感想文
◎お芝居に引き込まれていきました。夫婦愛の深
さ、夫婦の信頼、時代の背景があり、現代に少し
ない様に思えます。
俳優の方々がとてもじょうずに演じていました。
私達、老年にとっても、とても良いお芝居だっ
たと思います。客席では、よかった、よかったと
口々に言っていました。
うまく言えませんが、とても良かったと思いま
した。 スイトピー 60代女性
◎時代劇で人情味あふれた舞台を久しぶりに見ら
れた気がします。上下関係の厳しい江戸時代の独
特の常識と、それに翻弄された親子のその後がと
れもドラマチックに表現されていました。
仇討ちから帰還後の夫婦や関係者。主人公に進
言する老人のセリフにとても重みがあり、演技力
にも感心しました。後半の仇討ちに関する真相が
露見する場面や「あなどまい」に言及した会話に
も聞き入らずにはいられませんでした。喜劇的な
要素も盛り込んであって、とても楽しく観賞でき
ました。少し場面転換が多く、登場人物も相当数
だったためにストーリーの理解が困難だったのが
惜しまれるが、役者が一人二役をこなすなど配慮
されていたのでやむを得ないと思う。伝統ある劇
団ならではの公演で、会話(セリフ)のテンポも
軽快で受けつがれてきた技量などが確かなもので
あったことがよくわかるステージでした。
うたかた 40代男性
◎心にひたひたと沁み入る舞台でした。嵐広也さ
ん(嵐芳三郎さん)は大ファンですが、正直言っ
て、それほど期待していませんでした。すみませ
ん。しかし、実際に見てみたら、言い知れない感
動を味わいました。前半で、話の展開はだいたい
分かったので、休憩後、後半2時間近くも、いっ
たい何があるのだろうと思っていたら、人生を当
たり前に重ねていくことのすごさがゆっくりと伝
わってきました。
歩く歩幅だけ、重みがじんわりとくる舞台だと
思います。60代になって、もう一度このお芝居
を見たら、違った感動を味わう自分がいるのかと
思いました。 ひばり 40代女性
◎「あなまどい」は何から何まで、前進座らしい
テーマ、演出、演技であった。体制と人間、制度
と人間のありよう。人はどう生きるのか。どう生
きれば人間であることを証明できるのか。関蔵も
喜代もその証言者の立ち位置にある。嵐も浜名も
その役を好演した。私は「子午線の祀り」時の名
優ぶり以来、嵐の演技力と存在感をみつめてきた
が、今回の演技は円熟度は抜群で、その成長と熟
成に脱帽した。これは適役だったことにも因るの
であろうが、関蔵そのものであった
また、他の配役も座員一同、すべて自分の役割
を果たし、集団演技をわきまえ、それぞれ、いわ
ば独奏者の力をもちながら、与えられたオーケス
トラの一員として、どんな位置にいてもその役割
を全うするという形を今回も実感した。芳三郎、
姉川や針谷、藤川、西川、村田その他、みなさん
にそれを感じた。藤川、武井の二役もまた効率性
のためにその役を果たしている。
座の味付けや匂いは他の劇団にはみられない。長
い歴史と伝統を感じた。疑問のひとつは「あなま
どい」の説明のための場面、止むを得ないとはい
え、あれはなんとかならないかと思った。
バーコット 70代以上男性
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◎よく参加できるようになって三年目かと思いま
すが、今までの中で、いちばん感動しました。
原作者の乙川優三郎の視点のたしかさと、前進
座の姿勢によるものではありましょうが、平伏を
しなければならない立場と強い立場のものも、仇
討ちに人生の大半をかけねばならないものと、追
われる者も、同じ人間ではないか、身分や制度、
立場をこえて、人間はみな同じという大きなとら
え方に、かなしみを越えた安らぎををおぼえまし
た。
嵐圭史さんのファンのひとりとして忘れられな
い舞台となりました。 ? 70代以上女性
◎江戸時代の物語とはいえ、現代の社会にも通じ
るテーマが横たわっていると私は感じる。
なんら身分制度という名はついていないが実質
的にはいまだにまかり通っている。正社員という
バッジがあれば、安泰であり非正規雇用者は人生
の底辺をさまよう階層であるという世相。責任の
なすりあいをして批判をし、下にみる対象がない
と不安に思う日本人。父、久作も位の上で生活し
ているから気づかない歪みから出てくるボタンの
掛け違いで命を落とすことになる。
そして身分制度、武家の掟に縛られ関蔵も敵討
ちの旅に出る。
ところでバッジを手に入れた人達の勝利の定義
とは一体何なのか?それは、高価な物を揃えて隣
の人の羨む目に程よく酔いつつ、ルーチン作業の
如く済ませる労働をして極力責任のかからない生
活を手に入れることが勝利条件なのか。これが高
度経済成長の目指した目標なのか。
人々が貧乏な時というのは量的な拡大によって
幸せという満足度が満たされていた。政治方針と
しても人々をまとめて、進んでいくには絶好の目
標であることに間違いはない。そして必要なもの
が揃った時、次の幸せは人それぞれの価値観によ
る部分が大きくなってくる。いわゆる「何をもっ
て幸せと感じるか」だ。
しかし、政治家や官僚に対して私達が幸せにし
てくれるように他人に期待をする。幸福とは人に
決められることではなく、自分で決めるものでは
ないのか。そして幸福になるために、何をしなけ
ればならないのか、どういうことをしなければな
らないのか。自分で考えて行動する。
関蔵は敵討ちの旅底辺の生活を味わい、足りた生
活から何も無いところへ落ちる。落差のギャップ
により気づいた本当の生活。生き方。それに気づ
いたから敵討ちを終えてから故郷へ帰っても、甥
に跡目を継がせて自分は家を出て江戸へと旅たっ
たのではないか。責任をとらず、人任せなのが分
かっていて安心できてから、はじめてその人に格
好だけ悪口をいって自己満足できればいい、物が
溢れた時代の国民よりも江戸時代に生きた関蔵の
方が豊かである。
そしてやさしさはあるが謹厳さで命を落とした父
親を越え、人を許すというテーマを含みつつ。
ビックアート 30代男性
◎しっかりした舞台を堪能
いつの時代にも通用する人情の温かさに改めて
気付かされた。筋の運びも、最後の最後がやや冗
長に過ぎたのを除けばスムーズで、演技者の所作
も発生も確かで手堅く、この座の伝統の良さを表
していると思われた。特に主人公の関蔵と悪役の
栄之助の顔の表情が手に取るように分かり、生の
演技の迫力を感じられたのは嬉しい。また、効果
的な音楽も忘れられない。
これまでもこれからも「年に一度は前進座を!」
そてつ 60代男性
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