財団法人 常盤山文庫について

 昭和18年(1943)、常盤山文庫は鎌倉の地に実業家の菅原通濟氏によって創始された。
そのおもな収蔵作品は、禅僧の書である墨蹟、水墨画、古筆、工芸品などで構成されるとともに、
通濟氏の父恒覧氏が収集を始めた菅原姓にちなんだ天神さまの美術作品を収蔵していることもひとつの特色である。
 またこれらの収蔵作品には、国宝2
件、重要文化財23件が含まれる。
 現在は公開されてはいないが、中国陶磁研究会や展覧会などのさまざまな活動を通し、社会に貢献できるよう努めている。


収蔵作品紹介
常盤山文庫の墨蹟

 墨蹟とは広くは墨で書かれた書のことをさすが、ここでは禅僧によって書かれたものについていう。
常盤山文庫の墨蹟は、中国、日本両国の禅僧、宗派も臨済宗、曹洞宗にまたがり、時代も13世紀から16世紀と広範な範囲をカバーしている。
 その作品には、現存が一点のみしか知られていないものも含まれる。


常盤山文庫の古筆
 古筆とは平安時代から鎌倉時代の間に、仮名で主に和歌を書したものをいう。
常盤山文庫所蔵の作品は、吉田丹左衛門・原三溪両氏旧蔵を収めた「ひぐらし帖」31点の他、総数40点以上にのぼり幅広くさまざまな手跡をみることができる。
 高野切、関戸本古今集切、古今和歌六帖切、香紙切、石山切などが知られている。

常盤山文庫の絵画
 絵画の部門では大和絵・仏画・水墨画・近世の作品に類別され、幅広く収集されてきた。なかでも禅林社会と関わりのある作品が少なくない。
 中国絵画「送海東上人帰国図」は去り行く人物のため、見送る友人たちが画面の余白に詩等を寄せ書きした送別図の古例である。この作品はある日本僧が帰国に際し、中国の儒者2名から贈られた作品である。作品を贈られた人物については不明だが、作品の制作時期には禅宗をはじめ多くの留学僧が中国へ渡っており、こうした人々がその後日本においても制作された送別図を伝播させる役割を担ったことは確かであろう。そして日本での受容の一例として挙げられるのが、「帰郷省親図」であり、京を去って故郷へ帰る人物のために13人もの禅僧が賛文を寄せている。
 また、著賛を伴う作品や水墨画の主題として好まれた「寒山図」「拾得図」「白衣観音像」「達磨図」等も収蔵され、墨蹟の収蔵品と絵画の収蔵品が強く結びついたコレクションを形成している。

常盤山文庫の天神

天神(菅原道真)信仰に伴い制作された美術作品をまとめて収蔵し、絵画・版画が主軸となっている。絵画での天神像は渡唐天神、綱敷天神、束帯天神などの姿に表現され、制作時期も南北朝時代から明治時代までと多岐にわたる。
  また、浮世絵については絵画と重なる図像を用いる一方で、歌舞伎「菅原伝授手習鑑」に題材をとったものが多く制作されており、墨摺絵の天神像や錦絵の役者絵などが収蔵される。

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