2005/04/04
社民党長野県連合代表 山口わか子

国民の声を封じる危険な「国民投票法案」

■言論の自由を奪い国民の権利を不当に制限する「憲法改正国民投票法」
 2000年にはじまった憲法調査会の最終年迎え、いよいよ最終報告が出される動きが出てきた。このところ新聞報道で憲法調査会の最終報告書案の概略が出されているが、 国会の憲法調査会の議論を見ている限り、9割以上の議員が憲法改正を唱えている。しかし、国民の側に立って考えたとき、国民主権が命である憲法が今なぜ改正の必要があるのか、私たちには見えていないし、必要性も感じていない。にもかかわらず自民党は憲法を改正し、戦争のできる国にしたいと、「憲法改正国民投票法案」を提出すると宣言し、連立を組んでいる公明党も賛同している。
 まだ法案の中身は明らかにされていないが、実は2002年に超党派の憲法調査会推進議員連盟(会長は中山太郎・減収議員憲法調査会長)のもとでこの国民投票法案がつくられた。この案を見る限り危険な国民無視の法案となっている。
@発議は、衆議院100名、参議院50名とし、投票は国会議員の選挙とするようであるが、憲法はいったい誰がつくるのかでさえ現在の憲法では決まっていない。にもかかわらず一方的に改憲派議員に発案の権限を与えることは、すでに国民を無視している。すべての法律の上にたち「国のかたち」を決める憲法の発案は「国民の側にある」のは世界の常識であり、例え選挙で洗礼を受けたといっても国会議員だけで発議することは許されない。
A「国民投票は発議から30日以後90日以内に行う」となっているが、国民に議論の機会や検討をさせないで一気に投票に持ち込む意図がありありである。しかも肝心の改憲案は、市町村の選挙管理委員会が投票当日、適当な箇所に掲示するとなっている。こんな改正案では国民は目を通すこともできず、考える余裕を与えない「何でもいいから投票しろ」といっているようなものだ。
B改正する項目を本来であれば民意を反映させるためにも一項目毎に○か×を書くべきであるが、一括して投票する仕組みとなっている。ここでも国民に1つひとつ考えて投票する機会を与えず、何としても9条や基本的人権、男女平等の権利を変えてしまおうと意図していることがうかがえる。
C憲法96条は「憲法改正は国民の承認を経なければならない」とし、「この承認には国民投票において、その過半数の賛成を必要とする」と定めている。憲法は国民が定める最も大切な最高法規であり、国民の過半数が承認することが原則である。が自公両党は「有効投票の過半数」にするといっている。たとえば「9条を変える」ことに「反対」と書いたら×という記入ではないから「無効票」になる。仮に投票率が50%に満たなくても○の割合が多くなれば改憲賛成となるわけで、到底民意の反映にはならない。
D投票運動にはさまざまな規制をかけている。例えば、国民投票を選挙と同じものとみなし、裁判官や警察官はもとより、国や自治体の公務員、又は教育者、外国人などには厳しく投票運動を規制し、「憲法改悪反対」の集会やデモを、警察や改憲派が「妨害」だとして、いつでも逮捕し、「7年以下の懲役」という厳罰が下されることになっている。
 最近では公務員がビラを配っただけで「地位利用」として逮捕・起訴するという公安警察、・検察の暴挙が目立っており、数百万の公務員や教員は憲法に保障されている思想や表現の自由を奪うという危険な規制となっている。
E新聞や雑誌の不法利用の禁止や、放送事業者の虚偽報道を禁止している。実際に国民投票が行われることになれば、国家の一大事であるから多くの意思表示や運動が起こるのは当たり前だ。にもかかわらず報道のすべてを規制するやり方はそれこそ憲法違反である。
F投票できるのは「20歳以上」に限り、改憲でもっとも長く影響を受ける若者の意思は切り捨てている。定住外国人は納税の義務は課せられても国民投票はさせない。というように憲法改正の重要な国民投票を公職選挙法と同じやり方で有無を言わせず改憲への道を強行しようとしていることがわかる。

■憲法改正と選挙とは全く異なるもの
 憲法改正は「国のかたち」を決める数十年に一回の重要な国民の意思であり、すべての国民が関わることは当然のことである。警察官も教員や公務員、すべてが国民であり、憲法についての意思や表現の自由を排除するという法律を制定すること自体憲法違反であり、問われるのは自公与党ということになる。

■民意を反映していない国会の動きを止めることこそ憲法の重要な国民主権
 最近国会は、憲法に違反する法律や行為を国民の意思に反して続々成立させ実行している。「イラク自衛隊派遣法」「対テロ支援法」「有事関連法」「メディア規制法」首相の靖国神社参拝などである。国民の大多数はこうした法律を限りなく憲法違反であると思っていることが、アンケートの結果にも出ている。
 こうした危険な動きに対して、日弁連が2月に意見書を提出、日本ペンクラブは「法案の白紙撤回を求めるペンクラブ声明」を発表した。また国会内外でも反対の集会や請願署名活動も出ている。本来ならこうした状況をマスコミが報道する義務があると思うが、全国紙にはあまり見当たらない。国民にとって公正であるべき報道が、失われてしまっているように思えてならない。
 この通常国会でなんとしても改憲のための「国民投票法案」提出を止めなければならない。なんとしても最愛の子どもたちを再び戦争に引きずり込む9条改正をさせない広範な運動を起こそう。