ヘイとアントニィ・ロゥリィが言う


え・・純愛小説です(ぇえ
えー・・説明しにくいんですが、そのくせ恋愛がメインではないです。
そっちの方の描写も手をつなぐ程度です。
オープニングはごっつこっぱずかしいんですが。
あー・・・何と言うか、「壁のはなし」くらい狂ってるので
そこだけ苦手な方は注意していただければ。
あと、あんまりポケモンじゃないです。
寧ろ違うものだと思ってもらった方が読みやすいんですが、
書いてるときの映像的なイメージはポケモンだったので。

ちなみにアントニー・ローリーはマザーグースです。
興味の湧いた方は検索してみてくだちい。

そんなに長くないですが読みづらいと思うので、暇な時にでもどうぞ。





















「共に行こう。愛するあなた」。        ヘイとアントニィ・ロゥリィが言う 私が初めて彼女を見た時、それは培養液を通してだった。 どちらがそれに浸かっていたのか、今となっては定かではない。 兎に角、粘性のある液体を通して歪んだ彼女の笑顔が、ひどく美しかったことを覚えている。 私が夢中で手を伸ばすと、それは硬い硝子にぶつかった。 私はとても悲しかったが、私の力では破ることが出来なかったので、私は泣いた。 すると彼女が、どうしたのか、と聞いた。 私が、この硝子が邪魔でそちらに行けないんだ、と言うと、彼女はまた笑って、 それでは仕方が無いから硝子越しで話をしよう、と言った。 そして私達は毎日会って、色々な話をした。 ごく些細なことばかりだった。 たった数世紀前に起こった氷河期のこと、 それを生き延びるには弱すぎた種族のこと、 鳥達の良心のこと、 黄金の宮殿のこと、 そんな世間話ばかりだった。 彼女は良く笑い、その度に私の胸は高鳴った。 彼女には内緒で、私は体を鍛えていた。 彼女と私を遮る硝子を破るために。 ある日、私は空の話をした。 珍しいな、と彼女は笑った。 私は、例の空塗りの話をした。 私は彼をいけ好かないと言ったが、彼女はそのいけ好かなさが良いのだと言った。 少し私に似ているのだと、笑った。 私は彼女の笑顔に手を伸ばした。 それは硬い硝子にぶつかった。 私はそれを押した。 それにひびが入った。 それが砕け散った。 培養液が酸化して、どろどろががさがさになり気持ちが悪かったが、気にはならなかった。 彼女はひどく驚いたが、一瞬眩しそうに眼を細め、私に笑いかけ、 そして手を伸ばした。 私はそれを取った。 彼女には私のような力は無かったし、二人とも二本脚だったが、 運の良いことに、彼女の腕と長い小指の間には丈夫な膜が張られていた。 私は彼女の尾に捕まって、空を飛んだ。 白の色さえ無い重い空、私はまた空塗りに関する愚痴を零した。 彼女は笑って、あなたも随分ゆっくりしていたでは無いの、と言った。 私はずっと待っていたのに、と。 重い空を飛んだので、彼女は直ぐ疲れてしまった。 私は追っ手に見付からないように急ぎたかったので、彼女を背負って走った。 彼女が飛ぶよりゆっくりだったが、端は直ぐに見付かった。 彼女がまた飛ぼうかと提案したが、私は駄目だと言った。 ここの空はぼとぼとと音を立てて下に落ちる程重たいのだ。 あなたに無茶はさせられないよ、美(うま)しいあなた、と私が言うと、 それではここをどう落ちるつもりか、空の落下速度はあまりにも速い、愛(いと)しいあなた、と彼女が言った。 確かに飛び込むには危険が過ぎる。 果てまではまだ遠いのだ。 すると、とても美しい男が舟を準備しているのが見えた。 すみませんが、私達も乗せて貰えませんか、と私が尋ねた。 追っ手が迫ってきている。 ああ、でも、あなたとあなたのその尾でその舟はいっぱいになってしまいますね、と彼女が言った。 すると彼はにまりと笑い、大丈夫ですよ、そちらの男性はとてもすらりとしていますし、 それにこの尾は櫂に使うんです、と言った。 私達は彼に感謝して、舟に乗り込んだ。 追っ手の長い舌が見える。 間一髪の所で、私達は舟を出した。 舟はゆっくり落ちていった。 私は本棚を捜したが、この辺りには無いようだった。 直ぐに果てへの海が見えて、舟はとぽりと着水した。 それでは有難う、と言って私達は舟を降りた。 彼は私達ににたりと笑いかけてくれ、愛(かな)しき恋人達に尾巻きの祝福あれ、と言ってくれた。 私達は波の上を、手を取って歩き出した。 私はそれからの時間のことは覚えていない。 果てへの旅は、得てして限りある命のものの理解を超えるのだ。 私で無い私が、それを記憶の湖に浮かんだままにしておくのは危険だと判断したのだろう。 けれど、彼女がずっと共に在ったので、それは空虚ではあれ苦痛ではなかった。 私達は片時も手を離さなかった。 それだから果てへ辿り着けたのだ。 辿り着くには真実の愛が必要な訳ではないが、 結局の所何が必要なのか、何か必要なのかさっぱり分からないのだし、分かる必要こそ無いのだ。 果てには把手付きの桶が置いてあった。 それには書置きが一枚入っていて、こう書いてあった。 「食事でも採りに行ってくる。勝手に影でも追いかけていればいい。俺はその内帰る」 これを見て、私達は顔を見合わせて笑った。 空塗りが仕事をしなくなっていくらなのだろう、と私が言うと、 我等がここに来るまでの時間が計れないのだから分からない、と彼女が言った。 それから二人、また思い出したようにくすりと笑った。 何だって良い。 私の隣に彼女が居る。 共に生こう。愛しいあなた。 With a rowley, powley, gammon and spinach,

最後の「愛しい」は「いとしい」でも「かなしい」でも意味は同じです。 なんとか題名のアントニー・ローリー以外にカタカナを使わないように試行錯誤。 外見のイメージモデルとしては、彼女がプテラで舟の男がキュウコン。追っ手はあんまりベロリンガじゃない。 私は人間に近いものかな。 ロゥリィ、ポゥリィ、ベーコンにホウレンソウ、 この歌を知っている人は恋人たちが最後にどうなったか思い出して、一人にやりと笑ってください。