広州だより  ちょっと政治っぽい広州だより    2000.6.5

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 今、もうめちゃくちゃ暑いです。大学内の予想気温は毎日38度となっています。なぜ、38度となっているかというとそれ以上になると休みになるからです。どこでだれが計っているかは判然としませんが、とりあえず、最高気温は毎日38度となっています。

 以前は暑すぎて休みになったこともあったそうですが、最近ではなぜか、大学内の気温は38度を越えないことになったそうです。

 私は火曜日・水曜日は新しくできた科学館での授業で、ここはクーラーがきいていますが、それ以外は普通の教室での授業です。

 教室には天井からぶら下がっている大きな2つの扇風機はいつもどちらかが壊れていています。壁には6台の扇風機が取り付けられていますが、これも半数は壊れています。時々管理の人を見つけたときに言うのですが、直そうと努力してくれた形跡はあるのですが、直っていません。どの教室もそんな感じです。

 外で買い物などをしてくると、体に熱がたまったようで、涼しい自分の部屋に帰ってもなかなか汗がひきません。そんな広州で私たちが外で食事をすると、「これは熱の食べ物だよ。こっちにすれば」とよく言われます。広州の人は「熱の食べ物」「涼の食べ物」というふうに食べ物を区別していて、夏は「熱の食べ物」はあまり食べません。

 私にはどれが「熱」でどれが「涼」かわかりませんが、とりあえず西瓜と緑豆と涼茶は強力な「涼の食べ物」なので、できるだけ取るようにしています。

 しかし「熱」の食べ物の中でも、どうしても止められないのがライチ。昨年は何十年ぶりかの大豊作で、今年は不作だと言われていたのですが、順調に市場に出回っています。5月の中頃は1斤(500g)25元したのが、今では5元(約75円)になりました。

 「食べ過ぎると鼻血が出る」「酒と一緒に食べると倒れる」と言われ、昨年は食べ過ぎによる死者がでたことが報道された、恐ろしい「熱の食べ物」ですが、みずみずしく、アッサリとした甘さに芳香の漂うあの味を食べずにいることはできません。今も食べてきました。うまいなぁ!

 さて、そんな暑い広州で最もホットな話題が、「東芝訴訟問題」と「亜妹問題」。

 東芝のダイナブックのFDDにトラブルがあって、アメリカのどこかの州で別に大きな被害が出ていないにもかかわらず集団訴訟で1100億ドルを和解金と支払った事件がありましたよね。その和解金を中国にも払えという世論が今すごいのです。「どうしてアメリカに支払ったのに、中国には支払わないのだ。」「日本はアメリカの言うことは聞くが中国の言うことは聞かない。人種差別だ。」という感じです。

 事態収集のため副社長が来て記者会見をしたのですがどうもこれが逆効果のようで、北京では東芝を初め日本製品の不買運動にまで発展しそうな雰囲気なのだそうです。

 「中国にはそんな法律ないでしょう?」と同僚の先生に聞くと、中国の消費者保護の法律でもアメリカと同様の事ができるそうだと言う返事。でもそんなことをすれば中国では何もものを作ることができなくなってしまうから、今までは無視されてきたのだそうです。「まあ、中国は法治じゃなくて人治国家だからね」とのことで、ひょっとすると東芝は賠償金か和解金を払わなければならないかも知れない・・・。「はぁぁ」と感じです。

 学生も「東芝は人種差別をしている。」と本気で言っています。どうも日米ガイドラインからこっち、日の丸君が代問題、石原都知事問題、南京虐殺にかんする集会問題、そして神の国発言、とこの問題と、中国の対日感情はとんどん悪くなってきている感じです。

 そして張恵妹(アーメイ)の問題。「台湾の安室奈美恵」と言われている(もし呼ばれていなければ私が最初に呼ぼうと思いますが)大陸でも人気のある歌手。台湾のネイティブ、ピュマ族出身でで、その境遇を乗り越えて人気歌手になった人なのだそうですが、彼女が台湾の新総統の就任式典で台湾の「国家」を歌ったのだそうです。それを「反逆」だと考えた中国政府がテレビで彼女の歌を流すことや彼女の出るコカコーラのCM放送を許可しないと言うことにしたのだそうです。

 いくらなんでも、これには学生も怒るだろうと思ったら、みんだ「当然だ」というのです。彼らの言い分では「今までの歌手は俳優は政治問題には触れなかった。しかし彼女はあえて台湾の国歌を歌い、中国政府の背いたから、当然の措置だ」というのです。そして見せてくれたインターネット上のチャットでは、ほとんどが政府の措置に賛成の意見を載せてありました。本当かどうか知りませんが、噂では彼女のCDも店頭から姿を消すと言われています。消す前に買いに行ったら、なんどカラオケでした。こんなジャケットでだれがカラオケVCDだと思う?

 昨日は天安門事件のあった日。でも新聞にはどこにもそんな事は載っていませんでした。学生に言うと「それはもう過去のことです」と言います。自国の官房長官や総理大臣の話しを信じられない人間が言うのも変なんですが、こういう事でいいんでしょうか。

 学生達は「21世紀は中国の時代だ」とよく言います。そのためにも、もっと自由な発 想ができるように、マスコミも政府も考えなければいけないんじゃないでしょうか。これは中国を好きだから言うんです。わかってくれますか、江沢民主席!よろしく頼みま すよ。って、やっぱりこれ、日本人の感覚なのかなぁ。


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