え
てくる。
 イヤミで気障な赤シャツは、気が弱く周りに気
遣いしすぎて誤解を受ける優しい男となり、無鉄
砲で一直線に走る坊ちゃんも人の意見も聞かず周
りの見えないバカな男に見えてしまう。
 一方的な情報で判断し、ものごとを決め付けて
しまうことはよくあること、今も変わらない。
 赤シャツの悩み、対立を嫌い何とかその場を納
めようとする気持ちも分かるな〜。役者も好演で、
特にウシさんの存在が楽しませてくれた。
                 60代男性