Tualatin completely works(2)

Tualatin動作のための、ソケット端子マスク、VID - VSSブリッジ法の改良型です。
P2B-FでのAGP高負荷時のリセット問題など、不具合を完全に解消できました。
   2002.04.17  Takapen Signed   2002.04.19  Update 


TualatinでよみがえるCoppermineマザー(4)

できれば、まずTualatinとPL-iP3/Tに関する記事を順番にお読みください。
重複する部分の説明は省いていることがあります。


Yehtさんの情報とTsutomuさんの解析、N-Yagiさんの実証

Tsutomuさんの解析到達点

前回、「VID-VSSブリッジ法」の改造記事を書いてから、ちょうど1ヶ月が経過しました。
その間、Tsutomuさんの解析はさらに進み、マスクすべきピンとその理論的根拠がわかって来ました。
Tsutomuさんは解析結果で、今回のポイントともなるAK4ピンの処理について問題を示唆されています。

AK4 端子絶縁必須
Tualatin
ではVTTが立ち上がったらプルアップされる。
yehtさんの発言では絶縁でいいとなっています。
プルアップほんとにいらないのかな???

Tsutomuさんのピンアサイン解析記事より引用
http://member.nifty.ne.jp/computerature/pstune.html

他にも解析と実証検証が必要と思われるピンを、一覧にされています。
氏のページをぜひ読んでください。
「Over spec liker's   http://member.nifty.ne.jp/computerature/top_indexa.html
その上で、マスク加工が必要と思われるピンを、以下の様に整理されています。

CPUの次の端子を絶縁する。     (2002/03/22更新)
・必須絶縁端子:  AN3,AJ3,AK4,X4,X345個所
・推奨絶縁端子
:  AG1,AK36,X23箇所
・調査中端子 
: AF36  (本来なら絶縁でいいはずだが
   Pentium3-Sで動作不可実績アリのため調査中)

   Tsutomuさんの解析改造記事より引用

 

yehtさんからもたらされたAK4(VttPWRGD)の処理情報


さらに、改造プロジェクト始動からちょうど1ヶ月たったとき、
台湾のyehtさんから、台湾での改造の到達点があらためて情報提供されました。
その中で、注目に値する情報がもたらされました。やはり、AK4の処理についてです。
AK4(VttPWRGD) を AK26(PWRGD) とジャンパー線でつなぐことで、AGPバスが安定するという情報です。
これまで、AK4は単にマスクしてるだけでしたから、VTTが起動してもプルアップされません。
これを、ピン側でAK4とAK26を短絡させることで、Vccの起動にあわせてVTTも起動したように見せかける
VTT起動信号騙しの追加改造になります。

N-yagiさんの解析とねばり強い実証実験

さらに、さらに、すごい解析・実証情報が、今度は日本のパワーユーザーから寄せられました。
N-yagiさんです。すでにTsutomuさんがそのすばらしさを評価され、氏のページからリンクされています。
N-yagiさんは、Dualでの安定化を追及されており、データシートの比較解析、
下駄のアサイン解析を、地道にテスターで追及されています。
その作業は、やってみればわかりますが・・・、ほんとうに根気強い探求心・熱意が必要で、頭が下がります。
Dual安定化に固有の、Dual動作に関わる信号を追求される中で、AK4の処理をされ好結果をだされています。

N-yagiさんの「Pc ManiaX」
http://www.ops.dti.ne.jp/~n-yagi/PCmaniax.htm

氏の改造とその実証実験は多岐にわたりますが、今回のAK4処理については、
『AK4を680Ωの抵抗を介してVttに吊る』という、PL-370/Tの解析に裏打ちされた試行です。
Tsutomuさんの問題提起を、実証で試されたことにもなります。また、その改造法がユニークです!

