2006/3/6
社民党長野県連合幹事長 中川博司


         偽装だらけの政治

今、国会では堀江貴文被告が武部幹事長の次男あてに「選挙コンサルティング費」名目で三千万円の送金を指示したメールは偽物で、国会で告発した民主党永田議員が懲罰委員会で「最大三十日の登院停止」処分が検討されている。

「ガセネタ」でましてや明確な根拠を持たないまま質問追及をした永田議員のやり方は、功を焦った稚拙なものとして批判されて当然であろう。しかし、一方でこの「偽メール事件」で、今国会の四点セットとまで言われている「ライブドア事件」「耐震強度偽装問題」「米国産牛肉問題」「防衛施設庁発注工事の談合事件」などがウヤムヤのまま事の本質的な議論がされないとしたら大問題だ。

そもそも「偽メール事件」の発端は、自民党が時代の寵児とばかりに持ち上げ、堀江貴文被告の衆議院選挙を実質応援したことにある。その自民党の責任や、堀江被告に投票した広島の有権者に対する謝罪がされないのはどういう訳だろうか。

「耐震強度偽装問題」は、行き過ぎた競争をチェックする中立のアンパイアまでも「民営化」した結果である。競争原理の徹底・規制緩和は、消費者により安いものを提供すると言ってきたが、その対策費はより高いものになった。これはすべて国民の税金である。

「米国産牛肉の輸入再開問題」、当のアメリカ農務省の監査局でさえ認めている、「特定危険部位の除去に関する適切な計画を持っていない」と指摘するなど、アメリカ国内牛肉の安全審査のズサンな体制、それを調べもせずに輸入を再開した日本政府。

「防衛施設庁発注工事の談合事件」は、国民の誰もが「またか」とあきれた。この他、那覇防衛施設局発注の米軍基地関係公共工事の内、落札率が100%の件数が二十八件あること、法務省が発注した東京入国管理局庁舎など四件の建築工事は、入札率が96.4%以上であることなどが、社民党の調査により明らかになっている。

こうした数々の事件の背景には、「市場経経済万能論」がある。資本主義社会であるから市場に全てを任せるということは間違っている。ましてや政治の役目として、規制緩和を進めた以上、方の目をかいくぐり、不当な利益をあげるものを規制しなければならない。公正な競争が保障されなければならないのである。官制談合などもってのほかだ。さらに、競争社会でホリエモンのような勝ち組だけを褒め称え、負け組に努力が足りないというような開き直りも許すことができない。政治は、お金を持っている人だけを相手にするのではなく、お金のない人の生きる権利や安全、安心を確保することにこそ力を発揮しなければならない。

こうした偽装改革を進める小泉自民党を選んだのは国民でもある。その国民生活はどうなったのか。バブル崩壊以降の十年に及んだ不況が、いまや戦後最長の好景気になっているというが、バブルの時もそうだったが、だれにもその実感はない。企業は、リストラを進め、正社員は臨時・パート。派遣など不安定な労働力に置き換えられ、小泉政権下で500万人増え1600万人、全労働者の3分の1になろうとしている。年収200万円以下の世帯が17%にもなるという。1月の有効求人倍率が1.03倍と改善しているものの、正社員を希望する人には0.67倍と低い水準であり、1月の完全失業率は4.5%、292万人と悪化している。就職活動も家事も通学もしていない「ニート」が64万人、フリーターは201万人にものぼる。
 小泉構造改革が、「額に汗して働くことの価値」を否定し、株でもうけるような社会を是とするならば、日本の社会は崩壊していく。労働の正当な評価を配分できないような社会では、誰も好んで苦労しようとは思わない。この意味では、労働組合の任務と責任は重い。正規労働者の賃上げが、一部の労働者だけに還元するものではなく、非正規労働者の労働にも公正な価値を認める「安心して生活できる賃金」を保障するものになるよう奮闘を願うものである。