広州の風 日中学生実力チェック
1999年11月8日(月)掲載

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 11月9日付けの毎日新聞(インターネット)に「低下はホント? 記者が赤ペン手に六大学へ」と題した記事があった。大学入試センターが行った国公立大教官へのアンケートで、6割以上の教官がここ数年、新入生の論理的思考力などが落ちていると答えたのを受けて、毎日新聞の記者が聞き取り調査をしたものだ。対象は東京六大学から10名ずつの60名。質問の内容は思考力を問うものではなく、簡単なクイズのようなものだが、「曁南大学の学生はどうなのだろう」とやってみた。なお、曁南大学は約1000〜1200ある大学の中で、100校の重点大学に入っている。大学の総数は現在、私立大学が急増しているのと、地方の小規模大学の合併が急ピッチで進んでいるので、どこにきいても正確な数字はわからなかった。その中で曁南大学は入試の難しさでは全国70番目くらいかと言われている。

 対象は3年生と何人かの聴講生を含め30人。日本語を読むことはもう充分できる。「標準アクセント、ゆっくりと、できる限り標準的文法通りの語順で」と私が心の中で唱えていれば、彼らは私のしゃべる内容もほとんど理解できる。
 しかし、日本の大学生と全く同じ土俵というわけにはいかない。たとえば「信長を殺したのは?」。後期に日本史の授業があるのだが、それまでは「信長」が誰であるかも彼らは知らない。
 そこで、比較してみたのは(1)世界の人口は? (2)米国の初代大統領は? (3)「紅葉狩り」とはどういう意味? (4)「親の□、子知らず」の□に入る漢字は? (5)日本国憲法第9条の内容は? (6)日本の名作「雪国」の作者は? (7)名画「モナリザ」を描いたのは? (8)2分の1+3分の1は? ルート64は? (9)中国の国家主席は?の8つ。(別表)

 世界の人口については、60億を越えたというニュースは中国ではあまり大きく取り扱われなかったようで、中学・高校時代に覚えたという43億という数字を書いた学生が多かった。しかし、まあ自国の人口についてさえも「13億は越えてる」「いや、まだ12億5000を越えてはいないよ」というような大まかな感じでしか知らないのだから仕方ない。これは新しい情報を持っている日本の勝ち。しかし、日本の学生のように12億だの145億だの、とんでもない答えはなかった。
 米国の初代大統領は「華盛頓(ワシントン)」と、ほとんどの学生が答えられた。高校時代、学習したからという。日本でも習ったとは思うのだけど・・・。これは中国の勝ち。
 「紅葉狩り」については、実は教えたばかり。おそらく間違えた5名は、聴講生だろう。これはノーカウント。
 「親の□」は日本のことわざなので、広州の学生には大変不利だ。正解は3名だけ。この3名も「たまたま当たった」そうで、一番多かった答えは「恩」、「歳(とし)」というのも3人あった。「苦労」「恥」と間違えた日本の学生と少し雰囲気が違うような気がする。
 「憲法第9条」の内容について学生はまだ学んでいない。「戦争の放棄と交戦権の否認だよ」と言うと、「じゃあ自衛隊は何のためにあるのですか?」ときいてきた。「この問題を説明するにはとても時間がかかるから、また今度ね。」と私。
 「雪国」の作者については引き分け。しかし、誤答の中に「渡辺淳一」の名前が・・・・。広州では一昨年、「失楽園」が大ヒットした。翻訳も何種類かでた。中国で大変普及しているビデオCDでは、今でも映画版・ドラマ版ともよく見かける(翻訳もビデオCDも中国の公序良俗に反する部分はすべてカットだが)。そのせいで、有名な日本の作家ということで、渡辺淳一が出てきたのだろう。モナリザを描いたのは「達・芬奇(ダ・ビンチ)」でこれも引き分け。
 しかし、(8)の数学(算数)の問題については、中国の学生は全員正解。もうひとつ、全問正解は「中国の国家主席」の名前だった。



設問 正答率(%)
中国 日本
世界の人口は? 30.0 75.0
米国の初代大統領は? 93.3 70.0
紅葉狩りって? 83.3 73.0
「親の□、子知らず」の□は? 10.0 75.0
日本国憲法第9条の内容は? 16.7 75.0
『雪国』の作者は? 83.3 83.0
モナリザを描いたのは? 80.0 81.0
2分の1+3分の1は?、ルート64は? 100.0 98.0
中国の国家主席は? 100.0 50.0

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公園の二人

図書館前の広場で。こういう風景は日本も中国も同じ。喫茶店のようなものが少ないので、デートはもっぱらキャンパス内か公園だ。

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