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[伝説的な日本の60、70年代写真集が海外で復刻:『THE JAPANESE BOX』/日本カメラ2002年4月号:168]


 雑誌『PROVOKE(プロヴォーク)』全3冊と、3冊の写真集、中平卓馬『来たるべき言葉のために』、森山大道『写真よさようなら』、荒木経惟『センチメンタルな旅(私家版)』の復刻版がパッケージされた、『THE JAPANESE BOX』が昨年末から発売されている。ここに復刻された写真集が、入手どころか見ることすら困難であり、まれに市場に出回っても極めて高価であることを考えると、225ドルという価格はけっして高いものではないだろう。何しろ、伝説的な写真集が6冊まとめて一気に手に入るのだから。
 パッケージはコレクターズ・アイテム的な仕様で、白いダンボールを開封すると、THE JAPANESE BOX、そして多木浩二・高梨豊・中平卓馬・森山大道・荒木経惟という白い文字がプリントされている黒い木箱があらわれる。木箱を開けると、蓋の裏側にエディション・ナンバーが記されており、黒い紙に包まれた写真集が、赤のラバーバンドで十字に留められている、という凝りようだ。
 この出版は、ドイツのステイドル社の企画によって実現したものであり、このところの60年代70年代の再評価の流れの上にあるものだろうが、いずれにしても、アンダーグラウンドなカウンターカルチャーが、こうして歴史化されることは感慨深い。『PROVOKE』創刊号の序文には、次のような一節がある。
 「映像はそれ自体として思想ではない。観念のような全体をもちえず、言葉のように可換的な記号でもない。しかし、その非可逆的な物質性―カメラによって切りとられた現実―は言葉にとっては裏側の世界にあり、それ故に時に言葉や観念の世界を触発する。その時、言葉は、固定され概念となったみずからをのり超え、新しい言葉、つまりは新しい思想に変身する」
 この難解かつ、いささかナイーヴなマニフェストが、その後写真表現にどのような影響を与えたかは未だ定かでないだろうが、この復刻版という物質性が、今日の何を触発し、挑発するのか、興味をそそられるところだ。