オールドホンダ学園





野山・田畑・道路脇に朽ち果てそうなオールドホンダはありませんか?
普段住み慣れた街角、そして知らぬ土地で道に迷った時などオールドホンダに遭遇する事もあります。
オールドホンダ車たちは、製品としての仕事を終えて余生を過ごし、そっと息絶えようとしています。
しかし、そんなホンダたちも、まだまだ息絶えてはいませんので、誰かの助けを待っています・・・。

目が合った瞬間に、俺を呼んでいる〜なんて思った人は、オールドホンダ学園に入学してください!
どう考えても普通の人には動くとは思えない状態でも、気持ちが通じれば、きっと公道復帰してくれます。
そんなオールドホンダたちに惚れた、ホンダ馬鹿をお待ちしています。
少しずつですが再生記録を掲載して、皆さんにやる気と勇気をお贈りできればと思っています。
バイクもクルマも動く乗り物ですから、基本は走らせる事です。
まずは動かす事を目標に頑張ってください。
動くようになると、次は見た目を綺麗にしたくなるものです。
弾みがつくと、次から次と課題が見えて、先を急ぐように自然となりますので、
そこまで来れば公道復帰は間違いありません。
眠ったオールドホンダを入手した事で入学し、
無事に公道復帰した時に、オールドホンダ学園の卒業です。
卒業証書は、自動車検査証と白いナンバープレートです。
大手を振って走り回ってください。
世界中に渡ったオールドホンダたちが、いつまでも元気に走り続ける事を祈って・・・。




〔 LN360編 〕

昭和44年に新車として命を受け、その後数年オーナーと走り回っていたようですが
それから数年後、昭和48年になると現在の地にて放置されていたようです。
木々に囲まれて山で暮らす事、何十年・・・。
時間の経過と共に、オーナーや人々からも忘れられて、最後の時間を過ごしていました。
堆積した木々の葉に埋まりながら、土に還ろうとしています。

しかし、捨てる神あれば拾う神あり。
どこから聞きつけたか、こんな状態でも欲しいと言う若者が!
その若者曰く、このLN360を動かしたいと。
旧車に触れた事もない若者が、LN360と言う珍しい車体に気持ちが動いたようです。

オーナーさんとの話も成立、長年の安住の地より、引き揚げられる事になりました。
私も呼ばれましたが、総勢5名程で山中から引っ張り出しました。
周りのみんなは、これを動かすの??
動くLN360を買った方がいいんじゃないのか〜?
しかし、買うと決めた若者にとって、手に入った喜びで今は盲目。
これは、良くある事ですね(笑)

こうして山中から長い眠りから引きずり出されたLN360は、無事に運ばれていきました。

続く




引き揚げられたLN360ですが、その後、家に戻って改めて見た若者の目には、後悔という言葉が・・・。
家族からも厄介がられて、気持ちも日に日にしぼんでいきます。
それから半年程でしょうか、気持ちに区切りをつけてLN360との決別を。
そして旧車仲間の友人を経て、私の所に話が来ました。
ちょっと場所が無かったので、少し預かっていてもらえるのなら購入するお話に。
無事に話もまとまって、このLN360は私が再生する事になりました。
山中に下見に行って、引きずり出すところまでお付き合いしていたので
私も多少ながら情を持ち始めていましたので。
何を隠そう、このLN360の引き取りに付き合った甲斐があり、
その道中で我が家2台目のバモスホンダに出会いました。
その場ではバモスホンダは入手できませんでしたが、それから6年程、そこへ通い続けました。
そうして、LN360との出会いから、バモスホンダとも出会い、両方とも我が家にやってきました!

さて、とりあえず預かってくれと頼んだものの、それから数年もそのままにしたら
やはり片付けてくれと言う話になりますよね。 それは当然です。
山中から引き揚げられて、更に数年放置されたLN360は、急に場所が変わったせいか
状態が悪くなっていきます。 邪魔扱いされ始め、屋根にはモノが載せられ始め、ドアも蹴られたり・・・。
ここでなんとかしなければ後がないなと、県外の友人宅から積載車にて引き揚げてきました。
引き揚げる時に、その友人から 『どうせ直さないんだろ! 部品取りかい?』
その一言に私も燃えました。 『いや、ちゃんと直すよ! いいクルマになるよ〜』
こうして長い旅を経て、我が家にやってきました。

このLN360、一般的にカタログではLN360にメタリック色が掲載されていないのですが
新車色から室内&外装ともブルーのメタリック色でした。
昭和44年発売から昭和48年には不動になっているので、室内やダッシュボードの裏側までも
色換えするのも考えずらいですし、この色は存在したのだろうなと。
私も色々とLN360を見ていますが、メタリックの純正色のLN360は初めてだったので
そのまま純正タイプで仕上げる事に決定しました。

さて再生の第一歩は、私の基本、走らせる事から。
エンジンの始動。 燃料経路の掃除・キャブの掃除・燃料タンクの交換と進み
エンジンも始動すると、次はブレーキへと。
動いて止まる、これが出来れば立派なクルマです。
ここまで来ると、欠品パーツを集め、内装の違うパーツがつけられたモノを交換し、
やれる事を次々に片付けていきます。
はじめてしまうと、私が考える前にクルマが次の課題を教えてくれます。
調子の悪いところも、ちゃんと教えてくれます。
知識が無い分、クルマ自身に教えてもらえばいいのです。
それから、板金塗装に進み、無事に完成!
翌々日のクラシックカーフェスティバルに出展も決まり、長い道のりを懐かしく振り返り・・・。

しかし、長年眠っていたクルマを興す事は、そう簡単には済ませてくれませんでした。
クルマ引取りに渡されて、確認もせずに信じきっていた書類でしたが、
LN360には違いありませんが、まるで別の車体の書類でした。
車体番号が全然違っています。
ここまできて最後に車体番号を確認するのも変な話ですよね。
慌てて、書類探しをしましたが、時間という壁で、探す事は不可能でした。
そこからの経過は奇跡的な出来事も重なって、無事に書類の再発行が出来ました。
なんとかイベントに出展する事も出来ました。
あまりの急な仕上がりで、途中の道中トラブルに遭い、エンジン不動にもなりましたが
ここまで来た過程に比べれば小さな事です。 応急処置の後、無事に我が家に戻ってきました。
その後は、問題を全て解決し、現在の快調なLN360となりました。
こんな思い出を持つと、手放せませんよね。
クルマに魂が宿るのかな。 これからも最後の人生を我が家で過ごすのかな。

卒業!


LN360のリアは2タイプ!
これは上下2分割タイプ。
もう1タイプは横開きタイプ。
広い開口部!
雨が降っても
後ろで寝れます。
ダッシュボードとハンドル
私の好みのタイプに
フロントはN360と共通です
開口部の広いN2タイプです。
遠出でも、高速走行・登り下りも絶好調です!
LN360は丈夫で壊れないクルマです。
ポイントとブラシは消耗品ですが。
あとはオイル交換さえコマメに行えば問題ないです。
クルマを大切にするなら、乗ってあげる事が一番ですね。
乗れば乗るほど調子が良くなります。
まあ、それも乗り方によりますが・・・。
イベントへは、家族ぎゅうぎゅう詰めで
LN360は、リアシートが狭いんですよね・・・。
しかしリアサイドのスライドガラスは
子供たちにも、とっても好評です。
この日は県外の旧車イベントへ行ったのですが
途中でソフトクリームを食べに休憩です。
家族を乗せるにも騙し騙し?