健康(劇団健康)

 「有頂天」のヴォーカルでナゴムレーベル主宰のケラリーノ・サンドロヴィッチ氏が立ち上げた劇団。というか集団。結成当時は「劇団健康」で、その後「健康」になった。メインの役者さん達は殆どその後進の「ナイロン100℃」に移行。
 いわゆるこのテの小劇場系の芝居を観たのは1992年のこと。先輩達に連れられて本多劇場に足を運んだのが、その先輩(達)がハマっていた(「有頂天」の方が先なのかな?)「健康」の最終公演(というのは後から知ったのだけれど)だった。これが、もう、とにかく衝撃で、それ以来自分は芝居というものにハマったんでした。その当時で出ていたビデオを何度も観たし、その流れでモンティ・パイソンにも手を出したし、果てには文化祭でステージに立ってしまったほど。インプリンティング的かもしれないけれど、今でもこれがオンリーワンだと思う。この頃のビデオ、出してくれないかなあ(ムリだろうなあ…)。


健康Vol.14「スマナイ。-PARTY MIX-」at 下北沢/本多劇場(19920817)
 

劇団健康Vol.15「トーキョーあたり」at 下北沢/本多劇場(20050813)
 

ナイロン100℃

 「健康」解散後、ほぼ同じメンバーで立ち上げられた劇団(主宰:ケラリーノ・サンドロヴィッチ氏)。


1st SESSION インタラクティブテクノ活劇「予定外」at 下北沢/本多劇場(19930817/22)
作/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

2nd SESSION「SLAPSTICKS」at 新宿/シアターTOPS(19931224)
作/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

3rd SESSION「1979」at 新宿/シアターアプル(19940604)
作/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

SIDE SESSION#1「喜劇 箸の行方」at 吉祥寺/バウスシアター(19940702)
作/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

4th SESSION「NEXT MYSTERY」at 池袋/東京芸術劇場小ホール2(19941114)
作/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

5th SESSION「ウチハソバヤジャナイ〜version100℃〜」at 下北沢/本多劇場(19950508)
作/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

Side SESSION #3三宅弘城ソロ・レイトショー「悟空先生対アメリカ先生」at 新宿/シアターTOPS(19950901)
作/演出・出演:三宅弘城 構成・監修:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

6th SESSION「4.A.M.」at 新宿/シアターTOPS(19951203)
作/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

Side SESSION SPECIAL「アリス・イン・アンダーグラウンド」at 新宿/SPACE・ZERO(19960309)
脚本/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

7th SESSION「下北ビートニクス」at 新宿/シアターアプル(19960518)
作/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

8th SESSION「フリドニア〜フリドニア日記#1〜」at 新宿/シアターTOPS(19960731)
作/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

9th SESSIONノンストップサクセスストーリー「ビフテキと暴走」at 青山円形劇場(19961014)
※第10回青山演劇フェスティバル参加作品
作/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

10th SESSION ANNIVERSARY「カラフルメリィでオハヨ'97〜いつもの軽い致命傷の朝〜」at 下北沢/本多劇場(19970429)
作/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

Side SESSION #4「インスタント・ポルノグラフィ」村上龍「ラブ&ポップ」 谷崎潤一郎「鍵」 山田太一「早春スケッチブック」他よりat 代々木/フジタヴァンテ(19970614)
※第7回ガーディアンガーデン演劇フェスティバルinフジタヴァンテ特別公演
脚本/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

11th SESSION「カメラ≠万年筆-1985 SUMMER-」近過去劇二本立て公演〜1985〜at 下北沢ザ・スズナリ(19970816)
作/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

12th SESSION「ライフ・アフター・パンク・ロック-1980 SUMMER-」近過去劇二本立て公演〜1980〜at 下北沢/ザ・スズナリ(19970816)
作/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

13th SESSION「フランケンシュタイン〜Version100℃〜」at 新宿/SPACE・ZERO(19971214)
原作:メアリ・シェリー 脚本/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

14th SESSION「ザ・ガンビーズ・ショウ」at 池袋/東京芸術劇場小ホール2(19980307)
「GO! GO! ガンビーズ」
作/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 宮藤官九郎(大人計画) 児島雄一(ジョビジョバ)
「ガンビーズ 絶体絶命」
作:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 故林広志(ガバメントオブドッグス) ブルースカイ(猫ニャー)
演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
「ガンビーズ大爆発」
作/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

