PL-iP3/T Perfect Remodeling [3]

PL-iP3/T Perfect Remodeling(3) 残された課題編


   2002.02.02  Takapen Signed   2002.02.04  Update 


『パターンカット/足あげ法』と『結線法』の検証課題と仮説を整理します。

<パターンカット/足上げ法の残課題>

パターンカット/足上げ法の場合、PL-iP3/Tの出力電圧が、ほぼ理論値
(無負荷時)どおりになるのは、記事{2}において検証したとおりです。
残された検証課題は、負荷時の出力電圧と測定場所による電圧変化の
検証です。

負荷時の出力電圧の低下は、当然起こり得ることで、通常のマザーボード
においても相応の低下が起こっています。(私のGA-6OXETにおいて、1.825V
設定時の電圧は、無負荷時1.827V、負荷時1.794V、0.033V 約2%の低下)
『出力電圧が低い』といわれる要因のひとつが、日常このことを意識していな
い。今回初めて気がついたので、それがPL-iP3/T固有のものと思い込み
誤解となっているのでは、と思っています。

測定場所としては、VSENピンは前回調べましたので、(1)FETによる増幅・整流
後の電圧:コイル横の電圧 (2)CPUに供給される電圧:ソケットのVccピン の
2ヶ所を測れば、ほぼ検証作業は終了と考えています。


無負荷時と負荷時
の電圧の比較
     ↓
『低いという通説』
の誤解要因の解明

FET増幅後とCPUの
Vccピンに供給される
電圧の測定
     ↓
PL-iP3/T全体の、
電圧生成の精度
の検証。

<結線法の実測電圧の測定の課題>

一方、結線法の場合は、異なった感触が報告されていますが、残念なのは、
あまり実測されていないことです。O/C耐性の感触からの推論の域に留まっ
ています。
まずは、結線法での実測値を測定し、事実を明確にする必要があります。

 

結線法による生成電

の測定
     ↓
結線法を、実証のまな板
にのせる。
<結線法の不思議な振る舞いの解明課題>

私の予想では、結線法でVID4orVID3ピンをGNDピンである11番ピンに結線し
た場合、パターンカット/足上げ法とは違った結論になる可能性が高いと踏ん
でいます。その場合、PL-iP3/Tは、CPUを『Coppermine』コアと認識する?と
いうのが、私の仮説です。

前回の「理屈編」にて、TualatinコアとCoppermineコアのピンアサインの違い
について触れています。Coppermineコアでは、AK36番ピンは「Vss」となっています。
Vssはグランド線と思われます。ところが、Tualatinコアでは、AK36番ピンは「VID4」
となり、コア電圧情報ピンのひとつに役割が変更されています。しかも、データ
シートでは『VID4(25mV)』と、特別に表記されでいます。VID4は微力電圧で通電
されており、グランドとの間には電位差があると思われます。これを利用して、
PL-iP3/Tは0.13μmプロセス(1.4-1.5V)Tualatinコアと、0.18μmプロセス(1.6-
1.7V)CoppermineコアのCPUの違いを判別しているのではないか。
またCoppermineコアと判定した場合、VID4が「1」だと2V以上の組み合わせ
となってしまい、過電圧と成ってしまう問題をさけるため、VID4は最終グランド
に落とし、絶えず「0」としているのではないか?というのが、私の仮説です。


VID4(25mV)の役割・
機能の解明

PL-iP3/TがVID4を、
抵抗を経てGNDに落
としている理由の解明

<結線法使用上の注意喚起>

結線法は、まだ未解明な点、データもいろいろの状況があります。

私が結線法について、ちょっときつめに書いているのは、警鐘です。
理由も仕組みもわからない状況で、仮に間違った結線をすると、
一発ご臨終の高電圧がでる可能性が高い。その場合、CPUだけでなく、
下駄、マザー、メモリ、電源あたりまで被害が及ぶ可能性があります。
間違いなく結線したり、電圧を測りながらやれる人はいいのですが・・。

