(A)後巾は 3.0 cm 広くなるのに後肩巾は2.0 cm しか大きくならず 1.0 cm のギャップがでる。
(B)後肩巾は 2.0 cm 広くなるのに後首巾は1.0 cm しか大きくならず 小肩巾は1.0 cm のギャップがでる。
(C)前巾は 5.0 cm 拡大するのに肩巾は後肩巾と合わせて2.0 cm にしなければならない。
これは平面図形のX軸、Y軸では描画できない課題でどうしても立体図形の考え方が必要とされます。
【後身頃の操作とバリエーション】
① カマ丈の拡大(肩線の上方向への移動)
バストが 20 cm 拡大するとカマ丈は 2.0 cm 大きくなります。それで E – h – ab の肩線を垂直に上方向に移動します。
② 後巾の拡大
つぎにEは 20 mm 上がった点から左へ E – E’の後中心線を 30 mm移動します。
③ 後首巾の拡大
後の SNP点. h は 30 mm 移動した点より後首巾の拡大分量、10 mm 元の方向へ戻ります。バストの拡大量が 200 mm ですから後首巾は1/20 = 10 mm
拡大することになります。
④ 肩甲骨点の移動
肩甲骨点はカマ丈の 1/2 = 10 mm 上がった点から 30 mm 左へ移動し、後巾の拡大分量×1/2 =15 mm 右へ戻ります。
⑤ 後肩巾の拡大(肩点での拡大)
これには三つの方法が考えられます。(A)は原型の製図で行ったようにダーツを閉じた状態での E”~ab’(肩点)を計測して肩点の位置を決める
方法です。 ついでM"- M2"- ab"を倒してダーツを設定し、肩点 ab"を決める方法です。
(B)の方法
(a) 元パタンの h を拡大パタンの h’に合わせ、後中心線を平行に置いてダーツの開き口はそのままab”まで写します。肩線を ab”から ab’まで、
後肩巾の拡大分量 20 mm 延長してab’点とします。
(b) ab’点から袖ぐりの C1点(後肩丈の 1/4 の高さの点)に向けて袖ぐりの湾曲線を使って袖ぐり線を記入します。
(註1)
この方法は原型の書き順とは少し違い、ダーツは 20 mm 首側に寄りますが肩甲骨点は 15 mm しか寄らず、ダーツ線の方向が違って来ます。修正には
元パタンのダーツ線に平行に引き直しダーツの開き口を訂正します。
【方法の選択について】
(B,C)ともバスト80 - 90 cm 位まではこの操作は誤差は少ないので有効ですが 90 cm 以上になると後肩巾と後巾の差が大きくなり過ぎます。それで
疑心のある場合は(A)で確認するのが良いと思われます。
後肩点と背巾線の間隔は体型分析によれば背巾に緩みの入った状態でバスト80 で3.5 cm, 90で 2.5 cm、100で 1.5cmと次第に狭くなるようです。理由は
バストの増加につれて肩の後側の丸みが増加する為と思われます。ですから拡大によって次第に狭くなっても良いのです。上審のある場合は E-ab’を計測し
て調整して下さい。
【前身頃の操作とバリエーション】
前身頃のテーマは前巾は 5.0 cm 拡大するのに肩巾は後身で 2.0 cm の拡大である、と云う点です。これは当然で後巾と前巾の拡大の比はバスト80 - 100 cm の
間ではカマ巾の拡大分量を除いた分を1対2の割合で分け、前巾の方が大きいからです。
これはバスト・ダーツを拡げる事で吸収します。それには前脇の Np, H点の位置を前中心線からの距離と重心線からの距離との『ズレ』が解らないと
分量が確定出来ません。
原型では重心線からの後首巾の長さを利用しましたがグレーデイングでは原理は同じですが方法が少し違います。
① 前巾の拡大
前巾は重心線とバスト線との交点Bgから右へ50 mm 拡大します。
② 乳間の拡大
Bp点は 50 mm 拡大した点から乳間の拡大した分量 5 mm 脇側へ戻ります。
③ 前丈の拡大と前SNP, H の拡大
H1'点は後身と同じく先ずカマ丈の分量+前丈の増加分を加えた分量を垂直に上に移動し,前巾 - 前首巾の増加分を左に戻り H1’とします。
H1は前丈変更量から前首丈変更量を差し引いて上に移動します。H1'と H1 は元パタンの湾曲線を写して首繰り線を記入します。
④ 前肩丈の拡大
袖ぐり線は元パタンの湾曲線を延長します。分量は後身カマ巾の変更量の9/10を出します。(註4)
(註4)
前肩丈の拡大は後のカマ丈の増加分の9/10 としたのは斜め方向への拡大のため垂直方向よりも短くなる為です。元パタンの肩点と拡大パタンの肩点を
夫々Bg点と結び、重心線上に戻すと少し間隔は広くなります。それを見越して1/10 短く設定します。
⑤ 前肩線の設定
拡大された Bp’を中心に Bp - H1'をコンパスに取り、H1' から右へ円弧を振ります。[4] で拡大された肩点から後身頃の小肩巾を取り、H1”として
H1”~ab”を結びます。
次に原型製図の際に行った同じ方法で別紙に Bp - vl’- H1’を移し、右に回転させてH1’を H1”に合わせ、H!”- f - Bp を移し、左に
戻して H1’- e - Bp を記入します。
⑥ カマ巾の拡大、W線、H線の調整
更に前後のカマ巾を拡大し、ウエスト線、ヒップ線を切り上げて完成させます。この部分の詳細は省略します。