広州だより 広州のテレビにでました

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1999,6,21
  もう広州は夏真っ盛り。しかも、大変蒸し暑い。おそらく湿度は常時100%ではないかと思うくらいです。暑い日は朝から30度を越えていて、簡単に35度以上の温度になります。

 ですから、日中、外に出るにはかなりの勇気が必要です。でも授業は、汗を流しながら、元気よくやっています。教室には扇風機がありますが、なま暖かい空気をかき混ぜているという感じです。文学院(部)の校舎、教学大楼は4階建てで約100の教室がありますが、各階に1つずつ視聴覚室があり、そこはクーラーがあります。私は週1回だけ使えます。前々任の森谷先生は「日本人はこんな暑いところでは授業できない。」と大学の党本部に直訴したところ、全部視聴覚室の授業になったそうです。

 しかし、外で肉体労働している人に比べれば、楽なもんです。部屋はクーラーが効いていますが、クーラーのない家も当然たくさんあります。大学の先生も、電力不足が解消される最近までは、副教授以上しかクーラーを設置することができなかったそうです。今でも若い先生の部屋には、クーラーはありません。


◆広州のTV事情

 中国のテレビ局というと中央電視台しか、ないと思いがちですが、私の部屋のTVでも10チャンネル以上あります。中央電視台が4チャンネルくらい、他広東電視台をはじめとする地方局が10くらい、香港のチャンネルも2チャンネル。「くらい」というのは日と時間によって映ったり映らなかったりしますし、あまりTVを観ていないので、よく分からないのです。

 他のチャンネルではTVショッピング専用のチャンネルもあり、静電気で誇りを吸い取るハタキや、低温でも凍らないエンジンオイル、痩せる運動器具、それに豊胸の薬なんかをTVショッピングしています。

 香港のチャンネル、ワールドとパールは広州では人気があるそうです。大陸と香港では、はやはり香港の方が洗練されていますから、当然です。

 そして、なんとワールドとパールでは日曜日に、約1時間半、日本語の番組があるのです。1週間分のニュース(NNNウィークリーマガジン)と、4・5年前日本で放送された「所さんの目がテン」、そして「ふたりっ子」。「ふたりっ子」は週に2話なので、私たちが帰国するまでに終わらないのではないかと不安です。
 どうもこのNNNウィークリーマガジンは世界で放送されているようです。プレゼントコーナーで、「今月の当選者はドイツにお住まいの・・・」とか「リオデジャネイロにお住まいの・・・」とか「南極昭和基地にお住まいの・・・」と言っていますから。

 しかし、香港のこの2チャンネルは、時々、省当局がチェックパターンに切り替えます。中国共産党に都合の悪いニュースや情報をカットするのです。この前の6月4日、つまり天安門事件10年目の日なんかは、ニュース番組はずっとカットされていました。

 他のチャンネルもふくめ、内容は日本のテレビとそんなに変わりません。マンガは圧倒的に日本製が多いです。懐かしい「マッハGOGOGO」や「タイムボカン」から「ポケットモンスター」「ちびまる子ちゃん」もやっています。

 時代劇もかなり頻繁にやっています。日本が江戸時代の水戸黄門とか暴れん坊将軍とか好きなように、清朝の物語が多いようです。時間帯にかかわらず、必ず弁髪の人々が現れる時代劇をやっています。外国人から見れば日本のテレビもそんな感じでしょう。

 それと抗日戦争のもの。丸い眼鏡をかけた日本兵が「はっ、はっ」と返事して、きびきびとヒーロ・ヒロインを虐待しています。私としてはどうしてアヘン戦争のことをドラマ化しないかと、思います。悪役のイギリス人を演じる人がいないのが原因かも知れません。こんな番組も「日本人は悪い人たち」とイメージを強くさせるのでしょう。



◆テレビに出る

 6月6日、広東電視台の取材を受けました。広東電視台は衛星放送を含め、いくつかのチャンネルを持っている広州最大のテレビ局です。
 私たちが出るのはいろいろな国を紹介する番組の中の「広州の外国人(外国人在広州(ワイゴーレン ズァィ ゴンチョワ)」というコーナーです。8〜9分くらい。

 人気があるらしく、専家楼の従業員のお姉さんたちは「知ってる、知ってる。有名だよ。みんなで見るよ。」と言っています。

 取材には5人の人が来ました。陳さんという人が中心で、曁南大学英語科出身の人が中国語から英語の通訳としてきたのですが、窓口となった外事処羅さんが、心細く思ったのか通訳としてきてくれました。

 テレビ局の注文としては、私の仕事振り、食事のようす、子ども達の勉強と遊んでいる様子という普段の生活振りを収録させて欲しいとのことでした。

 まず、私のインタービュー。続いて私の仕事、授業の様子は諸事情で取ることができませんでしたので、学生2人に来てもらって、私の部屋で指導。卒論の添削なんかの様子も収録。続いて、女房のインタビュー。インタビューといっても、その時渡された質問に一方的に答えるのです。

 そして、食事。女房共々、頭を悩ませた結果、天ぷらと手巻き寿司に。昼御飯にこんなものを食べたことはないのですが、まあ、特別に。天ぷらは調理の様子も。手巻き寿司のネタは、ジャスコで買ってきたサーモンと鰻、キュウリ、薄焼き卵、そして非常に高価なため、今回初めて買うことになったシーチキンの缶詰(ジャスコで35元)など。

 食事の途中で「ごちそうさま」して、図書館前の公園へ。ここで明之と侑香、お得意の一輪車を披露。また例のごとく、ギャラリーも集まってきます。一輪車は中国ではすごい「技」なのです。

 約3時間の撮影を終え、5人のスタッフは帰っていきました。でも5人のうち働いていたのはチーフの陳さんと通訳の人だけだったんですが・・・。そして密かに期待していた珠江台グッズはくれませんでした。日本のテレビなら何かくれるのに・・・・。



◆そして放映

 それから2週間。6月20日の私の誕生日に放映されました。3つのコーナーに編集されていました。「お父さんのお仕事。」「私たち(子ども3人)の勉強と遊び」「私たちの生活」と言う内容で約9分。私と妻のインタビューは吹き替えで、しかも広東語。「ヤポン(日本)」という単語しかわかりません。どんな風に訳しているか、心配でなりません。

 放映中、日本人学校の中国語の先生、楊先生が「今、あなた達がテレビに出ているから早く見なさい」と電話をくれました。放映後、週2回行く牛乳屋のおじさんが「見たよ、見たよ。」と女房に言って、周りの人に「この奥さん(太太)は昨日テレビに出たんだよ。」と大騒ぎしてくれたそうです。散髪屋のお姉さんも見たようでした。
 学生たちは、寮にTVがないので、「先生、どうだった、どうだった。」と言う感じ。ビデオを見せてやることにしました。

 しかし、反響は今ひとつ。日曜8時のゴールデンタイムなので、他に見ている人はあまりいなかったのでしょう。
 日本人学校の先生や子どもの友達の一部は子どもたちを通じて、放送のあることを知っていたのですが、住んでいる高級ホテルは、日本の衛星放送(NHKワールドとwowwow)は入るのですが、珠江TVは映らないとのことで(どうなってるんや)、「残念だった。」とのことでした。
TV1 TV2
カメラはSONY
陳さん(珠江TV)と羅さん(外事処)

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