事故を起こさないためにも、テスターで測りながらやられるか、
定説の固まった部分だけで行く方が安全です。


 
<問題提起の補足資料>

以下、超長文・駄文ですが、きちさんの板に書いた文、また、わたしの板のももばば
さんへの返事を、問題を整理し、記事以降の状況を補う物として、引用させていただ
きます。長いですが、興味のある方はお読みください。
また、全実証としくみの解明は、ひとりでは時間的にも物理的にも困難です。
みなさんの体験や情報をお願いいたします。

------------ きちさんの板の私の発言の引用 -----------------

miyaさん、UMEKENさん、みなさんこんばんは。
貴重なデータやご意見、ありがとうございます。

<1>事実は全てに勝る。結果の違いに解決の糸口。

まず、お断りしておかなければならない点が3つあります。
ひとつ目は、どんな理屈より、事実が勝るということです。
その点では、miyaさんのデータも、UMEKENさんのデータも、
そして、私のデータも、たぶん事実だということです。

ふたつ目は、私の理屈はL6911Eのデータシートにもとづき、
その機能を、パターンカットという方法で切り出して実験し、
ほぼ理屈どおりの結果を得たということです。注意が必要
なのは、出力電圧をVSEN−GND間で測っているということ。
実は、PL-iP3/Tの全てを解析しているわけではありません。
もうひとつ、理屈が事実に勝てないと、冒頭申したのは、
当然のことながら、PL-iP3/Tの全ての回路・機能が公開され
ているわけではないということです。企業として当然ですし、
その中には特許も含まれているといわれています。
ブラックボックス部の機能を手探りで解き明かすわけですから、
まだ、発展途上の分析であること、お許しください。

みっつ目は、実践上ではやってみて結果が出ればそれで良し!
なのですが、それだけでは環境が変わった時に、応用が利か
ないということです。0.13μプロセスのTualatinコアだけでも、
1.450V、1.475V、そして今週末には1.500Vがでてきます。
当然、規定のVID信号の組みあわせが違います。それぞれに
対して、PL-iP3/Tの振る舞いが一定予測できれば、有益です。

ここまでの話で、勘の良い方は、いろいろな実験結果がでる
原因、そして今後何を検証しなければならないか、察しがつ
かれたかもしれません。
長くなりましたので、スレッドを変えますね。


<2>結線法と、パターンカットの根本的な違いにヒントが

まず、この間、いろいろな先達のデータが出ていますが、改造
方法も、また、結果検証の方法も統一されていないことが、混
乱の一因になっていると思います。

その中でも、一番重要でヒントになるのは、
「結線法」と、「パターンカットor足上げ法」で、結果がわかれて
いると思われる点です。
パターンカットではCPUからのVID信号情報を遮断し、
純粋にL6911Eの機能による出力が得られていると考えられ
ます。この方法の実験者の結果は、ほぼ一致していますし、
また、Intel/ST両社のデータシートにも符合します。
一方、結線法の場合、実験者によって、いろいろな結果が報告
されているように見受けられます。結線乗っ取りでの流れと、
CPUからのVID信号がかぶさって、違った結果を生んでいる
ように思われます。両信号で00,01,10,11の組み合わせが考え
られ、それが、5つのピンに対してあるわけです。
Umekenさんのおっしゃる通り、PenIII(Coppermine)コアでは、
1.850V以上があるのです。この点については、すでに私のレポ
ートにも、各コアの最低電力が違うこと、そして、そのコアの違い
をVID信号とBSEL信号(場合によると他の信号も見ている可能
性もあります)の組み合わせで見ていること、その違いのひとつ
がVID4ピンが機能しているかリザーブかの違いであり、さらに、
PL-iP3/Tでは、そのキーとなるVID4が絶えずGNDに落ちてい
ること、その目的はCoppermineとの互換を取るためと思われる
こと、BSELピンの乗っ取りもやってみる必要があるかもしれない
こと、  以上、L6911Eはデータシートどおりであるが、PL-iP3/T
全体ではなんだかの処理が加えられている可能性のあること
を示唆しています。これが証明できれば、Umekenさんの結果の
説明がつきますし、挙動の予測がつくようになると思われません
か。ポイントは、VID4とVSEN、VFB、そして、信号のかぶりです。
PL-iP3/Tは、これを上手に利用しているし、そこがノウハウでは?
と思われます。

