2005/07/25
社会民主党長野県連合代表 山口わか子
労働者を苦しめる最悪の増税案
  

■税制調査会の女性侮辱発言
 政府税制調査会が621日、サラリーマンの増税を狙った所得税改悪の方針を打ち出した。その税制調査会の審議中、527日の小委員会の議事録に、委員が「働く女の人は人生に前向きで、子供を産みたい。働かないで家にごろごろしている主婦が子供を産まないんです」とか、「働いている女性のほうがちゃんとご飯を作るというデータもあるんです。専業主婦で時間がいっぱいある人こそ、コンビニで買ってきて発泡スチロールで食べさせちゃうと言うのが多いんですよ」などと、とんでもない“侮辱発言”が飛び出したことが、報道された。
 政府税調での議論は全て公開される。そのことを百も承知でこのような女性差別発言が飛び出す本当の裏には「税金の無駄遣いは全て女性である」と思わせて、労働者の所得税から配偶者控除を廃止する狙いがありありと見える。
 それにしても新憲法で男女平等が謳われて60年を迎えようとしているというのに、まるで戦前に戻ったような女性蔑視発言は絶対に許せない。政府が発行している男女共同参画白書を見ても女性が結婚しても、子育て期間中でも、働き続けたいと願っている人は女性の大半を占めている。がいくら女性が働きたくても就職できないか、パート、臨時、契約などという低賃金で無権な職場しか働けない。結婚したら即首になる会社も多く、子育て期間中の労働環境は最悪で、子育てしながら働くことなど不可能に近い状況である。専業主婦を心から望んでいる人などほとんどいないのが現状だ。男女平等の政策がないから女性の職場進出を奪っているのだ。ろくに現実を知らず、まるで戦前の骨董品のような政府税制調査会は害あって益なし、委員の資格などまったくない。このような委員を選任する小泉首相という人は、国民の苦しみなど眼中にない、人間性のかけらもない、自分のことしか考えられない人だということがはっきりした。

■個人所得税増税の全貌
 案の定621日に打ち出した調査会の所得税改革案は、労働者の権利である個人所得控除を減らすか全く廃止してしまう内容となった。中身は
 ● 給与所得控除の削減
 ● 扶養控除の廃止
    配偶者控除の廃止
    職金控除の削減
    ギャンブルなどによる一時所得控除の削減・・などである。
 そのほか生命保険料控除、損害保険控除、公的年金控除などの削減も今後予定されている。来年は定率減税の残り半分が廃止されることになっているが、所得税と個人住民税を合わせると165百億円の増税となる。
 給与所得控除は年間に最低65万円の控除がある。まだどのくらい控除額を減らすか具体的には示されていないが、仮に65万円全てを減らすと、年収700万円で夫婦と子ども2人の場合年間で18万円も増税となる計算だ。
 そのほか廃止を考えている配偶者控除は、所得税で6700億円、住民税で3300億円となり、もし廃止となれば1兆円もの増税となる。まさに今回の増税案は、最も増税しやすい労働者を狙った最低のやり方である。
 その上専業主婦をまるで税金泥棒呼ばわりし、増税は当然といった空気を作り出す周到な演出ぶりには怒り心頭だ。21日にこの増税案が発表されて以来、ものすごい反響と批判が起こっているというが当然である。

■消費税の値上げが現実に
 小泉首相は口を開けば「任期中には消費税は上げない」と言い続けている。が今回の税制調査会の大増税案がでてから、今度は、増税について前向きの姿勢が目立つようになってきた。税制調査会についで今度は谷垣財務大臣が、9日、医療費の抑制問題に触れながら、06年度予算について「・・消費税導入による財政再建への取り組みを指摘し、今後の増税に理解をいただかなければならない」と増税への理解を求めた。
 実は66日に財務大臣の諮問機関である財政等審議会が出した報告書では「将来の税負担増は消費税で賄うしかない」と明記されている。最低でも10%と言っているが、国の借金が700兆円を越す規模ともなると、医療費や社会保障費の伸びを理由に、19%もの消費税増税も視野に入れているという。
 今でも5%の消費税収入は125千億円、法人税より多い額だ。国民一人あたり98千円、4人家族では392000円の負担となる。とりあえず10%に引き上げると23兆円、4人家族では796千円もの負担となる。
 労働者への所得税大幅増税をほのめかし、批判が激しくなれば消費税への鞍替えを楽にしようという魂胆ではないのかと疑いたくなるのは当然だ。
 公約破りを平気でおこない、国の借金は増える一方、リストラや徹底した構造改革、規制改革で失業率を増やし、自殺王国にしてしまう小泉政権こそ赤字借金の元凶であるのに、その借金の付けを増税と言う毒饅頭にして国民に飲ませようとする悪政は絶対に許せない。
 こうした地獄のような政治を変えられるのは国民の一票だけである。人間らしい生き方や暮らしを今度こそ選挙で取り戻そう。
 社民党は常に庶民の声を代表する政党であることを強調したい。小さければダメという発想を変えよう。