河童セレのOC時の電圧昇圧の問題 |
河童セレを、オーバークロック・電圧昇圧した場合のCPU寿命について。
2000.07.01 Takapen Signed
はじめに
答えだけを求めようとせず、考え方を理解してくださいね。
なぜなら、オーバークロックは自己責任で、自分の判断力が問われるからです。
定格時のCPUの設計寿命の推論
まず、定格使用時に、CPUはどのくらいの設計寿命をもっているのでしょうか?
これは、メーカーからデータが公開されていないので、はっきりしませんが、
半導体の集積回路の場合、一般的には30〜50年ではないかと思います。
「はっきりしたことを、責任を持って書け!」と、メールをくださった方がありますが、
公開されていないので、はっきりしません。
そう思われるのなら、ご自分でお調べください。そして、責任を持って答えを教えてください。
いずれにしても、わかっていることは、定格であろうとオーバークロックであろうと、
CPUは様々な要因で、徐々に劣化し、いずれ寿命がくるであろうということです。
そして、その経時変化を最後まで見届けられたCPUは、
現役のパソコンでは、まだないであろうということです。
CPUの劣化をもたらすもの
CPUの劣化を論じる時、なぜ電圧ばかりを心配されるのかが、わかりかねます。
電圧よりも、温度上昇による物理破壊や、暴れる電子による後述する原因の方が、
問題だと思っています。
電圧を上げると、その2乗に比例して、発熱が増える
−> CPUの温度の異常上昇をまねきやすい
−> CPUの物理破壊がおきやすい
ということだと思います。
電圧に執着するのもよいのですが、冷却に無頓着なのは、いかがなものでしょう。
「エレクトロ・マイグレーション」
微細金属配線を流れる電子の流れによって(Coppermineの場合はアルミ配線)、
微細配線中の金属原子が押し出され、そこが穴があいて抜けた状態になる。
それが積み重なると、断線状態になってしまう。
これは、定格動作時にも起こっています。
が、0.18μ配線といっても、原子・分子レベルでは「大河」のような幅ですから、
影響がでることはまずありえません。これが、前述のCPUの設計寿命の元になります。
この現象は、電子の移動エネルギーが高いほど、速く進行します。
電圧が高いほど、また、電子の振動エネルギーが高い(温度が高い)ほど、速く進行します。
「トランジスタ絶縁膜の破壊」
過電圧をかけると、CPU内のトランジスタ(CPUは1000万を越えるトランジスタの集積回路です)
の絶縁膜がはがれてたり、電子が突き抜けて、トランジスタが物理破壊されることがあります。
電圧の設定を間違えて、3.3Vの過電圧をかけてしまった場合など、
瞬時にCPUがご臨終するのは、このパターンだとおもいます。
最近のBIOSでは、既定値+0.3Vまでなど、この過電圧がかかるのを防止しているようです。
BIOSによる電圧設定の初めのころは、マザーが出力できるV-core
すべてを選択できたため、
これでCPUを飛ばした人もいたと思います。
1.9Vは危険?何Vなら、安全?
まず、オーバークロックをして、規定外の電圧をかけるわけですから、安全などあり得ません。
安全に、保証の範囲でCPUを使いたいのなら、オーバークロックはやめたほうがいいですね。
私は、533Aを1.9Vで使用しています。(現在は1.85Vで960MHz安定)
「危険」といえば危険ですが、オーバークロック自身が規定外ですし、
わたし自身は、なんともない電圧だと思っています。
よく、「1.8Vかけるのは怖い!、1.65Vなら安全でしょうか?」という人もいますが、
それなら、オーバークロックをしないほうが安心で、熟睡できますよ。
Coppermineコアの規定電圧は、セレ1.5V、PenIII1.6V、1.65Vでしたが、
高クロック品では、1.7V−>と、徐々に引き上げられています。
両方とも、共通コアですから、1.7Vは安全圏と考えてよさそうです。
動作電圧は一般に、20%程度の許容範囲があると言われています。
それから考えると、2Vまでは、一応大丈夫と、わたしは判断しております。
実は、Intelのデータシート(仕様書)での、VcoreのMaxは、2.1Vになっています。
設計仕様と、繰り返しのメーカーテストの上で書かれるデータシートですから、
信じてよいと思っています。
ですから、2.0Vまでなら、突発事故(例えば端子ショートや急激な電圧変動)
さえなければ、なんともないとわたしは思っています。
よく、電圧アップでCPUが死んだ!という書き込みを見かけますが、
あれは大概、なんだかの事故か過失と、わたしは見ています。
例えば、差込時の端子ショートや、ほこりや水分によるリーク、
電圧の設定のミスで、3.3Vなんて過電圧をかけ、瞬間で飛ばしている。
冷却の問題で、熱暴走させ電子の暴走で内部回路が飛んだ、などなど。
特に、ペルチェの結露対策には、十分注意してください。
BBSで「書き込みを読んで、ペルチェを使ったら、CPUが壊れた。どうなってるの?」
なんて書き込みを読むと、おとといおいで!と言いたくなります。
私もそうですし、私の知っているオーバークロックのベテランの中で、
オーバークロックと電圧UPが直接原因で、CPUを飛ばしたという人は、
あまりいません。(CPUを死なせた経験のある方は、ままいますが)
CPUを飛ばしてしまっても、その原因が自分の操作・作業にあることを、
ちゃんと自覚していて、原因がわかっているのです。
ですから、また平気でV-core上げて、オーバークロックをするのです。
わたしは、DX・Pentium・Celeron・河童セレ、K6・K6-II・K6-IIIと、
オーバークロックは相当やっていますが、オーバークロックが原因で
CPUを死なせた経験はまだありません。
(はんだのミスでショートさせて、マザーをやってしまった大ミスの経験はあります(^^;;)
結論は、自己責任。壊れるものは、いつか壊れる。
いずれにしても言えるのは、
オーバークロックすることによって、確実に耐用年数は短くしているでしょう。
CPUの設計寿命が、30〜50年として、はずれで、仮に20年。
半分に寿命を縮めているとして、10年です。
10年後も、後生大事に今のCPUを使う気であれば、
オーバークロックはやめたほうがいいですね。
その時には、そのパソコンは、もう博物館に入っているでしょうね(><@)。たぶん。
私は、壊れたら、チャンス!とばかりに、最新に買い換えるつもりでやっています。
そのためにも、壊して惜しい!
と思うような高額のCPUには手を出さないことにしています。
購入基準は、2万円以下のCPUと、心に決めています。
(ちょこちょこ、4万円くらいなら手を出してしまっています(^^ゞ)が・・・。
文末ですが、記事をまとめる契機を提供してくださったakutozakuさんに感謝です。