Side SESSION #5「吉田神経クリニックの場合」at 中野/ザ・ポケット(19980511)
モンティ・パイソン×別役実×ケラリーノ・サンドロヴィッチ
※ザ・ポケットプレオープニング作品
構成/脚本/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
原作:別役実「受付」/ モンティ・パイソン「モンティ・パイソンズ・フライング・サーカス」

Side SESSION #6「Φ(ファイ)」at 中野/ザ・ポケット(19980625)
ヨシタケシンスケ×井出雅子×ケラリーノ・サンドロヴィッチ
※ザ・ポケットオープニング作品
構成/脚本/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ オブジェ製作:ヨシタケシンスケ
行ってきました。チケット取り逃して一時はどうなることかと思いましたが。
感想。ぐだぐだ御託を述べる前にこれだけ言っておこう。
おもしろかったーっっ。
確かに昔(私が芝居にはまるきっかけとなった「スマナイ。PARTY MIX」など)程の衝撃はないけれど。 でもでも、今回のナイロンは私が求める、私好みの作品だったです。以上(おい)。

15th SESSION「フローズン・ビーチ」at 新宿/紀伊国屋ホール(19980823)
※第43回岸田國士戯曲賞受賞作品
作/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

Side SESSION SPECIAL「偶然の悪夢」at 青山円形劇場
※第12回青山演劇フェスティバル[悪の演劇1998]参加作品
原作:ギュンター・アイヒ(放送劇「夢」より) 脚本/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

Side SESSION #7「イギリスメモリアルオーガニゼイション」at 代々木/フジタヴァンテ(19981212)
作/構成/演出/出演:大倉孝二 ブルースカイ(猫ニャー) 峯村リエ 村岡希美
日替わりゲスト:入江雅人 大堀こういち みのす?

Side SESSION #8「ロンドン→パリ→東京」at 下北沢/本多劇場(19990130)
作/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

16th Session「薔薇と大砲〜フリドニア日記#2〜」 at 新宿/SPACE・ZERO(19990403)
作/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
演奏:たま

17th Session「テイク・ザ・マネー・アンド・ラン」at 下北沢/本多劇場(19990911)
作/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
 面白かった。じゃあ芸がないから、楽しかった、と言っておこう(変わらないって)。
 ナイロンテイストのフェアリーテイルといった感じか。ケラさん特有の毒っ気はなく、安心して観られる芝居。初心者もおっけー。観終わった後に嫌な感じが残らない(苦笑)。その点ではやりすぎなオチが付いた感もあるけれど(爆)。まあ、それはそれで、ね。「1979」とかに通じるところがあるかな(でもこれは狙ってやったんだよね。そして違った意味で今回の作品より毒があった)。まあ、とりあえず、笑えた、と。
 個人的には2列目で役者さん達が間近で嬉しかった。本当は芝居はちょっと後ろ目の真ん中で観るのが一番いいのだけれど。久し振りに山崎一氏を拝めたし(かわいかったー。かっちぶーだったー。因みに氏は結構前に「NOVA」のCMに出ていた人である)。みのすけさんかわいかったし。犬山犬子嬢キレイだったし。
 次回はウチソバとは関係ないけれど、あのアルジャーノンとヤン先生のバトルだそうで(ホントか?)。実はこっちの方が楽しみだったりする(苦笑)。

18th Session「テクノ・ベイビー〜アルジャーノン第二の冒険〜」at 下北沢/本多劇劇場(19991225)
作/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ オブジェ:ヨシタケシンスケ
 「ウチハソバヤジャナイ」の続編、というか、話し的には殆ど関連がなく、「ウチソバ」に出てきた「アルジャーノン」と「ヤン先生」がまた出てくる、というだけの、全く異なったストーリ。
 観て思ったことには。自分はやはりこのテの作品が好きなんだなあ、と。特にナイロンの。「ナンセンステクノ活劇」というやつが。ああいうノリって私がこういう芝居を観始めてからずっと求め続けているものなんだなあ、と。しみじみ思ったことです。はい。
 本作品に関して言えば、ちょっとパワー不足だったことは否めないように思う。ストーリも何処にも逸れずに1本に繋がっているし。もっともっとハチャメチャに滅茶苦茶になってしまった方が、より一層、好み。恐らく、生まれて始めて観た芝居がこれだったら、もっとずっと笑いっぱなしだったと思うのだけれど。現実には芝居(鑑賞)の経験も随分増えてしまって、ちょっとやそっとでは「慣れ」の為に素直に笑えなくなってしまって、そこが少しばかり悲しいところですなあ。