私も、N-yagiさんのBBSでの書き込みに刺激されて、
AK4を1KΩ(これしかなかった(^^;;)でVTTに吊ってみました。
BX6SEでは、完全に安定したのですが、残念ながらP2B-FのAGP不安定は解決しきれませんでした。


台日合作、無はんだ完全安定化改造法の原案

ここまでの情報を元に、かつ「はんだ」を使わない改造はないのか?
ということで、試行してみました。

<私のマシンで起こっていた不具合>

P2B-F(後期)+ MS-6905Master改 + PentiumIII-S 1.26(Celeron1.0A)
  レジスターを参照する動作をするアプリ・SMBを叩くアプリでハング
  AGPに高負荷をかける3D系ベンチでリセット
BX6SE + MS-6905Master改 + PentiumIII-S 1.26
  Celeron1.0Aでは安定するが、PenIII-S 1.26だとAGPが不安定

<今回の改造法>

 Tsutomuさんマスク
   ・必須絶縁端子: AN3,AJ3,AK4,X4,X34の6ヶ所
   ・推奨絶縁端子: AG1,AK36,X2の3ヶ所+調査中AF36
 TakapenのVIDピンマスク・ブリッジ 
   ・VID乗っ取りマスク AM36,AL35,AL37,(AK36),AJ37 の5ヶ所(推薦と1ヶ所重複)
   ・AM34(VSS),AL35(VID0),AK36(VID4),AJ37(VID3)を端子裏でブリッジ短絡
 yehtさん紹介のAK4とAK26のブリッジ
   ・CPUピンAK4とAK26を結線法でブリッジ短絡

AK4ピンの処理は、下駄端子側の絶縁で、CPUのAK4ピンとソケットを絶縁し、
CPUのピン側でAK4とAK26を結線して短絡させています。
これで、はんだなしで改造できます。
言葉で書くとわかりにくいので、後の写真や図を見てください。

これでも、まだ安定しない場合、はんだが必要になりますが・・
まだコンデンサー追加とVTT減圧改造もあります。またN-yagiさんの最新実験結果も参考にできます。
少しづつですが ・・> ほぼ決定打に近づいてきた感じです。

tak-HOME 言わずと知れた情報発信源!台湾のyehtさんの発言が書き込まれたtakさんのページです。
実証情報とあわせ、理論的な情報交流が活発に行われているメッカです。
英介のHome Page yehtさんの発言を英介さんが翻訳・解説し、各所のBBSで情報提供されたのが、
今回の大きな広がりを生みました。改造工作の達人がたくさん集まり、情報交換がされています。
popo Web Site PL-iP3/T改造でもVID信号の乗っ取りの先駆的な実験をされたpopoさん。今回もマザーや
石によるデフォルト電圧の不安定さを発見され、Vcore可変改造の先鞭をつけられました。
Over spec liker's 今や主力戦艦!Tsutomuさんのパソコン改造の部屋。今回の緻密で地道なデータシート解析、
改造の方向性の提示が、一挙に汎用化と安定化の道を開きました。その解析がすごい!
Pc ManiaX N-yagiさんの、Dual−Copperマザーでの、Tualatinの安定動作に向けた解析と実証のページ。
考えうることをほとんど調べ、試されていますm(._.)m。安定化の極意の宝庫です。



台日合作、無はんだ安定化改造法


以下、改造手順を解説します。

CPUを裏(ピン側から)見た図です。ソケットを見るときは、ひっくり返して考えてください。  
↓ の青●がマスクするピン。


    赤●がソケット端子を、合わせて銅線ブリッジするピンです。

    緑●はCPUのピンを結線します。

Tsutomuさんマスクと、VIDピンマスク+VSS結線乗っ取り
ピンアサイン図を、実際のソケットで見ると、下の様になります。  
ソケットのスライドカバーを
外した写真です。
今回の改造対象のピン受け
穴は、青のテープの見える
部分になります。

上の図のCPUのピンと、
ソケット側のピン受け穴・
端子の位置を良くご確認
ください。
まず下処理として、ブリッジ用の銅線を作ります。  
いろいろ試しましたが、
ソケット穴の間隔で銅線
を加工するのが、意外と
難しい・・・(~、~)

やっと思いついたのが、
この方法です(@_@)。
ピン結線をしたことがある
人なら、簡単ですね。
ピンから引き抜きます。
ピンセットなどで、
ループ部をつぶします。

少し間隔が広がりますので、
アールをつけるなどして、
間隔を元に狭めておきます。

完成した4穴ブリッジ用の線
ソケットにVID信号の乗っ取り用のブリッジを差込ます。  
台形型の広い方に、
ピンがはいり、左に
スライドして端子に押し
つけられます。

