2005/02/21
社民党県長野連合代表 山口わか子

イラクを力で抑え込もうとするアメリカの驕り

■いびつなイラク国民議会選挙
 イラクの選挙管理委員会は13日、先月投票した国民議会選挙の最終結果を発表した。予告どおり、イスラム教シーア派の宗教政党を中心とする統一会派「統一イラク同盟」が、48%を得票し、第一党となった。第二党はクルド人政党の統一会派「クルド同盟」で得票率は約26%で、暫定政府のアラフィ首相率いる「イラクの名簿」が14%だという。今後は各勢力の駆け引きが本格化し、予定では815日までに新憲法を起草するという筋書きだ。しかし、米英軍の攻撃で生活や行政機関が破壊され、とても選挙のできる環境にはないスンニ派地域の中西部アンバル州では投票率は2%、北部ニナワ州でも17%の投票率で投票にさえ行けない人々が大半だった。果たして選挙が正当だったのか疑問だ。

■選挙期間中におこったイラクの抵抗
 選挙期間中もイラクの治安は最悪の状態になっていたという。イラク南部バスラなど各地で24日から5日にかけてイラク軍兵士や警官が武装勢力に殺害されたほか、バクダッドでは自宅前に遊んでいた子ども二人が地雷で死亡するなど計21人が殺された。4日夜には北部タルアファルで3人が死亡、5日にもバスラの道路脇の爆弾が、爆発し4人が死亡したほか中部サマラで4人が死亡、北部モスルで警官5人が襲撃され殺された。
 また、米軍も北部バイジで1人殺害され、3日にはバクダッド西部で警官らが待ち伏せ攻撃を受け、11人が行方不明、死者は6人以上にのぼった。12日には自動車爆弾により18人が死亡、民間人25人が負傷した。北部モスルでは、12日、イラク軍の制服を着た6人の遺体が幹線道路に放置されているのが見つかった。南部バスラでも裁判官が殺された。
 何の理由もなくイラクを攻撃し、10万人以上の人々が殺され、米兵でさえ1400人以上も殺されるという悲惨なアメリカの力による「民主化」の成果を世界に見せつけたかったのか。アメリカのイラクに対する耐え難い屈辱と殺戮はおそらくイラクの人々にとって忘れることはできないだろう。

30万人が行方不明になった恐ろしいファルージャ攻撃
 20044月と11月に行われたイラク、ファルージャ掃討作戦は、残虐極まりないものだったという。クラスター爆弾を落とされ多くの子どもや女性たちは手足をもぎ取られ瓦礫に下敷きになって全員が死亡した。11月などはイラクの軍隊を合わせて最大15千人もが投入されると言う最悪の攻撃となった。しかも真っ先に攻撃を加えたのがファルージャの病院だった。何の罪もない病気で苦しむ人たちを救う病院がなぜ攻撃されなければならないのか、逃げ遅れた病人や子どもたちにどんな罪があると言うのか、どう考えても理解できない。ファルージャの人口30万人がいったいどこへ消えたのかいまだに不明だという。
 こんな状況では、イラクの国民は今の暫定政権を本当に認めるのだろうか。聞くところによると、暫定政権のアラウィ首相は、元アメリカのCIA工作員だったそうだ。こうしたやり方にイラク国民がアメリカに抱いている感情は、憎しみ、怒り、復習、屈辱、そして失望である。
 今後、イラク国内の治安が安定し、自力で独立をするとは到底思えない。まして米軍を先頭に日本の自衛隊を含む多国籍軍を駐留させ、武力で押さえつけるような弾圧下では、ますますアメリカに対して憎しみが増すことになる。このまますんなり国民議会の下で8月新憲法起草、秋に新憲法による議会選挙の実施、年末までに議会が選んだ新政府発足となるかどうか疑問だらけだ。

■アメリカでもイラク攻撃に反対論が噴出
 「米国がイラクに派兵したのは、選挙をするためではないことを思い起こしてほしい」イラクで昨年4月に長男のシェルウッドさんを失った米ペンシルバニアのザッパさんは、イラクの国民議会選挙を「紛れもない成功」と手放しで喜ぶブッシュ大統領に冷ややかだ。
 シェルウッドさんは、バクダッド近郊で、大量破壊兵器を捜索する米調査団を護衛中に攻撃され、死亡した。結局何一つ見つからず調査は打ち切られた。「選挙はすばらしい。しかし代償はあまりにも大きい」。ありもしない兵器を探す調査団の護衛のために息子を失った母親の悲しみ、悔しさは計り知れない。ザッパさんは「イラクで殺し合いが続く原因は米軍の駐留だ」という。一刻も早く早期撤退をと語気を強めて訴えた・・と言う新聞記事を見て、多くの犠牲者を出し理由なきブッシュのイラク攻撃に対して、アメリカ国民から反対が沸きおこっている事実を日本にいる私たちも人事ではない、世界中がしっかり戦争反対の声を上げなければ犠牲はさらに広がることを思い知らされた。

■一刻も早い自衛隊の撤退を政府に迫ろう
 一方自衛隊のイラク派兵について、陸上自衛隊が駐屯するサマワでイスラム教シーア派の聖職者エサウィ氏は、金曜礼拝で、多国籍軍の撤退交渉を選挙で発足する移行政府などに求める考えを示したという。
 小泉内閣は、多くの反対を押し切って再びブッシュの言いなりに自衛隊をサマワに派兵した。本当にイラクの自立と安定、安全を願うなら他国が口を挟むべきではない。まして武装した多国籍軍がいる限り、イラクにとって真の復興は訪れないだろう。私たちは今こそイラクの自立を心から願い、一刻も早く他国の軍隊(自衛隊)が撤退することを訴えたい。