香川市民劇場例会感想文集

2011年7月例会 前進座公演 さんしょう太夫
感想文
◎ここでは三つのことを述べる。
 第一は演技といい、台本といい、見事な出来と
いうべきで、感銘を受けた。
 第二は外の作品でわれわれには、なじみがあっ
た。山椒大夫が近代化された、いわば改ざんされ
たものであり、もとは説教師たちの語りであり唄
いであったもの、そして筋立てもかなり荒々しく
リアルであり、また、奇跡をふくむこと、そこに
民衆の心が反映したものであったことである。
 そこで第三に、舞台化することの困難を私は感
じた。つまり、これは言葉と唄いや素朴な楽器に
よる音を通じて心に描く、想像の芸術ではないか、
伝説的手法によるものではないか、ということで
ある。
 私は演技者が唄いながら過ぎ行く時間が惜しま
れ、一度の観たままでは味わえないと残念に思っ
た。       バーコット 70代以上男性

◎説経節とはもう何十年も前に森鴎外の「山椒大
夫」を読んだ記憶がある。そのときの印象と今回
の筋立てはかなり違っていたので戸惑ってしまっ
た。これが第一印象である。
説経節とやらの類似しているものはテレビなどで
も見聞きするが、舞台で実際に拝見するのは初め
てで興味は尽きなかった。
 出だしから着物に文字が浮き出てこれから始ま
る怨念?におどろおどろらしいものを予感させる
が、前場ではそれほどでもないが後段の部分はい
ささか閉口した。特に父親を竹製の鋸で首を落と
させるなどは、語り物としては良いが実際に見せ
られるとドキッとさせられてしまった。
 「山椒大夫」ではこんなところは無かったがと
考えてみると、大正時代に書かれたという時代背
景もあったかなとも思う。一般民衆の抑圧されて
いた時代には、このような残酷な復讐の在り方が
喝采を浴びて語り継がれ来たのだろうか。
 ともあれ音楽、語り、群唱?唱?どれもが舞台
とあいまって素晴らしい効果を挙げていたのには
感心するばかりだった。出ずっぱりのあんじゅと
づし王の声も乱れずよく通り話の筋がわかるのに、
さんしょう太夫の声がいまひとつはっきり聞き取
れなかったのが残念。奴や婢が入れ替わり立ち替
わり出てくるがいずれも上手で見飽きなかった。
 最後にまた最初の出だしのような文字が着物に
浮かび上がり現代の物語でないことを分からせて
くれてほっとした。
最後に舞台挨拶があればと思いましたが・・・。
 なかなかこのような公演に出会うことは無いの
で長く心に残ると思いながら帰路についた一日だ
った。        説教師 70代以上男性
◎「さんしょう大夫」の物語についてこれまで持
っていたイメージが覆される新鮮な解釈に度肝を
抜かれた。もはや、生き別れた親子の苦難と心温
まる再会の劇ではなく、そうした人情物語の他面
での容赦のない復讐劇の、まるで正反対の道徳観
念を併せ持った物語ーーーここには現代の常識で
は測りがたい民衆の思いが込められていると思わ
れるだけでなく、当時の時代的背景を考えれば、
実際の世相の一端を表しているように考えられる。
このように、歴史的な物語を、今の感覚から少し
距離を置いてみることの大切さを、相変わらずの
手堅い、身にじわっと沁みてくるような一座の演
技によっていっそう思い知らされたような気がし
た。   そてつ

◎客席からの説教師たちの登場にはいきなりひき
こまれてしまった。
 舞台一面の梵字のような文字は不気味で不安、
どきどきだが・・・わくわくし、うれしくなって
きた。
 見慣れぬ楽器が巧みに使われ効果的であった。
(小さな金を小刻みにたたくところは、ぞくぞく
ほどだった。三郎?の心と共にこれからもおこる
だろうことへの恐怖が感じられた)
 地鳴りのように響きわたる大勢の低い声は何と
いうか?唄う?和讃?説経?腹の底にひびいた。
身震いするほどの感動があった。
 民衆の強さ、明るさ、その底に怨念があるのだ
ろうか?       ピース 70代以上女性

◎子供の頃、本を読んでいたのですが、最初と最
後がうろおぼえにおぼえていましたが、間はどの
様になっていたのか忘れていましたが、今回の鑑
賞で良くわかりました。    ドライフラワー

◎説経節による「さんしょう大夫」どんなお芝居
だろうかと思っていました。幕が上がっても舞台
に役者の登場が無いなあと思っていると、暗い客
席からの説教師たちの登場と同時に、映写された
お経の文句(?)、びっくりしました。役者の動
きが歌舞伎や踊りの形に振り付けされているよう
で素晴らしかったです。さすが、伝統と庶民のエ
ネルギーをマッチさせた前進座の舞台に拍手を送
ります。               桜の園

◎一部ショッキングなシーンがあったけれど、脚
色、演出、演者が一体化した見事なステージに圧
倒されました。
あの「さんしょう太夫」がこのように展開される
とは!芝居のすばらしさをまたもや実感しました。
                   6人会

◎丁寧な演出で感心。無駄が無い動きの展開、役
者さんの配役ぴったり、家族愛の深さと人に対す
る思いやりを見事に現わしていて、思いを深くし
ました。                扇会