19th Session「絶望居士のためのコント」at 新宿/紀伊國屋ホール(20000326)
作:いとうせいこう/ブルースカイ(猫ニャー)/ケラリーノ・サンドロヴィッチ/別役実
構成/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
 今回全然内容に想像がついていなかったので、タイトル通りホントに「コント」で、とりあえず驚いた(苦笑)。別役実氏といとうせいこう氏とブルースカイ氏とケラ氏とがそれぞれ書いたコント集。4人4様のハズなのにその区別が全然つかなくて、実験として面白い作品(集)ではあった。ただ、舞台でこれをやられても、ちょっとイマイチね、とは思った。これが例えば昔行ったポーキュパインのライヴのようなカタチだったらまた印象も違ったのかもしれないけれど、コントは要素でしかなく、それが奇妙に繋がってるような繋がってないようなストーリだとか、一応存在するストーリの中にこれが含まれているような作品の方が私の好みであるらしい。まあ、それなりに面白かったけれど。この匂いは好きなんだよねー、と。

20th Session「ナイス・エイジ」at 下北沢/本多劇場(20000909)
※東京都千年文化芸術祭優秀作品賞受賞作品
作/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
 長かったーっっ(爆)。なにしろ3時間以上もある。間に休憩15分を挟んで3時間半。いくらなんでも長いって(苦笑)。どんなに面 白くても2時間半が限界だって。ケツ疲れたー(爆)。
 さて。全体として得た感じから言うと、とても「1979」を彷彿とさせた作品だった。長いこともそうだけれど、ストーリ劇であるということと(だからケラさん特有のナンセンスさはあまりなかった)タイムスリップを扱っていることが余計にそう思わせた。「各家庭に1台や2台は必ずある。けれど決して使ってはいけない『タイムマシン』」なんて、「1979」を観ている人には「ウチワウケネタ」以外の何物でもない。
 それで面白かったかというと、まあ、まあ、て感じですな。休憩後の後半の小ネタは結構笑えたけれど(ていうか、かなり笑った)、やはり期待以上の面 白さ、というのは、なかなか難しいらしい。個人の好みであるしね。期待するような「裏切り」がなかったから寂しかったんだな。きっと(なんだそりゃ)。
 キャストが多くて、客演の方々の声がとても良かったのが印象深い。まあ、そんなとこでしょ。あ、パンフは相変わらず無駄 が多いけど面白かった。特に80年代のアイドル考。

21st Session on 21st century「すべての犬は天国へ行く every dog goes to heaven」at 下北沢/本多劇場(20010421)
作/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
 「女ばかりの西部劇」と銘打ってる通りの作品だった。ケラ氏らしい作品だとも思う。私がつい、いつも求めてしまう、疾走感のあるナンセンスと笑い、というのではなかったけれど、女優陣が非常に豪華で、派手で、それだけでいいかなー、とか思った。

22nd SESSION『ノーアート・ノーライフ』at 下北沢/本多劇場(20011110)
作/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
 女優ばかりの西部劇だった前作「すべての犬は天国へ行く」とは逆に、今回は男優ばかりのコメディ。「すべての…」とはまた別 の意味で豪華でした。何ってキャストが(笑)。なにしろ、ナイロンのメイン男優に加えて山崎一氏、温水洋一氏が出ている。温水氏にとってこれが初のナイロン客演というのはちょっと驚きだ。
 内容的には、ナンセンス要素を織り交ぜつつも、割とスタンダードな(?)コメディって感じで。てゆーか、相変わらず2時間半くらいの上演で途中に幕間を挟んでいたのだけれど、後半がタルかった…(汗)。前半結構好きな感じのテンポとネタだっただけに、休憩じゃなくてあそこで終わりでもよかったんじゃないか、とか思ったり(苦笑)。
  ああ、でも、山崎氏も温水氏もみのすけさんも可愛くて(ボンバなアタマはちょっとアレだけど…《なんだそりゃ》)、それはよかったです。三宅さんも最近感じる「毒だけ」みたいな痛さが緩和していた感じで。大山さんは「プチみのすけ」感が益々強まっているけれど、やっぱりまだ薄いですな。なーんつって、偉そうに。