ブリッジ線は、できるだけ
台形型の狭い方の、ピンと
接地しない端子の裏側に、
差込ます。

ピンがスライドしてくると、
端子は押され下に押し下げられ、
結果、ブリッジ線に圧着する

よくできたしくみです(^^ゞ自画自賛
他のピンとショートを避けるという点で
今回は、加工しやすい
AM34 VSS と
AL35 VID0
AK36 VID4
AJ37 VID3

の4穴を、斜めにブリッジ結線します。
VID信号は「
00110」となり、
Vcore1.75Vの設定になります。
(最大オーバークロック向き(^_^)V)
「01000」の1.65V化、5穴も加工は楽です。

マチ針の先などで、
端子を向こう側に押して浮かし、
ブリッジ線を手前側に落としこみます。

何回かやって慣れると、
意外と簡単でした。

ピンが入ると、端子が写真でいえば
上に押し付けられ、ブリッジ線としっかり
接地します。

念のため、各ピン間の導通を確認すると
良いでしょう。
AN3 AJ3 AK4 X4 X34 ・・・ AGTL騙し安定化の
AG1 AK36 X2 AF36      Tutomuさんマスク
AL35 (AK36) AJ37 AM36 AL37・・・ VID信号ピンマスク(絶縁)乗っ取り
の13本のピンの、ソケット受け側の端子を、短冊テープ(ラピー)で絶縁します。 
 
慣れないうちは、苦労しました。
1〜2時間以上もかかって
いました。

ヒントはhigeさんの紙マスク法!

「端子に貼り付ける」という思い
込みで、端子に添わせて挿入
しようとするから、途中でひっつ
いて・・・イライラ、くしゃくしゃに(^^;)

端子は意識せず、穴の手前に、
す〜っと(すとん!と)いれてやれば
いいのです。

今は2分で13本できるように
なりました。最初のうちの苦労は、
なんだったのか(><@)

テープは穴に挿入後、
後でピンセットの背などで、
端子に押し付けて貼ってやれば
いいのです。簡単簡単。
VIDピンの関連端子の、
マスクとブリッジの様子。
上の写真とは反対側から
見てみました。

   ●    CPUのピン
 −−−−  絶縁用のテープ
 ====  ソケットの端子
   〜    ブリッジ用の銅線

という構造になっています。

反対側から、上から見ると、

   〜    ブリッジ用の銅線
 ====  ソケットの端子
 −−−−  絶縁用のテープ
   ●    CPUのピン

の順の構造がわかりやすいかも。

完成写真です。

テープの余分なはみ出しを、
1mmくらい残して切って
できあがりになります。

   
CPUのAK4とAK26ピンの結線ブリッジ
耐熱0.65mm撚り電線を加工します。
(細いリード線ならなんでもOK)

皮膜はAK4とAK26ピンの間隔
2.7mmを残して、両端の裸線は
長めに出しておきます。

撚り線を、3本残して抜き取ります。

くりくりくりっ!とよじります。
強度アップしますし、結んだ時に
ほどけにくくなります。

両端に結びの輪を作って、
下処理完了!

リード線の両端の輪を、
AK4とAK26にかぶせます。

きゅっと、引っ張って、
輪を締めつけます。

余分な裸線を切り取ります。
眉毛切り用の小さなハサミ
があると便利です。
結んだ電線の端が、他の端子
に触れないようていねいに切
っておきましょう。

これでAK4とAK26の
ブリッジ結線ができました。

ちょっと細かい作業ですが、
釣り針を結ぶことを考えれば

・・・・簡単(^^;;

 


メンディングテープに穴をあけ、
脱落防止、絶縁のために端子に
かぶせてできあがりです。
P2B-Fでも、完全に安定しました!  



今回の改造で、AGPに負荷をかけるとリセットしていた
P2B-F+MS-6905M改+Celeron1.0Aが完全に安定しました。

さらに、PenIII-S 1.26 を使った場合も
(BX6SEでもPenIII-Sではリセットすることがあった)
今のところ、全く問題が発生していません。
レジスターへのアクセス、AGP高負荷、また報告のあがっている
MSIEやPhotoShopでのフリーズ、なども克服できたようです。

同様の不具合がでていたBH6などでも、安定するかもしれません。
みなさんの挑戦の参考になれば幸いです。