Cover three Pins,Tualatin move!!

驚くべき情報です。
Coppermineコア対応までのはずのBXマザー(i810/i815 A-stepも?)で、
CPUのピンを3本マスクするだけで、Tualatinが動作しました。
   2002.03.07  Takapen Signed   2002.03.09  Update 


TualatinでよみがえるCoppermimeマザー

このシリーズのコンテンツは、メーカー保証外の使用法となります。
また、私もその動作や安全性を保障するものではありません。
自己責任にて、自分で結果責任を負える方だけお読みください。



ピンマスクの情報をもらう。

発端は、takさんのページに寄せられた1通のBBSの書き込みから始まりました。
それは、台湾のyeht』さんからの、片言の日本語での書き込みでした。
  takさんのページ http://www.icc.aitai.ne.jp/~tak/

わたしは、その情報を解読、解説された英介さんから教えてもらいました。
  英介さんのページ http://www.valley.ne.jp/~nhideo/index.htm

これまでにも、Coppermine下駄でTualatinが動作という情報はありましたが、
実際に動いた実例はなく、みなガセネタでした。
Tualatinになって、CPUの駆動の仕組みにいくつか変更点があり、
その壁は、そんなに簡単には乗り越えられないものと思われてきました。
唯一、PowerLeap社のPL-iP3/TとPL-370/Tが、
特別な技術でその壁を乗り越えた思われてきました。


説得力のあった『yeht』さん説、AGTLの仕様変更に着目。

今回、『ガセ』とは思えず、やってみる価値がある!と思った理由を簡単に書いておきます。

Coppermine−>Tualatinで変更されているわかっている点は、
1)Vcore電圧
2)AGTL+ −> AGTL(システムバス電圧)
3)例のPL-iP3/Tの電圧誤判定の原因になっている、VID信号の電圧差分判定型への変更
の3点です。
1)と3)にたいする対応はPL-iP3/Tの解析・改造のおり判明し、すでに記事にしている通りです。
そして、それだけならFC-PGA下駄でもよいのです(@_@)!

が・・。2)のAGTL-1.25Vの電圧生成への変更は、PL-iP3/Tも行っており、
これには、FC-PGA下駄では絶対対応できないので、手も足も出ない。
PL-iP3/Tが絶対必要とおもっていました。

ところが、AGTLの電圧判定線をマスクせよとの yehtさんの教え。
マザーから供給されるFC-PGAのAGTL+の仕様の1.50VがVTTにかかるわけですが、
動くのかな?

でも、考えてみれば、1.25V->1.5Vになるだけですから、20%印加した状態。
十分実用になりそう!ガセではなさそう!ということで、やってみました。
ピンを3本マスクしたら、動きました。
イレギュラーな電圧ですが、これくらいまでなら問題はなさそうです。

1.75V規定のCPUに2.2Vかけたり、1.45V規定のCPUに1.75Vかけたりしている我々ですから、
1.25V->1.5Vくらい、やってみよう!となぜ思わなかったのか?
バス信号の1/0情報の伝達と、その同期タイミングをとるシステムバスの
仕様の変更ですから、システムの根幹にかかわり「難しい」という固定観念ですね。

<参照> AGTL+やAGTLについては、以下の『PC WATCH』ページの解説がわかりやすいです。
  http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/20010719/key174.htm
  http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/20010222/key154.htm
  http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/20010201/key151.htm  

逆転の発想で実際にやってみたyehtさんは偉い!
その情報が、海を越えてtakさんのページにきた!
インターネットのO/Cネットワークはすごい!


