PL-iP3/T Perfect Remodeling [1]

BXマザーの救世主『PL-iP/3T』の完全改造法です。
電圧制御とともに、CPUの温度監視もできます。
   2002.01.06  Takapen Signed   2002.02.04  Update 


PL-iP3/T Perfect Remodeling(1) 理屈編


このシリーズのコンテンツは、性格上たくさんの画像を含み重たいです。

また、手っ取り早く改造を!という方は(2)をお読みいただけばよいのですが、
それだけでは、単なる工作教室になってしまいます。
ぜひ「理屈編」もお読みいただいて、応用する力、生きた知識の素である、
しくみを理解する楽しみを味わっていただけば、幸いです。


先達の貴重な情報、混乱する情報。

本来なら、Celeron1.2やGA-OXETのレビューが先なのですが、
Celeron1.0A、1.1Aのリリースニュースが出た今、こちらの方が有益と思います。

PL-iP/3Tについては、いろいろな先達の試行錯誤の末の情報が発表されています。
その中で、『電圧が低め』『電圧の刻みが0.025Vでなく、0.05V』などの指摘や、
『オンダイのサーマルダイオードの温度が見れない』などの欠点も見つかっています。

また、明らかに誤りや誤解と思われる情報も、混じって流れています。
例えば、『1.875V設定でO/Cが安定した』や『1.850V設定以上では、電圧は既定値を上回る』
『電圧が、低くしかでない。マイナス0.25V』などです。
わたしも、最初は「そうなのか!」と思っていましたが、
データシートを検証したり、実測して、それらがなんだかの誤解であることがわかりました。


まずは、データシートと情報の収集から。

正確に理解し、改造を成功させるためにも、
以下の、先達のみなさんのページや、メーカーのデータシートをごらんください。

<メーカー>    
Powerleap http://www.powerleap.com  
PL-iP3/T http://www.powerleap.com/Products/iP3T.htm  
ST L6911E http://us.st.com/stonline/products/selector/424.htm  
Intel Celeron DataSheet http://developer.intel.com/design/celeron/datashts/  
<情報サイト>    
きち さん http://www2.justnet.ne.jp/~kiti/
http://www2.justnet.ne.jp/~kiti/Paso/00Tualatin/tualatin4.htm
PenIII-S 1.450V
電圧変更・結線法
tak-HOME http://www.icc.aitai.ne.jp/~tak/
http://www.icc.aitai.ne.jp/~tak/celeron1200.htm
Celeron1.2(Tualatin)1.475V
電圧変更・結線法
OverClocker's Dream http://overclocker.wakusei.ne.jp/Menu.html
http://overclocker.wakusei.ne.jp/Report/report1.html
Celeron1.2 と PL-iP3/T
の情報とレポート
gaoさん Grage親父 http://203.174.72.111/garageoyaji/
http://203.174.72.111/garageoyaji/PartsReorg/PartsReo_IP3T_01.html
PL-iP3/T
デフォルト電圧変更結線法
HIROMI'S Home Page http://www5a.biglobe.ne.jp/~hiromi-1/
http://www5a.biglobe.ne.jp/~hiromi-1/PL-IP3T.htm
PL-iP3/T
電圧可変改造法
CPUの内部温度を測定しよう http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-SanJose/5084/index.html
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-SanJose/5084/sloket.html
温度測定の大御所
PPGA下駄改造
tanukiの世界
TZさんの投稿レポート
http://www.biwa.ne.jp/~yok/
http://www.biwa.ne.jp/~yok/TOUKOU-REPORT/TZ/PL-iP3T.PDF
パターンカット法のTZさんの
先駆レポート。無段可変改造
popo Web Site http://www5b.biglobe.ne.jp/~h_koga/ 
http://www5b.biglobe.ne.jp/~h_koga/test/plvcore.htm 
パターンカット法の改造解
説と検証データ。
ASCII24
「オーバークロック研究室」
http://akiba.ascii24.com/akiba/column/overclock/2002/01/15/632743-001.html?  大御所KAZ'さんの解説



データシートより抜粋の基本情報分析

データシートの関連する部分を抜粋紹介します。

  (以下は、ことわりのない限りIntelのCeleron・Pentium関係のデータシートからの抜粋ですm(._.)m。)

