95年、『リービング・ラスベガス』でアカデミー主演男優賞をとってから 96年・97年・98年と、ここしばらくのニコラス・ケイジの活躍ぶりは目をみはるものがあります。

わたくしも『バーディ』出演当時からニコラス様のご活躍を暖かく見守っておりましたが、しかし、いかんせんニコラス・ケイジ、見た目が、ほれ、あれなんです。
あのイタリア系の濃厚な馬面・おまけにハゲときたもんだの彼に、 ヴィジュアル的に入ってゆけないという人がなかなか多いようです。
そんなことではいけない!そんな哀しい理由で、彼を嫌わないで!

というわけで、ニコラス・ケイジに馴染み、そしてあわよくば彼の大ファンになるための、克服プログラムを組んでみました。さあ、勇気を出して、ゴー!


私はニコラス・ケイジ(以下、ニコ)は「いい人で、バカ」な役のが一番良いとおもっているので、苦手な方はまずそちらから入ってみてはいかがでしょう?

  まず、『赤ちゃん泥棒』('87年)はいかがでしょうか?まだ全然ハゲてない金髪ニコが頭をボサボサにしています。かわいいです。しかも大バカです。
『アモス&アンドリュー』('93年)『月の輝く夜に』('87年)『ハネムーン・イン・ベガス』('92年) 『パラダイスの逃亡者』('94年)の彼もいい人、そしてきちんと律儀にバカです。
でもこの『パラダイス…』では、弟二人がニコに輪をかけたスーパーおばかなので、ニコのバカぶりは、少し、目立たないかもしれません。
このあたりの映画、相手役の女優さんに、ボカスカ殴られるニコ、夢のように輝いていてステキです。


いい人、バカな彼に馴染んだら、次は、そうバカでもないという役でもう一度 チェック。
いい人だけど別にそれほどバカじゃない(でも、適度にバカ度あり)というタイプのニコですと『あなたに降る夢』('94年)のぼんくらお巡りさんか、『不機嫌な赤いバラ』('94年)の、なんとシークレット・サービス なぞやっちゃってるニコなんかが良いでしょう。
ワガママ女に振り回されるニコの困った顔といったらたまりません。この二本であなたはすっかり、彼に何か無理難題を押しつけて言うことを聞いてもらいたくなるはずです。



さあ、ニコラス・ケイジ、好きになってきましたね? ここでいっちょう大まじめなすんごいいい人、の、『バーディ』('84年) に挑戦しましょう!
ニコラス扮する包帯グルグルアルフォンソはものすごいいいヤツです。あなたはきっと、
「こんないいヤツ、今まで嫌ってたなんて!私バカよね。」と後悔しきりです。 (主役のマシュー・モディンにも目がハートになります。)
ここまでくればもうオッケー、ニコラス・ケイジを克服できる日はそう遠くありません。



そろそろ佳境に入ってきました。今が一番辛いときです。でもここでもうひとふんばり。 アクション・悪役・チョイ役・しょぼい役のニコラスをマスターしましょう。

『ザ・ロック』('96年)『コン・エアー』('97年)(こ・ねあ〜と発音しよう!)『フェイス/オフ』('97年) で彼のすてきなガタイ&ロンゲに酔いしれましょう。特に『コン・エアー』では、 ニコの悩殺ウインクに公開当時失神者が続出しました。(ウソ。)
『初体験リッジモンド・ハイ』('82年)では"ニコラス・コッポラ"名前で出演(ニコはF.F.コッポラ監督の甥)。
『ランブルフィッシュ』('83年)のチョイ役ニコは、 いくらまだ髪がフサフサしているとはいえ、少々パーマのかけすぎのきらいがあるかも知れません。
『ペギー・スーの結婚』('86年)のビデオパッケージには今をときめく ジム・キャリーの名前が"ジム・カーリー"と書いてあるのも見逃せません。
『ザンダリーという女』('90年)、『スネーク・アイズ』('98年)ではセクシー胸毛をたなびかせたキレキレニコが、スクリーン狭しとばかりに思いっきりえげつない姿を披露してくれます。



さあ、最後のステップです。ここまでくればもうどんなニコが出てきたってあなたは大丈夫。
肝試しのつもりで、 『シティ・オブ・エンジェル』('98年) に挑戦してみませんか?真っ黒なコートに身を包み、至近距離からじーっと見つめてくるハゲ天使(略してハゲ天)ニコラスに、以前のあなたならば確実に
「ごめんなさい!もうしませんから天にお帰りになってぇ〜!」 と鳥肌を立てていたはず。
ところが、あら不思議、今では彼のジャングルのような胸毛に愛情さえも感じている自分がそこに。

おめでとうございます。ニコラス・ケイジ、あなたは完全に克服できたのです。
今の晴れやかな気分はいかがですか?これでお友達にも胸を張ってニコファンだと豪語できますね。
最後に、注意です。

間違っても、一番最初に『バンパイア・キッス』(キケン!)('88年)『リービング・ラスベガス』(キケン!)('95年)『死の接吻』(キケン!)('95年) 『ワイルド・アット・ハート』(超キケン!)('90年)を観るのはやめましょう。
ビジュアル的に彼に入ってゆけない人にはしょっぱなからはおすすめできません。二度と逢えなくなるかもです。
マスターの免状をとってからゆっくり鑑賞して下さい。
(でも、『死の接吻』の、ジャージの喘息野郎ニコは、一見の価値ありです。慣れるとステキ。)
それでは、HOW TO ニコラス・ケイジ、ご参考になりましたでしょうか?
このプログラムを実践することで、ひとりでも多くの方がニコのファンになって下さるよう、日夜お祈りする次第です。


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