広州だより さすが4000年の歴史=龍船レース=

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1999.6.20
◆5月5日は端午の節句

 6月18日は、中国の旧暦(農歴と言っています)の5月5日にあたり、端午の節句で粽(ちまき)を食べます。町中、一斉に屋台の粽屋が出現します。しかし、その由来をなんと学生は知りません。授業で屈原について少し話をして「日本では常識だよ。」と言ってやりました。

 その粽は外事処から貰いました。広州で一番有名なレストラン広州酒家のものでした。しかし、まあ日本で言う中華粽で、もう少し大きくて甘く、独特の風味があり、1つ食べたあと、残りはその後何日間か冷蔵庫に入っていたのですが、その後どうなったか私にはわかりません。


◆龍船レース

 そして、農歴5月6日にあたる土曜日、珠江で広州市最大の龍船レースが開かれました。
同僚の先生が連れていってくれるはずだったのですが、急に行けなくなり、外事処の羅さんが連れていってくれることになりました。羅さんのおじさん(昔、運転手で、その後テレビ局のカメラマン、ディレクターをやり、現在悠々自適)が羅さんの車を、素晴らしいテクニックで操り、大渋滞の広州の街を抜け、私たちを珠江まで運んでくれます。

 しかし、レースが行われるあたりはシートで囲ってあります。人々が押し掛け、川に落ちてはいけないからとのことですが、人々はそのシートに穴を開け、覗き込んでいます。それを公安のお巡りさんが、叱って歩きます。しかしお巡りさんがいなくなると、皆はまたシートに穴を開けます。

 私も「穴を開けなきゃな」と考えていると、羅さんのおじさんは「こっち、こっち」と私たちをレース会場の中心へと連れていきます。中心は当然、公安がいっぱい。自動小銃を肩にかけた解放軍もたくさんいます。近寄ることも禁止されているので、ここでは穴を開けている人はいません。しかし、羅さんのおじさんはなんと、果敢にも、私たちを招待席に連れていってくれようと言うのでした。


◆招待席で観戦

 この珠江のレースは一般席と貴賓席に別れて見ることができます。しかし、一般席は何日か前から席取りがあって、開始1時間前には近くに寄ることもできません。しかし、貴賓席はガラガラ、このあと紅旗(党幹部なんかが乗る高級中国国産車、一般の人は所有できない)に乗った「偉い」ひとや、招待客が来るのです。

 おじさんは公安に何度も制止を受けながら、公安の責任者の所に行き「入れろ」と交渉しています。根拠は「私たちが外国人であること」。一応、羅さんが自分で作って自分で判を押した、曁南大学外事処の「この人たちは外国人であるからできるだけ優遇するように」という書類をもっています。しかし、そんなもの何の役にも立たないことは、私にもわかります。
 しかし、おじさんの粘りに負けたのか、とうとう公安は私たちの席を用意してくれたのです。いや、びっくり。

 パンプレットとミネラルウォーターをもらって席に着きます。さっきまで「立ち止まるな、あっちへ行け!」と言われていたのに、今はチャイナドレスのお姉さんが「歓迎、歓迎」と迎え入れてくれます。
 そこは一応、紅旗なんかの運転手の席のはずなのですが、私たちのように、「招待はしてないんだけど、断れなかった」という感じの人がほとんど。その後、式典を終えた解放軍の人たちが、自動小銃をもったまま、私たちの後ろに、陣取りました。


◆さすが中国4000年!

 国歌(法律では制定されていません)の演奏に皆で起立し、広東省の副省庁、広州市長の挨拶のあと、何百羽という鳩が放され、なんと広州建城2710周年記念、中華人民共和国建国50周年記念の珠江龍船レースが始まりました。
 そう、広州建城2710周年!ほんとかなあ。日本の皇紀が今何年か知りませんが、簡単に2710年と言ってくれます。さすが、中国という感じ、建国50年が霞んでしまいます。
 どこへ行ってもこの調子、1000年前なんてもう、ちょっと前。この前行った観光地の洞窟には約300年前に架けられた梯子があって、みんな気軽に登ったりしています。
 広州で一番古い光考寺なんか、日本では国宝級の古い物が、気軽に置いてあって、みんなそんな古さにはちっとも驚きません。中国は「古いこと」にはあまり価値がないようです。

 龍船レースは、本格的にスピードを競う部と、その美しさ(派手さ)とパフォーマンスを競う華船の部に別れています。それぞれ、各村、街、単位(工場とか企業とか大学とか)から選ばれた人々が、それぞれの名誉を賭けがんばります。
 「スピード」の方は、「早いなぁ、たくましいなぁ」と言う感じ。公安を気にしながらシートに穴を開け見るほどのことはありません。

 しかし、「派手さ」はもう、穴を開ける価値ありです。このくそ暑いのに、あの独特の面をかぶり、陽気に拍子を取る人や、「俺はこの日のために生きてるんだ」と言う感じで、拍子を取るため派手な軍配を振る人や、「いやあ、朝から一杯ひっかけてね、疲れてんだ。」というおじさんや、一応レースの途中なのに飾った花に水をやっている几帳面な人や、「うちは飾り物に賭けてます。」という船や、「こっちはハイテクで勝負だ。」と舟に「建国50周年」「祝龍船賽」という文字を出す物や、「政治ネタだぜ」とユーゴ中国大使館爆撃抗議をする舟や、「お祭りだから明るい話題を」とマカオ返還を祝う舟など、興味深い舟で一杯でした。まあ、中には「村長に出ろって言われたんだけどこんな暑いのに、こんなことやりたくないなぁ。」という情けない舟もありましたけれど。
龍船レース1
開会式後、鳩が舞う
龍船レース2
「祝賀澳門(マカオ)帰」と書いてある

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