![]() |
学習方法・・・得意なことは何? |
| 1999年11月1日(月)掲載 |
| 日本の学生は何が得意? ■学生は教科書を暗記する 中国の大学で、日本語教育の中心となる授業は「精読」。私たちが高校で受けた英語のリーダーと文法を組み合わせたような内容。曁南大学では1・2・3年生では週3単位(100分授業が3時間)、4年生では2単位ある。教科書として使われているのは、日本の中学高校の教科書のような内容に中国語の解説を施し、設問をつけたもの。 この教科書の内容を学生達は基本的に全部覚える。4年生になると、かなりの長文になり全員が暗唱することはできないのだが、3年生であれば、ほとんどの学生がその内容を諳んじることができる。 名張西高校にいたとき、私は国語の授業の中で、生徒に暗記させることはほとんどなかった。古典では助動詞の活用などは最近まで暗記を強いていた。しかし、古典教育の目標がその内容や主張を探ることに重点が置かれ始め、結果として大学入試センター試験を初めとする大学入試では、細かい文法の問題を問うことは大変少なくなった。 もともと、細かい文法などに気を取られるあまり、古典のおもしろさを充分に授業で伝えることができないと感じていた教師も多く、その一人であった私も、ジレンマの最大の問題であった大学入試がそういう傾向になったので、「お言葉に甘え」と言う感じで、生徒達にうるさく「ず・ぬ・・・・」などを暗記せよとは言わなくなったのだ。(ほんとうは古典文法を使いこなせるには越したことなく、また文学部を目指す生徒はこの限りではないが・・・) また、名句・名文の暗唱を指導される先生もめっきり少なくなっている。「丸暗記」受験の弊害がいろいろな方面で説かれた結果であろう。 中国の学生は暗記に強い。また、朝早くから教科書を声に出して覚えようとする姿をあちこちで見かける。学生に言わせれば、暗記は「楽」な勉強だという。小学校から続けてきた勉強方法だし、作文なんかよりずっと取り組みやすいと言う。 私が学生に「みんなの暗記力はごいね」いうと、学生は「じゃあ日本の学生の得意なことは何ですか。」と質問してきた。 「さて、なんだろう。」と自問自答してみる。今、日本の教育は「生きる力」を重要視し、多様な価値を認め、暗記力より幅広い想像力を育てようとしている。しかし、本当に創造力や独創性が養われているのだろうか。 私が「応用力かな。」と自信なく答えると、黄という学生が、「先生、私達は暗記を大事にした勉強ばかりでいいのでしょうか。」と言ってきた。 中国では受験戦争も厳しく、また知識偏重の学校教育だ。しかし、この十三億を越えるであろう人口を抱かえる中国が、高度成長を果たすにはこういう効率的な教育が必要なのかも知れない。かつての日本のように。 |