<3>電圧測定位置と、PL-iP3/Tの機能解明のヒント

次に、電圧の測定位置が実験者によって一定でない点が問題
になります。私は、出力をVSENで測っていますが、それには理
由があります。前述したように、まず、L6911Eの機能を切り出し
て解決したかったからです。
ところが、PL-iP3/T全体では、その後に当然パワートランジスター
とコイルがはさまれ、大電流をつくり整流してCPUに供給してい
ると思われます。この点では、コイルの出力側をはかるのが、
PL-iP3/Tのトータルの結果評価には適切かもしれません。
実験者によって、測る場所と目的が違うのが、混乱の要因かもし
れません。さらに、PL-iP3/Tでは、これに独自のプロテクション
機能が追加されていると発表されていますから、さらに複雑かも
しれません。

結線法による結果から、PL-iP3/Tの全機能をさぐるには、最低
結線の全組みあわせを、規定電圧の違うCPU3種で行ったデー
タが欲しいところです。この点では、Umekenさん以外にチャレン
ジできそうな方を思いつきません。ぜひ、実験をお願いします。
私が、この結線法をとらなかったのは、結果が予測できなかった
からです。どんな電圧がでるかわかりませんから、1台しかない
実用機と実験機をつぶすわけにはいきません。

きちさん、みなさん、長文で板を汚して申しわけありません。
もし、お許しいただけるなら、こちらの板でさらに追求したいところ
ですが(来訪者も多く、多くの情報が集まりますので)、ご迷惑と
思います。この問題に興味や情報をお持ちの方は、私のHPの板
で続きをやってもよいのでは、と思っております。
みなさんの知恵と経験で、ぜひPL-iP3/Tを使い込みましょう。
ご迷惑をおかけいたしました。


------------- ももばばさんのスレッドへの発言からの引用 ------------

実は、あのレポート、未完成・不完全品なのです。
PL-iP3/Tの分析としていますが、終了したのはL6911Eの機能解明だけで、
PL-iP3/T全体では、まだ謎が多いです。とくに出力電圧については。
そういう意味では、「PL-iP3/T Perfect Remodeling」は誇大広告です(◎_◎)m(._.)m
パターンカット/足上げ法は、ほぼこれで決まりかなと思いますし、
何人かの方の実測値もほぼ一致しており、理論どおりです。

ところが、結線法になると、いろんなデータが飛び交っていて、
なにが決定打やら、信頼できる値やら?(゜_。)?(。_゜)の状況。
私が、1.875Vはでない!と決め付けたのも、
パターンカット/足上げ法に限ってであって、
結線法では出る可能性が高いと見ています。
PL-iP3/Tが、Celeron1.2を、規定1.45-1.50のTualatinとしてでなく、
Coppermineコアもしくは、それ以前のMendicinoと認識する可能性が・・。
その場合、32通りのVIDパターンは、それらのものに移行し、
2Vも可能かもしれません。

ちょっときつめに書いているのは、警鐘です。
理由も仕組みもわからない状況で、仮に間違った結線をすると、
一発ご臨終の高電圧がでる可能性が高い。その場合、CPUだけでなく、
下駄、マザー、メモリ、電源あたりまで被害が及ぶ可能性があります。
間違いなく結線したり、電圧を測りながらやれる人はいいのですが・・。