袖のグレーデイング・一枚袖と二枚袖
袖の拡大は身頃の拡大に対応して袖ぐり線が拡大しますので身頃パタンのの変化とそれに対応する袖の部分の変化の状態を知らなければなりません。
Ptは二枚袖と同じです。巾の拡大は二枚袖では上下分離して行われましたが一枚袖では一緒に行われる為にPtは合計して拡大される点が異なります。
従って移動の順序も多少違って来ます。 一枚袖のでは袖巾の拡大分量は後方向(Btw + Utw×1/2)+ 前方向(Utw×1/2)となります。袖口でも同量を前後に取り、袖下線に平行線を引き
ましたので袖巾と袖口巾の拡大分量は同じになり袖口巾は広過ぎる事になります。袖口巾のPtはカマ巾のPtと同量なのでこの過剰分の調整を行います。
# 袖の移動ポイントは、袖山の湾曲線の形の拡大の微妙なバランスを崩さない為、また二枚袖と一枚袖の変化のため、双方に共通するポイントで
ある必要があります。
このHPでは一枚袖と二枚袖との操作の違い、Ptの計算方法の問題をテーマにしますので詳細、数値に付きましてはこの稿の末尾で計算式の表の説明で行います。
亦は『体型分析と原型』(小野喜代司著)133Pを参照下さい。
二枚袖のグレーデイング
同図は各ポイントの変動方向を示したで、
下段は二枚袖の拡大順序を示した図です。
#上袖の拡大
① 1→2 上袖丈の拡大
② 3→4 袖口巾の拡大
③ 4→5 元パタンの袖口線に平行線
④ 6→7 肘丈の拡大
⑤ 8→9 袖山の頂点の高さの拡大
⑥ 9→10 袖山の頂点の巾の拡大
⑦ 11→12 上袖の後縫い線と袖山線との交点の高さの拡大
⑧ 12→13上袖の後縫い線と袖山線とのの巾の拡大
⑨ 元パタンの上袖、袖山線の湾曲線を使い、<18>を<19>に移動し、<8>を<10> に合わせて<15> – <10>の袖山の湾曲線を描き、
<11>を<13>に合わせて<10> - <13>の袖山線を描きます。
⑩ 元パタンの上袖、袖山線の湾曲線を使い、<18>を<19>に移動し、<8>を<10> に合わせて<15> – <10>の袖山の湾曲線を描き、
<11>を<13>に合わせて<10> - <13>の袖山線を描きます。
① 1→2 下袖丈の拡大
② 3→4 袖口巾の拡大
③ 4→5 元パタンの袖口線に平行線
④ 6→7 肘丈の拡大
⑤ 11→12 下袖の後縫い線と袖山線との交点の高さの拡大
⑥ 12→17 下袖の後縫い線と袖山線との交点の巾の拡大
⑦ 18→19 下袖と後縫い線の横への拡大(この変更量の12 mm ×1/2=6 mm は袖底の湾曲を平らに換える意味で袖巾には関係ありません。
⑩ 元パタンの下袖、袖山線の湾曲線を使い、<18>を<19>に移動し、<11>を<17>に合わせて下袖の袖山線を描きます。
# 袖後縫い線の処理
⑪ {3}で引いた元パタンの袖口線に平行線 5 と上袖後側の13 とを結び、元パタンの曲線を肘線で横に滑らし、拡大パタンの後側の縫い線を記入します。
⑫ 下袖でも上袖と同様に[5] と{17}を結び、下袖の後側の縫い線を記入します。
# 二枚袖の拡大は袖山の拡大の後に巾の拡大は全て後袖縫い線で行い、前の縫い線では行いません。それは袖の中心線は身頃・袖ぐりのAe点を
通る垂直線ですので身頃との結合に変動が起きない様にする為です。その点に留意して下さい。
一枚袖のグレーデイング
② 3→4 肘丈の拡大 ・・・ 二枚袖と同じ
③ 5→6 袖山の頂点の高さの拡大 ・・・ 二枚袖と同じ
④ 6→7 袖山の頂点の巾の拡大 ・・・ 二枚袖と同じ
⑤ 8→9 袖山縫い線の縦方向への拡大
(註) 二枚袖の場合は下袖でも(Bth)の変更量を上方向に拡大しましたが一枚袖では
双方の分量は共通に一度の拡大でよい事になります
⑥ 9→10 1袖山縫い線の横方向への拡大、(Btw)の変更量を水平に後方向へ移動します。
⑦ 11→12 袖山後端の袖巾の拡大、変更量は(Btw)+(Uth)×1/2 を後端で拡大し、
⑧ 15→16 残りの(Uth)×1/2を袖巾の前端で拡大します。
(註) 二枚袖の場合では袖巾の拡大は袖の前側の縫い線では拡大せず、上下袖の後側の縫い線で拡大しますが、
一枚袖では巾の拡大は後側で行い、(Uth)×1/2だけ前側で行います。この点が一枚と二枚の場合の相違です。
一枚袖の袖筒の処理~A(肘ダーツの場合)
① 17 – 19 肘ダーツの頂点は後方向に11 – 12の変更量の1/2を移動します。
② 18 – 19 19より肘線に直角に垂直線を袖口線に下ろし、袖口線との交点を19 とします。
③ 先述の様に袖口巾の拡大分量は(Btw + Utw)ですが袖口巾の拡大分量はカマ巾と同量ですから(Btw + Utw)- カマ巾の変更量を計算して
19より前方向に取り、20とします。
③ 18 – 12’, 18 – 19 の部分を18を中心に前方向に回転させ、ダーツを拡大して袖口巾を縮小させます。
一枚袖の袖筒の処理~B(袖口ダーツの場合)
① 15 →16 肘ダーツの頂点は15 – 16 と袖巾線の後方向への変更量11 – 12 の1/2 を後方向へ移動します。
② 13→14 袖口ダーツの前側の線では13→14と袖口前側の拡大分量を後方向に移動し、16→14を結びます。
③ 袖口ダーツの後側の線では13→14の分量に(Btw + Utw)- カマ巾の変更量を加えて取り、16 – 12 を結びます。
④ 12 - 12 を結んで袖口線を完成させます。
袖山対比グレーデイングPt 計算式
Ladie's Patan Cutting のホームページ
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