24th SESSION「東京のSF」 at 新宿/シアターアプル(20021214)
作/演出: ケラリーノ・サンドロヴィッチ

 自分の書く小説がすべて現実化してしまうことに気付いた純文学作家。彼は思いもよらぬ事件に巻き込まれ、SF小説を書かされてしまう…。ナイロン100℃の新作は、少なくともここ20年近くは観られなかったタイプのSFコメディー。大仕掛けそれなりに満載、上演時間は例によって約3時間(予定)。ケラリーノ・サンドロヴィッチが今更ながらフィリップ・K・ディック(と80年代小劇場演劇)に捧げる久々の騒乱劇。(ナイロン100℃公式サイトより)
 なんだか結構、芝居自体が久し振りーなんでした(「フローズンビーチ」の再演とか観てないから)。シアターアプルはそれ以上に久し振りで、記憶していたより狭い感じが…。そして、二列目というのは、好きな役者さんを間近で観られる、という点ではよかったのだけれど、芝居自体はやはり観づらかったです(汗)。おかげで、なんだか入り込めなかった…。
 まあ、それはともかく。面白かった、と、思うのだけれど、ちょと、なんか、イマイチ…。席のせいもあっただろうけど、展開が読めてしまったのが一番の敗因でしょうか。でも、ネタ的には自分の好きな系統で、だから、観た後の感じは悪くはなかった、と、思う(苦笑)。相変わらずの長さ(間10分の休憩挟んで3時間↑)でもそんなに辛くなかったし。なんでしょね。やはり観すぎていたり、理想が高くなっていっちゃうのがよくないんでしょかね。本当に面白いものなら何度観ても面白いんじゃないかと思いつつも。良くも悪くも同窓会のような印象が強い作品でした。なんだか皆かみかみだったし(苦笑)。色々な点で豪華なことは豪華で。ナイロン、久し振りのフルキャストだし、藤田さんや清水さん出たし(でも渡辺えり子氏はちょと余計だった気が…)、少年探偵団出てきたし、舞台装置ぐるんぐるんまわるし。おまけに、終わったのがわかりづらかった(客電がしっかりつかなかった)せいか拍手鳴りやまず、で、二度目のアンコール(ていうのか?)があって、ケラさんまで出てきてハプニング的だったし。
 個人的に驚きだったのは、初めて大倉氏を「かわいい」と思ったシーンがあったこと(爆)。でも相変わらず大倉氏は大倉氏で、あれはもうあれでしかいけないんだろなあ(なんだそりゃ)。でもアクマ(@「ピンポン」)はよかったのよ。なかなか。
 ところで、上記のナイロンのサイトの紹介では「少なくともここ20年近くは観られなかったタイプのSFコメディー」とあるけれど、「1979」とか、SFコメディだとも思うんだけれどな。違うのかしらん。
 更に余談だけれど、「フィリップ・K・ディック」って、聞いたことあるなあ、読んだことあったけなあ、と思っていたら、「アンドロイドは電気羊の夢をみるか」の作者でした。映画「ブレード・ランナー」の原作。

ナイロン100℃ 26th session「男性の好きなスポーツ」at 下北沢本多劇場(20040828/0904)
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
 戦争反対。世界経済はダイジョウブか。横行する無差別殺人。市民達は立ち上がり、声高に叫ぶ。声高に叫んだあと、恋人と、妻と、夫と、ゆきずりの男と、通りすがりの女と、ベッドの中でアレをする。裸になって、下着姿で、服を着たまま。アレだって大切だ。世界平和にかまけてアレをないがしろにしてはいまいか。ナイロン100℃がセックスレスの時代にあえて真のラブを問う、最新型セックス・コメディー。(ナイロン100℃公式サイトより)
 タイトル通り「エロ」というか「セックス」がテーマな作品。多分(苦笑)。
 なんかよくわからんけど面白かった(何)。慣れてしまっているせいで、「面白かったーっ」と気分良く思えることが減っている最近なのだが、会心、とまではいかないでも、今回のは面白かった。ただ、それが、芝居そのものの質のせいなのか、単に下ネタにウケたのかは、自分でもよくわからないところだ(苦笑)。
 余談だが。今回は、ちょっと興味がありそうな人を連れて行ってみたんだが、後日、いつもナイロン系の芝居を一緒に観に行っているマイ・ラヴァことかおる嬢に「初観劇がナイロンってヘヴィ」と言われてしまった。んーでも、初めて観るのに鴻上さんとか野田さんとかキャラメルとかのが、ずっとツラいと思ったのデスよ。ナイロン(で、今回の予告内容)だったら、とりあえず笑えるかなあ、と(苦笑)。

