その5 がんばれ『T2』のお巡りさん。
今や世界一成功した映画監督と言っても過言ではないのがジェームズ・キャメロン監督だ。 観る者を飽きさせない手腕で数々の話題作を生み出してきたキャメロンも、『タイタニック』の成功でついに映画史に残る金字塔をうち立てたというところだろう。 私個人としては、キャメロン作品では'84年の『ターミネーター』がB級っぽくてお気に入りなのだが、そういえば『ターミネーター2』('91年)も大ヒットしたSF超大作であった。 『ターミネーター』では予算不足のために起用されたとしか思えなかった今の奥さんリンダ・ハミルトンが、この映画で一気に一流女優の仲間入りを果たし、シュワルツェネッガーはシュワちゃんの呼び名を不動のもの とした。 また、『タイタニック』のヒットでレオナルド・ディカプリオが大ブレークしたが、『T2』でもリンダ・ハミルトンの 息子役だったエドワード・ファーロング君がアイドル人気を博し、一時期はCDまで出すくらいの熱狂ぶりだった(歌は、すごかったらしい…けど…)。 エディ君は、一時期ほどの熱狂ぶりはもう見られないものの、カルバン・クラインのモデルに起用されたり、最近では『グラス・ハープ』('96年)の主役をつとめるなど、コンスタントに活動を続けているようである。
彼は自由自在に姿かたちを変えられるので、銃で撃とうがカラダをバラバラにされようが、すぐに水銀のように寄り集まって瞬く間に再生してしまうのだ。 一体どうやって倒せばいいのだ!?と、映画を観ている観客は一瞬たりとも目が離せない。 がしかし、私は映画を観ている間ずっと、このT=1000型ターミネーターがお巡りさんの制服を着続けているのが異常に気になっていた。 旧型のターミネーターであるシュワちゃんと違って、彼は自由に姿を変えられるのだ。床にだってなっちゃうし、おばさんにだってなっちゃう。 そもそも、"彼"なのかどうかもよくわからない。わざわざ目立つお巡りさんの格好にならんでも、なんか他のものになりすまして待ち伏せするとかすりゃあいいのに。 でも、ぐにゃぐにゃ寄り集まって再生する彼は、なぜかいっつも最初に殺してそいつになりすました時のお巡りさん姿なのである。 映画館を出て、一緒に観に行った友達にそのことを尋ねると、彼女は少し考えたあと、「やっぱり、楽だからなんじゃない?」と答えてくれた。そうだったのか…いちいちファッションを考えるのも面倒だし、制服だったら流行関係ないしネ★サイボーグも色々と苦労があるんだね…←そうなのか? この新型ターミネーターT=1000型を演じたのはロバート・パトリックという俳優さんだ。無機質な感じ、蛇のような目つきなど、この先悪役として活躍が楽しみだなあと期待していたのだが、残念ながらどうもぱっとしないようである。 デミ・ムーア主演のトホホラジー賞映画『素顔のままで』('96年)でデミのアル中の元亭主を演じていたが、『T2』の時のあの鋭さはいったい、どこに…やっぱりお巡りさんの服着てないとダメなのかもね。 新型ターミネーター、ロバート・パトリック、いいものを持っていると思うのでがんばって生き残っていって欲しいと思う。 |