手術体験記
このような話を公にするのもなんですが、あまりにも奇異というか、おどろおどろしい体験だったので、記憶が鮮明なうちに日記にしたためることにしました。 |
二人目の妊娠がわかったのは、2001年6月になってからのことでした。なほの誕生日に近い出産予定日で、誕生日が一緒にならないかなぁなどとわくわくしていたのですが、稽留(けいりゅう)流産していることが判明、急遽会社に休みをもらって処置を受けることになりました。 手術当日、それほど緊張はしていませんでした。麻酔をかけるときに腕から入れるのかなと思っていたら、どうも子宮のほうから麻酔をかけたようです。痛さに顔をしかめていると看護婦さんが腕をとって「力を抜いて呼吸を楽に」といってくれたので、力を抜かないと麻酔が効かないと思い力を抜きました。すると頭がワンワンしてきてこのまま気が遠くなっていくのかなと思っているとそのままわけのわからない幻覚の世界へ入り込んでしまいました。気を失っているのと違い、意識が残っていて自分がどんどん幻覚の渦の中に巻き込まれていく感じでしょうか。本来ならそのまま気を失い、気づいたらベッドで寝ていたというのを想像していたのですが、私が麻酔がかかりにくい体質でそうなったのか、麻酔の種類によるのかわかりませんが、口では到底言い表せないものすごい幻覚の世界に入ってしまったのでした。 幻覚の中で、実際にこの奇妙な世界を体験している自分自身が理解できず、辛くて辛くて逃げ出したいのに逃げ出せず、そのままどんどん渦の中に飲み込まれていきます。先生と看護婦さんの会話が入り混じり、ちょうど2日ほど前に宮崎駿の「千と千尋の神隠し」のリメークを見たばかりで彼の不思議な世界も一緒になり、また前日に引継ぎのため昼休みもとらず14時間ぶっ続けで仕事したストレスも原因になったのか、ものすごい世界へ引きずられていきました。自分はその間どろどろの液体になって流されていたような気がします。気づくと看護婦さんが私の体に触れていて、そのとき初めて自分の体が一つの固まりになっているのがわかり、そのうちベッドに寝ていることがわかり、自分の手がどこにあるのかわかって、初めて自分自身が形になりました。手術後15分後には意識が戻り寝返りを打つことができました。 麻酔がこんなに苦しいものとは知りませんでした。一度だけ麻酔の経験があるのですが、そのときはそのまま意識を失って気づくとベッドに寝ていたような気がします。体調のせいだったのか、麻酔の種類のせいだったのかわかりませんが、もう二度とこんな体験はしたくありません。次回麻酔をするようなことがあれば、麻酔が効きにくいといって強くしてもらったほうがいいのでしょうか。あまり強くすると麻酔の事故が怖いですし、やはり慎重にやってくれる病院を選ぶべきなのでしょう。 |