|
地球帝国の興亡
序文
あの戦争が終結してからはや五年が経つ、私は幸か不幸か開戦から終戦までを見届けた、二十二年前、共に地球帝国軍に入隊し訓練を積み、そして共に戦ったかけがえの無い同期達、付いてきてくれた部下、皆尊敬に値する素晴らしき上官達、その多くは祖国の終焉を見ることなく彼岸の地へと旅立った。
しかし、文章などせいぜい日記程度しか書いてはいないかったこの私がこともあろうに今は無き地球帝国の戦史を書こうなど無茶の極みだろうとも思う、人の見るに耐えないものになるかも知れない、しかしこの現状、あの戦争の勝者となった神聖ローザリア帝国により故意に歪められようとしている帝国軍の誇りと名誉、私はそれを見過ごすことはできない。
・・・ローザリアは変わった、二十年前、第二次人類生存戦争を共に戦った時の常に先頭を駆けるあの誇り高き騎士達の姿は今は見られない、彼らの精強さの源、騎士道はどこへ行ってしまったのだろうか、思えば共に側で共に戦った3人の男女の騎士達、(彼らの名前を出すことは差し控えたい)私はその三人に友情のみならず尊敬の念を抱いていた、彼らは今なにをしているのだろうか、私は彼らがいまだに騎士の誇りを守り続けている事を信じてやまない。
・・・なぜだろう、世界はなぜこのようなことになってしまったのだろう、二十年前、仲間達と別れの時に誓ったはずなのに・・・「たとえ、生まれた星と国は違っても、俺たちの友情はいつまでもだ、また必ずみんなで会おう」あの時皆で肩を組み涙を流しながら誓ったあの約束は一度たりとも忘れたことはない、その時誓ったあの約束は戦場で殺しあおうとの意味では決してなかったはずなのに・・・。
そろそろ、本題に入ろう、地球帝国軍が戦った主要な戦争は第一次人類生存戦争に始まり、ローザリア干渉戦争、世界が連合国と同盟国に分かれ戦った世界大戦、二五〇年前の悪夢の再来となり全国家が同盟を結び戦った第二次人類生存戦争、そして祖国を失うことになった大アルジア・ローザリア絶対戦争、地球帝国がもてる総力をつぎ込んだ戦争は以上だが、宇宙秩序維持評議会の要請による他星の災害救援、宇宙平和維持軍としての派兵等まで含めればもはや私の扱いきれる数ではない。
そのためまずは全ての発端となった第一次人類生存戦争から記そうと思う、ごん存じのとうり地球帝国が誕生するきっかけとなった人類生存戦争は今より二百八十年前に勃発した、もはや歴史の中の話であり、小学生の歴史の教科書にも記されている、多くの映画や小説の題材にもなった戦争だ。
帝国英霊記念館の展示物の中に当時の戦車、その名前を90式戦車という、があるのをご存知だろうか、この戦車の前の石版にこの戦車と共に戦った乗員の名が刻んである。
車長、神保忠昭
砲手、神楽坂桜花
操縦手、神内護
とある、彼らは戦争で戦車戦における最多の魔獣撃滅記録を残し、英霊記念館に自分達の愛車とともに名を残している。
私事で恐縮なのだが、実は神内護とは私の直系の先祖である、この偉大な先祖のおかげで私は機甲教育隊に教育入隊していた時に失敗すると皆に「ご先祖様が泣いてるぞ」と言われそれは苦労したものだった。
当時は私にプレッシャーをかけてくるこの先祖を実に憎らしく思ったこともあったが、今となってはそれも懐かしい思い出だ。
しかし、私の実家で偶然に私が見つけた彼の日記から浮かんでくる彼からは後に英雄と呼ばれる姿は今ひとつ想像しがたいものだった、訓練時に神保車長に叱責され半泣きになった事、事故を起こしかけ一時期操縦が怖くなった事、同じく私の先祖の天宮沙紀と喧嘩してだいっ嫌いと言われ仲直りするまで全てに無気力となった時の事、まだまだ多数あるが今はこの程度に留めたい。
一般的に彼のイメージは後の映画や小説の中で形づくられたものであるようで多分に美化されている感が強い、しかし日記からは、それとは正反対な姿が浮かんできた。
しかし、彼が常に最前線で戦ながら、五年間で当時の地球の人口の半数以上が死滅し全ての世界秩序と国家を崩壊させた第一次人類生存戦争を戦い抜き戦史に名を残したことは紛れもない事実である。
そして、彼の残した神内日記(表紙に自らそう記してある)から、地球帝国軍の前身となった、地球防衛軍の獅子奮迅の死闘をまず第一部で記そうと思う、なお彼の日記からの描写のため直接趣旨とは関係ない部分も多々あるが(当時彼女であった天宮沙紀との付き合い等)これも彼の知られざる姿ということでご了承願いたい。
いつの日か引き裂かれた祖国、地球帝国が再建される日が必ず来ることを信じ、そしてこの書が次の世代に帝国軍の偉大な先達たちの業績と魂を伝えられることを信じてこれを記す。
西暦二二七三年一二月八日
元・地球帝国陸軍、第一戦闘団「グングニール」所属第一機甲大隊第二中隊隊員 神内衛
あとがき
地球帝国の興亡、本編ようやく始まりました、CGのコーナーのなかに「地球帝国の興亡」と書いてあるものがありますが、それらはこれからのお話の中で出てきます。ですから話自体はかなり前から頭のなかにあったんです。本当は5年くらい前から(笑)これから本編も増えていきますのでお楽しみに。
|