Case Cooling in Summer

「夏をのりきる冷却の工夫(1)」は、ケース内クーリングがテーマです。
なかぴい(Nakapy) さんから、すごい工夫がよせられましたので、その紹介を。

    2000.06.09  Takapen Signed   更新 06.10


夏の冷却は、ケース内クーリングから。

冷却というと、ヒートシンクに話題が偏りますが、実は大本はケース内のクーリングです。
まずは、以前にも紹介しました、わたしのマシンの温度変化を、あらためてごらんください。

熱関係の、主要諸源は以下の構成です。

ケース    Freeway FW-OTX-XS 250W
ファン    背面:排気8cm + 電源ファン(排気) 前面:吸気8cm(但し、この時は停止中)
CPU     Celeron533A@896MHz
クーラー   アルファPEP66T+山洋6cmDC PicoAce25(回転数センサー付)
ビデオカード Creative GB RIVA TNT Core115/Mem125MHz、α4.5cmシンク+4cmファン
HDD     Quantum LM20 7200rpm、FBEX-6400A 5400rpm、IBM DTTA371010 7200rpm
マザー    ASUS P2B-F


実験日は、5月1日、室温18度でした。

Temperatureの
M/Bは、マザーの監視チップ
CPU1は、ヒートシンク(コア横)
CPU2は、ビデオチップのヒートシンク

FanSpeedの
Caseは、ケース背面の8cmファン
CPU1は、ヒートシンクの6cmファン
CPU2(停止中)は、ケース前面ファン

<テスト条件>
起動後、2分間アイドリング後に、
FRを40分(6回)走らせ、
10分アイドリング後、
3Dmark2000を8分のアイドリング
をはさんで、3回実行。

<その後の改善対策>
CPUシンクからの排気が、ケースに
こもるようなので、ダンボールで排気
フードを作成し、排気がケース背面の
8cmファンに流れるように改良しました。
心持(1℃)程度ケース内はさがったかも。

青の線が、マザーの監視チップのサーミスタの温度です。PCI4番のスリット側についています。
マシンを起動し、負荷をかけると、CPUビデオチップが強烈に発熱します。
また、マザーのノースブリッジのBXチップHDD、メモリーも相当に発熱します。

これらの熱の大半は、ケース内に放出され、ケースの前後のファンで、外気と交換されます。
ところが、この外気との交換が追いつかないため、ケース内は徐々に暖められていきます。
これを「温室効果」と(私は(^^ゞ)呼んでいます。
地球温暖化とともに、PCオバークロッカー人間にとっては、存亡をかけた大敵なのです。

上記の実験では、30分後には、ケース内は室温と比べて、+7度になり、高温安定しています。
今、6月ですが、わたしの部屋はすでに30度になっています。
西日の日当たりのよい(><@)、クーラーのない部屋で、夏は「ダイエット・サウナルーム」と呼ばれています。
今ですと、室温30度、ケース内36度、ビデオチップ42度、CPU負荷時43度、CPUアイドリング時35度
といった感じです。真夏になれば、さらに+5度上昇します。灼熱疑獄ですね(^_^)V


自分で自分の首をしめる高品質CPUクーラー。

要は、CPUクーラーは、ケース内の空気を使って冷却しますから、
どうがんばっても、ケース内の空気の温度より下げることはできないのです。
さらに、温度差が小さくなればなるほど、冷却効率も下がります。
しかも、CPUクーラーががんばって廃熱すればするほど、
排気がケース内に充満し、ケース内温度を引き上げてしまうのです。

対策として、
ケースファンを増設する−>騒音発生マシン、
ケースの蓋を開けっ放しにする−>騒音・電磁波漏れもれ、ほこりまみれマシン
水冷化(CPUの熱を、水で外に持ち出す)−>重装備、水漏れ恐怖マシン
などが考えられますが、いずれもなかなか、なんだかな(・_・)です。

メーカー製のPCでは、Dellのパソコンのように、CPU+シンクにフードをかぶせ、
フードをケースの背面排気ファンにつないで、
CPUの廃熱を直接ケース外へ持ち出す構造をもった物があります。
なかなかすばらしい工夫と効果です。


わたしの冷却も、これに習って、シンクのファンにダンボール製のフードをかぶせ、
ダンボール製の筒で排気ファンに繋いでいます。効果はケース内−2度です。


これを、自慢しようと思ったのですが、
なかぴいさんから、もっとすごい工夫の情報が寄せられましたので、提供していただきました。


なかぴい(Nakapy)さんの、すごい手製ケース。

まずは、なかぴいさんから提供していただいた、
手製ケース側面板と、フードの写真をご覧ください。


ケース自身が、優秀そうなすごいミドルタワーですね。
側面のダンボールカバーに空いた、2つの穴にご注目ください。


カバーをはずしたところ。
2つの穴は、CPUのシンクのクーリングファンからの排気口と、
CPU、BXチップ、AGPボードへの外気吹き付け用の8cmファンの吸気口


ケース内は、このようになっています。
さすが、スマートケーブルを使われ、配線もすっきりしています。
空気の流れを妨げるものがなく、余裕のケースに仕上がっています。


吸気用の、前面ファンは外されているようです。
ダンボール製の台座に鎮座した8cm吸気ファンが、すごい!


CPUクーラーにかぶせてある、フードです。
ファンのケーブル引出し用の切りかきが見えます。


いかがですか(∂∂)♪、この工夫・この威容o(^-^)o。
これを見ると、2mmのアルミ板を加工して、作ってしまいたくなりました。
どこか、ケース屋さんが、いずれ商品化するのではないでしょうか。
その時には、なかぴいさんに、パテント料を払ってくださいよ!

最後に、なかぴいさんからいただいた、メールメッセージを紹介しますね。

<5月28日>
ところで、PEP66U改についてですが正確に表現するとPCケースも
含めたPEP66U改なのです。文字で説明するのはちょっと難しいのですが
CPUファンからの排気が直接ケース外にでればケース内の温度上昇が抑えれる
のではないかと思いたったのが始まりでした。PCケースの鉄板の側壁を
ダンボール紙に変えてPEPのファンの延長線上に穴を開けました。そしてPEP
のファン部分を包むようにダンボールで排気筒を作り、それがケースの側壁の穴に
ぴったりくっ付くようにしました。こうすることによってCPUファンからの
排気が直接ケース外にでるようになり、ケース内温度の上昇は最低限に抑える
ことができました。

気温25度、533A@896、1,9V仕様で
アイドル時(起動後2時間後)、システム28度、CPU38度
3Dゲーム終了直後(プレイ1時間以上)、システム30度、CPU42度

CPU温度高いように思うのですが、未だハングアップしたことはありません。
今までの最高CPU温度は45度ですが、これでも大丈夫でした。

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<6月9日>
その後、吸気8cm角FANを付けた時の温度結果は更に良好になりました。
アイドル時、室温25度、システム27度、CPU35度です。
また3Dゲーム稼動後の温度はシステム、CPU共に1〜2度上昇する程度です。

           5月28日/ 6月9日 Nakapy Wrote (gabagabahey@yahoo.co.jp)


驚きの成果です。環境が違うので、単純には比較できませんが、室温から見て、
私のPCより、ケース内、CPUともに、4〜5度は確実に下がっています。
うちのケースもこうすれば、533A@992MHz 安定が可能かもしれません。


なかぴいさん、すばらしい報告、ありがとうございましたm(._.)m。