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2006/02/01
布目裕喜雄長野市議会議員(社会民主党長野県連合副代表)
防犯条例について
(1)今年初めて実施された「お知恵拝借、長野市民施策・事業提案制度」の募集で、地域の皆さんがウォーキングしながらパトロールの役割も担っていこうとする「地域パワーで子ども安全」という提案が優秀賞に採用されました。健康と安全の一石二鳥をかねた、すばらしい市民参加の提案だと思います。また先ごろ、老人クラブの方から、「毎朝散歩しながら子どもに声をかけているが、避けて逃げてしまう子どももいる。安心パトロールなどと書いた腕章があれば、気持ちよく声かけができる」との声ももらっています。こうした活動の積み重ねが、地域のつながりを深め、安全を高めていくことになると思います。
さて、そこで現在、長野市で検討されている「犯罪防止に関する条例」作りについてです。条例策定検討委員会では「防犯まちづくり推進条例」といった名称変更やいくつかの点で修正する議論が行われていますが、基本的に、条例案は、市民の防犯意識の高揚と自主的な防犯活動の推進の二つを目的とし、市行政と市民、事業者の役割を定め、分担しながら、警察と密接な連携を図り、犯罪のない住みよいまちづくりを進めようとの趣旨に大きな変更はないようです。10月には市に答申され、12月議会に条例案が提案される予定のようです。市の「まちづくりアンケート」で「最近の犯罪状況」に対して94%の市民が「不安に感じている」と応え、市行政の課題として「犯罪防止の推進」が4位にランク、行政の支援策として「防犯条例の制定」が34%に上ったことなどが条例制定への動機だと指摘されています。
(2)こうした条例は、警察の提案と後押しにより、生活安全条例という形で全国に広がっています。県下でも1月現在で113市町村中77市町村で制定されています。
虐待や殺人事件が連日発生している中にあって、「安全」「安心」は私たち市民の強い願いであり、まちづくりのキーワードとなっています。地域社会の中で連帯意識を高め、互いに支えあう“絆”を作っていくことは大切なことです。
しかし、基本的な問題として、防犯を目的とした条例によって犯罪が減少したりなくなったりするのでしょうかということを問いたいと思います。条例制定自治体で、犯罪減少の特筆すべき効果が上がっているのでしょうか。長野市ではH13年度以降、犯罪件数は減少していますが、なぜ今、条例なのでしょうか。さらに問題は、検討委員会の中で市は「生活上の権利や自由を制限される可能性はまったく否定できないわけではない」と人権の制約があることを認めていることにあります。罰則等を定めない「理念・規範条例」とはいえ、人権を制約し、市民に対する強制力が働くことになる条例を長野市の法律として作るべきではないと思います。「自分のことは自分で守る」といった防犯意識を高揚させることが、逆にエスカレートし、町中で「怪しい人」「不審者」を探しだし警察に通報するという効果を生み出すことになりはしないでしょうか。私は、条例の持つマイナス面、デメリットを考えたときに、相互に監視しあう監視社会を増長することになり、本当の意味での「互いの人権を認め合い支えあう地域の“絆”」を阻害することになってしまうとの懸念、疑念を拭い去ることができません。検討委員会の議事録を読んでも、疑念は一向に晴れません。どのようにお考えですか。
(3)「条例によっては犯罪はなくならない」、この当たり前のことを基本にしたうえで、防犯対策の推進について、二つのことを提案します。一つ目は警察官・おまわりさんの抜本的な増員と空き交番の解消を実現することです。そもそも犯罪防止の鍵は、警察、とりわけ刑事対策にあります。警察の責務は「犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持にあたること」(警察法2条)とされています。犯罪の予防は基本的に警察の仕事です。だからこそ拳銃を所持させ強制的な力を執行できるようにしているのです。この強制力を持った役割は行政や市民で肩代わりできるものではありません。だから、県議会でも県職員の交番への派遣が否決されたわけです。6月に県警が調査した「交番の不在実態調査」の内容が明らかとなりました。午前6時から午後6時までの12時間のうち平均不在時間は6時間12分にも上り、事件・事故等が多い長野市など都市部の交番では不在時間は7時間以上に及ぶ交番がほとんどという実態が浮かび上がりました。長野市の先のアンケート調査でも要望の強い「警察にパトロールを強化してほしい」「自主的なパトロールに警察官が同行してほしい」との声に応えきれない警察の実態があります。警察官OBによる「交番相談員」制度を活用するとともに、警察官を増員し十分なパトロール体制をつくるとともに空き交番を解消することが防犯の最大の課題です。人権を制限する条例を作ることよりも、県に対し、警察官の増員、空き交番の解消を強く求めていくことが先決であると考えますが、いかがですか。
(4)二つ目は地域の自主的な活動への財政的・組織的な支援の強化です。今、市内では防犯協会の皆さんによる自主的な防犯活動が展開されています。また、子どもたちの安全を守るため、情報を提供する安心ネットワーク作りも始まっています。地区毎に区長会や防犯協会が中心となって各種団体の皆さんと連携し、子どもたちの安全、お年寄りの安全を守るための自主的な活動を強めていくことが大切です。そのために行政がどんな支援ができるのかを考えるべきです。条例がなくても、防犯パトロールの強化、防犯灯の設置拡大、小・中学生への防犯ブザーの無償提供、安全情報提供のシステム化など、行政が支援できることはたくさんあるはずです。こうした活動の積み上げによって、犯罪を起こさない、犯罪がおきにくい環境がつくられると考えます。
さまざまな障害を持っている人や外国人、コンビニに集まる中学生や高校生に「不審の目」をもって接することになりかねない「条例」をあえてつくるのではなく、今提案したような方法で自主的な防犯活動を活発化されることを強く求めたいと考えますが、いかがでしょうか。地域振興課へのパブリックコメントでも15件の内12件が異議ありとするものでした。「防犯まちづくり」といった課題で、多角的に、より市民に開かれた慎重な検討を進めるべきです。(2005年9月12日長野市議会における一般質問より) |