広州だより  どうして日本人だとわかるの?            2000.6.18

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 先日、留学生とこんな話をしました。
 「ボクはシンガポール人。英語は得意なんです。日本訛だけど・・・」
 「私は印尼(インドネシア)」
 「私も印尼、先生は?」
 「最初の頃は、少数民族って言ってた。でも、今は仕方ないから日本人。まあ、それで嫌な目にあったら仕方ないでしょ。日本人なんだらから・・・」
 「さすが、公務員!」

 これは、「中国で何人だと訊かれたときどう答えるか。」と言う会話です。残念ですが、まだまだ中国では「日本人」と答えると、嫌な目に可能性があるのです。私は、タクシーを無理矢理引きずりおろされただけですが、いろいろ嫌な思いをしている人もいます。そしてなにより、「日本人は金持ち」というイメージ。「値段は交渉」の中国にあって自らを日本人と名乗ることは「高く売ってね」という感じに近い。

 実は先週まで西安に一人で遊びに行っていました。2泊3日。大観光地ですから商魂たくましい。中国の学生からも「先生、気をつけてね。日本人とばれると絶対安くしてくれないからね。」と厳重な注意を何度も受けました。そして西安へ。

 貴重品の入った鞄を食堂に忘れる、乾燥地帯であることを忘れ水を飲まなかったために苦しくなるといったトラブルもありましたが、だいたいが親切な中国人に助けられ、無事に帰ってきました。鞄はちゃんと食堂の人が保管してくれて、服務員のお姉ちゃんが神様に見えました。

 さて、その旅行中、何度か、店の人に「日本語」で話しかけられました。その度に「どうして日本人だとわかったの?」と訊きました。ではその実際を・・・

【兵馬俑博物館で】
兵馬俑ミニチュア店のおばちゃん:安い、安いね。250元!(日本語)
私:高いで〜す。さっき、同じの3元。あなたはなぜ高い?(中国語)
おばちゃん:安い、安いね。50元!(日本語)
私:高いで〜す。さっき、同じの3元。(中国語)
おばちゃん:安い、安いね。??元(日本語)!
私:あんたの日本語下手です。私、わかりましぇ〜ん(中国語)(周りの人は大笑い)
おばちゃん:25元(ここから中国語)
私:私何度も言いま〜す。さっき3元。なぜ、あなたの店は25元ですか?
おばちゃん:じゃあ3.5元
私:いりません。もう少しいいのが欲しいです

(以降長くなるので中略、結局少しいいのを18元で買いました)

私:なぜ、あなたは私が日本人とわかりましたか?
おばちゃん:お前、さっきあの店の前で「こんにちは」の声で振り返っただろう。だから、わかった。

 そういえば、さっき、「こんにちは」と声をかけてきた店のおやじがいました。そのおやじは「Hallo!」とも言ってましたし「アンニヨン・・・・」と、韓国語でも言っていました。私は「こんにちは」に思わず条件反射で振り返ったのですが、それをこのおばちゃんはちゃんとチェックしていたのです。

【始皇帝陵下の飲料水売り】
おじちゃん:これ、みかん、これ、りんご、全部10元。(日本語、売っているのはジュースです)
私:高いよ。5元、いいですか?。(中国語)
おじちゃん:いいよ。じゃあ5元。(中国語)
私:なぜ、あなた、なぜ私が日本人とわかりましたか?(中国語) 
おじちゃん:ここには、日本人と韓国人しか来ない。中国人は少ないんだ。俺は日本語しか知らないからね。やっぱりお前は日本人か。はい、2本で10元。運転手にも買ってやれよ。(中国語)

そうか、始皇帝陵は中国人には人気がないのか。そういえば観光客少なかったなぁ。

【大雁塔の書・絵画展(実は即売)】
おねえちゃん(30歳くらい):これは有名な・・・・・・(中国語。聞き取れません)
私:見てるだけですから・・・
おねえちゃん:これは鍾馗です。ご存じですね。作者は・・・・・・
私:うん、うん(うなずく)
おねえちゃん:李白は西安の西、・・・・・・・・・・・・・・。いいでしょう?
私:うん、うん(うなずく)
おねえちゃん:日本人ですか(急に日本語)
私:えっ、なんでわかりましたか。
おねえちゃん:日本人はすぐうん、うんとうなずきます。(中国語)

そうだったのか!
このお姉ちゃんは今、商売のために日本語を勉強しているとかで、「これは楊貴妃です」「これは4枚で1セットです。」「もう少しお安くできます」「いいえ、これ以上お安くはできません」などという日本語を小一時間、教えさせられました。この時、脱水状態で、早くホテルで休みたかったのですが教師の悲しい性です。

【同じく大雁塔の国営土産物店】
私:この本、いくらですか?(中国語)
おねえちゃん(10代):150元(日本語)
私:50元なら買う。(中国語)
おねえちゃん:100元。(中国語)
私:じゃあ、いらない。
おねえちゃん:80元。(中国語)
私:いらない、さようなら。
お姉ちゃんの同僚のおばちゃん達:(おねえちゃんに)50元にしておきなよ。
おねえちゃん:50元!(中国語)
私:50元、よろしい。なぜ、日本人とわかりましたか。
おねえちゃん:だって、これ日本語の本でしょう。(中国語)

そう、私が買ったのは「西安の名跡」という、日本語版の本だったのでした。他にも英語・スペイン語などがありました。

私:なぜ、100元、80元を日本語で言わないのですか。
おねえちゃん:日本人はみんな150元で買うからよ。

そう、普通本まで値切れると思わないもんね。まあ、こうやって「日本人はお金持ち」の神話は広がっていくのでしょう。外貨が稼げて中国にとってはいいことだから、まっ、いいか。

でも、この旅行では日本人だとわかっていても親切にしてもらいました。日本人だと言うことで嫌なことは一つもありませんでした。

【写真】
 ・これが大雁塔、三蔵法師が天竺から持ち帰った教典を翻訳したところ

 ・兵馬俑の偽物。ほかの所で、実物大のものが1体1500元(21000円)の値札をつけて売っていましたが、値段はともかくどうやって持って帰るのでしょう。

 ・始皇帝陵。日曜日なのに人がいない。





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