その5 クリスチャン・スレーター CHRISTIAN SLATER
この映画は一見重厚で荘厳そうな雰囲気とは裏腹に、登場人物のあやしさといいオチといいなかなか笑っちまう内容のお気に入り映画なんだけど、当時、復活そして人気急上昇中のショーン・コネリーの子分、いや子分とは言わないか。弟子?の小僧、いや修行僧をやっていた小僧(やっぱり小僧か)がスレーターだったんである。 「わたくしあなたを尊敬申し上げております。どこまでもついてゆくわ」という感じにショーン・コネリー見上げながら両手を坊さん風に(だから坊さんだっつーの)あわせてにんまりと笑う少年スレーターはものすごくかわいかった。 こっ、この子かわいい!これは大物になるかも?とその時私はキラーンと目を光らせたのであった。 そして『タッカー』('88年)でも、ジェフ・ブリッジス扮する、ハチャメチャ親父をただひとり尊敬する孝行息子を演じ、スレーターはやっぱり「一生あなたについてゆきます」的な目をして親父を見つめているカワイイヤツだった。 その後、私がニラんだ通り(きっとニラんでいた人は山のようにいるだろうが)スレーターはどんどん人気を博し、『ヘザース』('89年)、『今夜はトーク・ハード』('90年)などなど、イキのいいティーンエイジャー役でスターになってゆく。 このへんのスレーターはとにかくパワー全開、若いわ、ルックスはイケてるわ、それとなんかいい子ちゃんスターとは違った、ちょっと目を離すととんでもない無茶をしそうな雰囲気がすごく良かったのだ。 この頃だっけ?「ヤング・ジャック・ニコルソン」なんて言われ始めたのは。 私生活では故・リバー・フェニックスの親友、そしてガールフレンドは当時旬の若手女優サマンサ・マシスと、あの頃のスレーターはティーンの憧れといっていいほどにイケてたよなあ。 が、しか〜し。この頃からか?額の上がり具合がかなり目立ってきたのは。あ、いやいや、予想はしていたんだけどね。このタイプはハゲるな、と。 問題は、洗顔面積が増えるのに反比例して、映画の彼がちょっとイケてなくなってきちゃったことなんである。 『告発』('95年)では(まいらぶ)ケビン・ベーコンに食われちゃったし、『ブロークン・アロー』('96年)でも顔のでかいトラボルタに食われちゃってたし、『マンハッタン花物語』('96年)に至っては、どう見たってハゲかけたいんちきストーカーにしか見えなかったのだ。『忘れられない人』ではあんなに可愛かった彼なのに、この映画ではこいつに花を送られても、はっきり言って怖い。何故だ〜(笑) そしてとうとう記憶に新しい、逮捕&服役事件。「友達の腹を噛んだ」って一体… ムショからは出たものの、むくむくの顔、悪い評判、今の彼はどうひいき目に見ても、「顔だけジャック・ニコルソン」である。 俳優は、映画の中でいい演技をしてくれれば私生活で何をやってようがかまわないと思うのだが、スレーターは、私生活が演技に出てしまうタイプなのかもしれない。 でも、どうやら近々父親にもなるらしいし、新作映画にも出て、がんばってるようだ。 また、昔みたいなスルドイ目つきを取り戻して欲しいぞ。大好きなんだから。復活の日を目指して、がんばれスレーター。 |