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2005/01/24
社民党長野県連合代表 山口わか子
不安だらけの介護保険改正案
21日から開幕した第162通常国会、2005年度の予算を審議する重要な国会となるが、国や地方の借金は増えるなかで、財政危機をもたらした原因の追究はほとんどないままに、国民が熱望している雇用対策には触れていないばかりか、社会保障費の抑制だけが目に付く予算案になっており、不安な幕開けとなりそうだ。特に5年目を迎え、制度の見直しとなった介護保険制度は、利用者の倍増と、約6兆円にも及ぶ介護費用という大幅な負担増を何とか抑えようという狙いは明らかである。
介護保険改正の主な内容は、H18年4月から@新予防給付の創設(介護認定の結果要支援、介護度1の利用者は、予防給付に切り替え、これまでの炊事などの家事援助やデイサービスなどの利用を制限する)。A施設給付の見直し(介護施設に入所している場合の居住費用や食費については自費負担とする。また、デイサービスなど通所サービスの食費についても自費負担とする)B基本理念の徹底(サービスの質の改善、在宅ケアの推進、地方分権の推進)・・である。
介護サービス利用者が年々増え続けることは、当初からわかっていたことであり、介護の目標が、高齢者の自立を目指している以上制度の内容が利用者の要望を満たすことは、絶対条件だ。そうでなければ生きていくための真の自立支援にはならない。ところが厚生労働省によると「要支援、介護度1では逆に重度化が進み、家事などの家事支援がかえって利用者のやる気を奪い、寝たきりをつくってしまう。だから予防に重点を置くサービスに切り替える」のだという。利用者の実態を無視し、費用の負担を減らしたい姿勢が見え見えだ。
■現場の実態を無視した改正案
高齢者が介護支援を受ける場合何より重要なことは、高齢者本人が残された人生をどこでどのように生活したいかが基本であり、そのためにはどのような支援が必要かを十分に検討し実現することだ。在宅か施設かを選ぶのも本人であり、要望が満たされるような支援であることは当然である。特に在宅介護の現状は非常に不十分であり、在宅で支援を受けながら自立することは無理な制度となっている。1人暮らしの高齢者にとっては、ケアプランも不十分、ヘルパーも一日に2〜3回の支援では、重度化するのは当たり前だ。
痴呆の高齢者は、一日中徘徊するなど目が離せない。しかも身体的な認定基準の為に軽い認定が多く、介護予防が必要だといっても、重要な24時間「みまもり」介護をどう実施していくのか、認定やケアプランの大幅な見直しがない限り無理である。地域密着型の総合的な包括センターを創ることが改正の目玉だというが、外側だけ作っても中身がどうなるのか改正内容がはっきりしない。問題はケアマネージャーやヘルパーの数をもっと増やし、24時間体制が確立するような待遇の改善をしない限り利用者の望む介護はできない。ところが現状は劣悪な低賃金、無権利、大半がパートか臨時での対応という最低のサービス現場である。
介護利用者にとっては予防より、自立を助けるための介護を最も望んでいるのが実態だ。高齢になると、体は元気でも視力も衰え、耳が遠くなり電話の声も聞き難いなかで、特に夜の生活は不自由になる。長野県や新潟県のように大雪が降れば、除雪が困難となり、先日は夫婦が除雪の犠牲になってしまったなど、家事援助がどんなに必要か、厚生労働省の役人には理解できていない。
■予防は国の重要な責任
国民の保健予防は誰でも当然必要な政策だ。そのために老人保健法によりさまざまな予防サービスを以前から実施しているはずだ。憲法は第25条で、「@すべて、国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。A国は、すべての生活面において、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」。と国民の保健予防を厚生労働省に対して義務づけているのであって、介護の利用者に限らずだれでも、どこでも、いつでも、予防サービスを受ける権利があるのだ。
■施設利用者の負担は金持ち優先、貧乏人は切り捨ての改正
今回の改正で介護施設へ入所している利用者からは居住費用として所得を三段階に分けて5万円から1万円、食事については2万円から1万円を支払うことになる。つまり、今までより一ケ月7万円負担が増えることになる。
つまり生活保護を受けている人でも施設の費用3.5万円を従来の施設の一部負担に上乗せして支払うことになる。たとえば国民年金だけで生活をしている高齢の夫婦で、月に約13万円の年金では最低の医療保険料が約6000円、介護保険料6600円で最低でも12000円の支出となる。その上例えば1人だけが施設介護サービスを受けるとなると、従来の介護利用料5.6万円に最低でも個室で3.7万円の上乗せで9万3千円の支出となり、残り約2万5千円しか生活費は残らないことになる。低所得者に対する措置として高額介護制度もあるが、それでも生きていく最低の食事さえ満足にできないことになる。自立を奪うような自己負担を押し付けるようでは、介護保険制度の本来の目的までも失いかねない。
年金を支給できる人はまだいいが、年金保険料を納めていない無年金者が今後増えることが予想され、ますます貧乏人は介護サービスを受けることなどできない状況になる。
今国会で改正案が審議される予定であるが、改正の重要なポイントは、どんなに生活に困っていてもその人にとってもっとも望んでいる介護サービスが受けられ、地域の中で暮らすことが楽しくなる制度でなければならない。
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