2006/10/9
中川博司 長野県連合幹事長
安倍内閣は改憲内閣だ!
■危うい安倍政権
9月26日に第165臨時国会において、衆参両院の指名を受け、安倍晋三自民党総裁が新総理大臣になりました。29日の所信表明演説、代表質問への答弁、予算委員会での答弁を聞いていても、率直に言って「何を言いたいのか、何をしたいのかよく分からない、総理大臣として大丈夫か」という危うさを感じます。同時に、内閣の顔ぶれを見ると「論功行賞内閣」と言われたり、「お友達内閣」と言われるように、極めて身近な同じ考え方を持つ人で固められている印象を持つ人も多く、側近政治は少数意見を抹殺し、民主主義的な政治を押し殺し、場合によってはナショナリズムを煽り、暴走する危うさを持っています。
■「新しい憲法」を5年以内に
安倍新総理は、自民党総裁選挙の中で、「新たな憲法をつくる」とし5年以内に政治日程にのせると言ってきました。「憲法改正」ではなく、「新しい憲法をつくる」という考え方は、昨年自民党が結党50年を期して発表した「新憲法草案」と同じです。しかし、「新しい憲法をつくる」という考え方は、戦争や革命の後など、これまでとは異なる憲法秩序が必要である場合を意味しています。ですから安倍新総理が「新しい憲法をつくる」と本気で考えているとしたら、これは大問題であり、「クーデター」でも起こして、今は「醜い日本」であるから「美しい日本」でもつくろうとしているのでしょうか?
■臨時国会の焦点は「教育基本法改正案」
第165臨時国会は、「憲法改正のための国民投票法案」「教育基本法改正案」「共謀罪の新設」「テロ特措法の改正案」「防衛庁の省格上げ法案」「在日米軍再編」などがあります。特に安倍新総理は所信表明演説の中で「教育の再生」を強調し、「教育基本法改正案」の早期成立を目指すと言っています。あらためて、「教育基本法改正案」の問題点について考えたいと思います。
■国家理念を強制する教育でいいのか
現行の教育基本法は、子ども一人ひとりの「人格の完成」を目標にして、自ら発達する力を大切にしようという理念に貫かれています。しかし、政府案では「人格の完成」という言葉は残りましたが、その後に「・・・必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成」と続きます。こうなると、国が定めた国民としての資質を満たして初めて人格をもった存在、ということになりかねません。
■思想の中央集権化
資質としてあげられているのが「教育の目標」です。この中に「豊かな情操と道徳心」「正義と責任」「公共の精神」「他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度」「わが国と郷土を愛する」とあります。これだけ見れば「どこがいけないの?」と思いますが、現行の教育基本法は、最初に人格の完成や人間的成長という目標があり、その集積として成熟した社会をつくろうという基本理念をもっています。政府案では、国家の目標・理念が先にあり、それに合う国民をつくりだす、という考えです。つまり、思想の中央集権化ということです。たとえば、イラク戦争について、日本は米国の立場を支持し自衛隊を派遣しました。政府の立場に従えば、この行為は「正義と責任」「公共の精神」「国際社会の平和と発展に寄与する態度」にかなうものとされ、政府の規定する「正義」が押し付けられることになります。
■新自由主義的な競争を是認する教育の推進
安倍新政権は、小泉構造改革路線を引き継ぐとしていますが。構造改革は「市場万能」「優勝劣敗」の「格差拡大路線」です。親の所得や資産によって子どもの教育をうける権利が侵されてきています。就学援助を受ける子どもたちは、最初から「再チャレンジ」をする権利さえも持てない「希望格差」を生んでいます。これでは、社会や政治に対する不満は鬱積し、いつ爆発するともわかりません。そこで、教育基本法を変えて精神的なタガをはめようとしているのです。
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