↓ PL-iP/3T と Celeron1.2 の電圧情報信号VID線の組み合せ(ST L6911Eデータシート抜粋)
 青色の文字は、改造後の実測値です。

 「0」が、通電:Low
 「1」が、絶縁:High


『1.875VでFSB133が安定』というのは、間違いですね。
IntelのTualatinコア/PL-iP3/Tに1.875Vの設定はありません。
    1.850Vのピンアサインは「00100」 -> 1.050V
    1.875Vのピンアサインは「10100」 -> 1.075V
    1.900Vのピンアサインは「00011」 -.> 1.100V
1.100V程度でFSB133が安定したら、お化けです。
2の5乗=>32通りしかないことを、ご理解ください。
   
↓ 今回の改造対象となる信号線は、Celeron1.2の裏側右上に集中しています。 
 ピン配置図の全体像  Celeron1.2(Tualatinコア)のピンの名称・機能
   VID系=電圧情報
 Bsel系=ベースFSB情報
 THRM系=サーマルダイオード情報
   
↓ 旧コアのCeleronのピンアサイン情報
 FC-PGA(Coppermine)の情報
 VID4信号がありません。
 →Bsel信号とあわせて、Coppermineコア
  と認識させるようです。電圧は1.425V
  からの生成となります。 
PPGA(Mendocino)の情報
 VID4信号と、BSEL1信号がありません。
 →Mendocinoコアと認識させるようです。
  電圧は1.800Vからの生成となります。
 
   
↓ Celeron(Mendocino)コアのSEPPパッケージの端子番号とピンアサイン
下駄の改造をする上で、非常に参考になります。

赤●が、VID信号系の端子
  SECCパッケージのオーバークロック時に、
  端子マスクで、大変お世話になりましたね。

青●が、BSELピン、ベースFSBタイプ信号の端子。
  これも、SECCパッケージ時代の秘儀でしたね。
  B20は「Reserved」でしたから、
  『B21』マスク -> PentiumFSB100騙し!として、
  オーバークロックには必須のマスクでした。

緑●が、サーマルダイオード情報を伝えるTHERM系の端子
  B14がPPGA/FC-PGAのAL31ピンに相当
  B15が    〃      AL29ピンに相当
  下駄の端子がソケットのピンに配線されていないと、
  温度を監視することができません。

  初期の下駄では、配線を省いてありました。
  ソケットのピンの位置と、下駄の端子の位置が正反対に、
  遠く離れており、配線パターンが複雑になるためと思わ
  れます。どこかで、スルーホールで、内装基盤に落として
  やり、2層目か3層目を迂回させてやる必要があります。
  この当りは、私のMS-6905Dの記事をご覧下さい。

  残念ながら、PL-iP3/Tでは、全く結線されていません。
  手抜きはあかんぜよ〜!
   ↓ サーマル・ダイオード線のピンアサインです。
   ↓ BSEL信号線のピンアサインです。今回は、改造の対象としませんでしたが・・・。
   
次に、PL-iP3/Tに載っているDC-DCコンバーターの「ST L6911E」の分析です。(データシート抜粋)
↓ L6911E の電気系統図
今回、改造の対象となる電気系統図です。

青●が、CPUから来るVID0〜4信号の入力端子。

赤●が、生成後の電圧+を測るための「VSEN」端子。
  本来は過電圧検出用の、生成電圧の戻し端子です。

なお、マイナス(GRAND)は11番端子でも取れますが、
今回は信号の安定度を図る意味でも、電源のGND
(電源3ピンコネクターの真中のピン)に繋ぐことに
しました。
   
↓ L6911E のピンアサイン
青●が、CPUから来るVID0〜4信号の入力足。

赤●が、生成後の電圧+を測るための「VSEN」足。
  本来は過電圧検出用の、生成電圧の戻し足です。

青●は今回使いませんがマイナス(GND)足。

黄●が、今回発見した、驚くべき事実
  PL-iP3/Tを改造された先達HIROMIさんによると、
  『生成電圧が0.05V刻みになる』とのこと。
  私も改造後、同じ結果になり、導通を調べてみました。
  VID4足は10番のFBに導通し、GNDに落ちています。
  絶えずGNDに「通電:Low:0」になっています。
  HIROMIさんの改造、疑問は正しかったのです。
  上のVID組みあわせ表で、VID4の「1」の16通りは、
  ないことになるのです!
  どこで、VID4をFBに繋ぎGNDに落としているかは、
  L6911Eを剥がせばわかると思います(^^ゞ

なぜ、Powerleap社が、このようにしたかですが、
Coppermineコアとの互換性のためだと思われます。