Tualatinのピンのマスクのしかた

yehtさんの書き込みの主旨の分析と日本語訳は、英介さんがすでに行っておられます。
前述のリンクから、takさんのページや英介さんのページのBBSをまずお読みください。

以下、ピンマスクの方法について、実践解説をします。

まず、マスク対象となる3つのピンの位置を確認します。

   03.08追加

CPUの裏(ピン側)から見て、AN3、AJ3、AK4の3つのピンです。
この3本は、Coppermineまでは「VSS」ピンであり、グランド線でした。
ところが、Tualatinでは以下にその機能が変更されています。
 (また、AG1はVTT線になります。)
AN3 DYN_OE Power/Other
AJ3 Reaet2# AGTL Input
AK4 VttPWRGD Power/Other

それぞれの役割は、データシートを読みきれていませんのではっきりしませんが、
VTTの電圧判定制御用のピンと思われます。


<マスク方法>
CPUのAN3、AJ3、AK4 ピンを、リード線の皮膜にて絶縁します。



CPUのピンマスクの方法については、マニキュアで塗装する方法が知られており、
また私は以前、BSEL信号騙しの裏技で、セメダイン「ラピー」というポリエステルの
キラキラテープでの方法を紹介しました。
しかし、3本一編に、しかも動作に直接影響しますから、もっとしっかりした方法
ということで、今回はリード線の絶縁皮膜チューブをかぶせる方法をとりました。

チューブの太さについては、ソケットの穴にはいり、かつピンにもはまるもの・・・。
いろいろ試してみましたが、SCSIケーブルの芯線がぴったりでした。
ちょっとはまり難いので、チューブに切れ目をいれています。

ソケットにはめた場合、画面の写真でいうと右側から接点がきますので、
切れ目がそちらに行かないように工夫します。
また、接点はピンの中ほどを抑えますので、差し込んでもそこまでは皮膜できるようにします。

もし、絶縁できていないと、電源を入れてもCPUのROMデータを見に行かないようです。
マザーのBIOSすら起動せず、ポストコードは「FF」のままで、
マザーから電源供給するFANは回らず、CPUも熱くなりません。

SL02A++は、ソケットの穴が大きいので簡単でしたが、
MS-6905Masterのソケット穴は小さく、絶縁を取るのに苦労しました。



見事に、BXマザー+Coppermine対応の下駄で動きました。
バラック機で、TVをディスプレイにしていますので、見難くてごめんなさい。

驚きでした。こんなに簡単だとは。
システムバスの電圧は、当然AGTL+の仕様で流れています。
AGTL+  +1.50V
AGTL   +1.25Vの仕様だと思います。
実際、モニターによると、
GA-6OXETでは、1.248VでAGTLの仕様通りですが、
BX6SE+SL02A++改では、1.55V
BX6SE+MS-6905M改では、1.50VとAGTL+の仕様になっています。
下駄によってVTT(Core2電圧)の電圧が違っていました。
これも、おもしろい現象でした。

追記(1)03.08

下駄の端子マスクの可能性を書いたことがありますが、
よく考えると、また実際にピン<−>端子間の導通を調べてみても、
入力系のピンのようですから、下駄のVTTの端子との導通があちこちにあります。
下駄の端子マスクは成立しないのでは、と思っています。

Tualatinコアの正規のVTTは1.25VでAGTL規格です。
VTTに1.25Vをかけて基準0.83Vに対して±0.2Vの差動で、
High/Low 1/0の状態を判定することで信号を伝えています。

BXマザーや、i810,i815のAステップマザーでの、
AN3,AJ3,AK4ピンマスク(ピン折やパターンカット)
によるTualatinの動作の可否は、VTTに1.5VのAGTL+規格
の電圧をかけた状態の中で、High/Lowのディファレンシャル
(差動)判定が正常にできるかどうかで、決まるのではないか
と思っています。

また、ノイズや信号遅延の影響も受けやすく、下駄やマザーの
組合せで、動作の可否は微妙なのではないかと思っています。
電圧の振幅で、ON/OFF−>0/1を判定して流しているはずで、
この駆動電圧の高いことが、耐性や寿命に若干影響するかもしれません。

たくさんの人柱データをいただき、データベース化するために、
Tualatin動作可否報告板をつくりましたので、ぜひご協力ください。