貴陽西郊浄水場・取水場

□ODAの内容
 貴陽市の水不足を解消する

□見学場所
 @貴陽市内の住宅    A貴陽西郊上水道     B紅楓湖取水場

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■必要性
1 厳しい地理的条件
 「天に三日の晴れなし、地に三里の平地なし、民に三分の銀なし」と言われ、雨の多い貴州ですが、カルスト台地のため、水には非常に苦労したそうです。私も最初は、なぜ雨の多い貴州に浄水場なんか作るのかと思っていましたが、街を走ればわかりました。

貴陽市は土地の高低差が非常に多く、また土地には保水力がありません。ですから1995年時点で、需要量57万m3/日に対し給水能力38万m3/日しかなかったのです。今後ますます発展の急速に進む貴陽市ではますます水不足が深刻化します。

2 水のでないマンション
 貴陽市内の高台にある中級のマンションの9Fに住む張さん(女性)は1998年、6万元(80万円)でこの部屋を買ったのですが、水が出ないのでまたお母さんの家に戻っています。夜2時を過ぎると少しでるのだそうですが、それも不安定。予定では、再来年水が出るようになる予定なので、戻ってくると言っていました。実は張さんの職業は水道や電気の配管工事の会社勤務。とても皮肉な話しでした。


■施設
 取水施設・・・近くの人工湖紅楓湖から取水します
 導水施設・・・貴陽市まで25km配管します
 浄 水 場・・・処理能力40万m3/日  など

■効果
 この貴陽市にJBIC(国際協力銀行)は、1996年度、55億円(金利2.1%)で円借款を行いました。この事により、給水量は40万m3/日増加します。排水管の工事を含め、すべて終われば、貴陽市の多くの市民は水で苦しまなくてもすみます。

■問題点
1 今は処理能力の25%の供給
 左明光 総工程師によるとこの浄水場は1日に40万トンの供給量ができるが、現在は排水管の改修が終わっていないので、10万トンの供給できていないと言います。排水管の改修が終わるのはいつかという質問に左さんは、ちょっと考えた後、「今、8割ができている。来年には」と言いきりました。JBIC(国際協力銀行)の方さんによると、排水管の改修は当然町中を掘り返す必要があり、なかなか進まないのだといいます。
また、副市長さんの話によると、市庁舎は今の中心部から15kmほど離れた副都心への移転の話もあり、町中が移転してしまうと無駄になるのではないかとも思いました。

2 ちょっと贅沢すぎないか
 操作室は大変立派なものでした。会議室にすると100人は入れそうな部屋の中央にコンピュータ端末が置かれ、正面には500インチくらいの背面投影型プロジェクターがあります。コンピューター端末には、各種の情報が映し出され、浄水場各所に置かれた20以上のモニターカメラで浄水場を監視できますし、薬剤の投入などもコンピュータで完全に操作できます。
 そして、この管理室は5人で4交代。20人の人が働いていますが、子どもの見学などにも使われていない中で、これほど大きなプロジェクターが必要なのでしょうか。詳細なデーターを見る必要があるとのことでしたが、55人の職員の割には多きすぎる建物といい、すこし贅沢すぎる感じがしました

■フォロー
1 水なしでは生きていけない。
 水のない生活は、考えられません。また貧しい貴州は政府の十分な支援がなくても発展を続けなければどんどん貧しくなります。数年後、貴陽市の中心部は移転するかも知れませんが、それまでの間でも水はどうしても必要です、排水管の改修が一日も早く終わるよう、願うしかありません。

2 返済は確実
 日本の円借款の中で中国は優等生です。このプロジェクトは処理能力の25%しか稼働していませんが、採算ベースに乗っていて、返済には何も問題がないと、中国側関係者は言っています。私の缶でしかありませんが、あの雰囲気は絶対大丈夫です。 
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貴陽市は坂道の多い街です
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張さんの住むマンション
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今は、全く水のでない水道
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そこで西郊浄水場
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処理能力40万m3/日
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立派な管理棟
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広い廊下
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青い部分がプロジェクター
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ここが取水地の紅楓湖

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