ナイロン100℃ 27th session「消失」at 紀伊国屋ホール(20041211)
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
 戦争が終わり、様々なモノが様々に変調を来している世の中。30過ぎても仲のよい兄弟。いつも失恋ばかりしている弟と、彼に親身になって協力する兄。弟の今回の恋の相手。定期的に現れては弟に薬を飲ませ、兄と何かを隠している様子の友人。兄弟の家に居候を決めた女。なにやら挙動不審なガス屋。すべてはほんの一時。やがてなにもかも消えてなくなる。

 前回とはうってかわって暗い方のケラさんワールド炸裂な作品(なんだそりゃ)。そこかしこのナンセンスネタに笑いつつも、痛いというより痛々しいストーリをストレートに描いて、かつそれをファンタジー世界でくるむケラさんの作品(作風)は嫌いではない。「ああ、そうね」と、なんだかよくわからないが納得してしまう。
 ただ、今回、最後のシーン(の演出)だけは、どうしてもなんだかとってつけたように感じられて、その意図が非常に不明だった。最後にアクセントつけて芝居を締める、というような意図だったのかもしれないが。おかげで、最後の最後でどよーんと「やられた」のは間違いない(苦笑)。
 個人的には、今回みたいな役柄(演出)の大倉さんに萌え。ステキだ。「イっちゃってる演技」に助けられることなく、うまくなったなー、とも思う。

ナイロン100℃ 27th session「消失」at 紀伊国屋ホール(20041225)
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
 クリスマスに芝居でデート。……んが、寝不足と体調不良により、寝落ちる。_| ̄|○
 感想は前に書いたので割愛。前回、八嶋氏が舞台から箱を客席に転ばしたのはアクシデントっぽい。w

NYLON100℃ 28th SESSION 「カラフルメリィでオハヨ〜いつもの軽い致命傷の朝〜」 at 下北沢本多劇場(20060416)
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
 

NYLON100℃ 30th SESSION 「犬は鎖につなぐべからず 〜岸田國士一幕劇コレクション〜」 at 青山円形劇場(20070519)
作:
岸田國士 潤色・構成・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
 

NYLON100℃ 31st SESSION「わが闇」 at 下北沢 本多劇場(20071215)
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
 

NYLON100℃ 32nd SESSION 15years Anniversary「シャープさんフラットさん」−ダブルキャスト2本立て− at 下北沢 本多劇場(20081012)
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
 

ナイロン100℃ 33rd session「神様とその他の変種」 at 下北沢本多劇場(20090426)
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
 

ナイロン100℃ 34th session「世田谷カフカ〜フランツ・カフカ『審判』『城』『失踪者』を草案とする〜」at 下北沢本多劇場(20091010)
脚本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

 

ナイロン100℃ 35th session「2番目、或いは3番目」at 下北沢本多劇場(20100627)
 

ナイロン100℃ 36th session「黒い十人の女〜version 100℃〜」at 青山円形劇場(20110612)
 
 面白かったでござる。緒川たまき嬢眼福。千秋楽だったのでケラさん出てきた。

ナイロン100℃系その他

SILLY WALK PRESENTS「お茶と同情」at 下北沢/本多劇場(19930219)
作/演出:手塚とおる

「TOKYO PORCUPINE COLLECTION STAGE000」at 渋谷ON AIR(19930416)
作/演出/構成:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

オリガト・プラスティコvol.1「カフカズ・ディック」at 下北沢/本多劇場(20010127)
作/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
 「ナイロン100℃」のケラさんと、元「東京乾電池」の広岡由里子氏による新ユニット「オリガト・プラスティコ」の第一回公演。  実はキャストの豪華さにひかれて観に行ったので、内容なんか全然気にしてなかったんですが(苦笑)。タイトルは頭にあったのに、当日パンフを買って読むまでカフカが題材だって気づかなかったし(爆)。  いや、でも、面白かったです。作・演出がケラさんてことで、確かに全体的にとてもケラさんテイストでした。スライド使いも音も美術も演出も。カフカとその周辺の人達の生涯(というと大袈裟ですが)をちょっとコメディテイストに扱った、 て感じで、題材的に興味深かったし。題材が題材なせいか、ギャグとシリアスのアンバランスさがちょっと気になりましたが。  それにしても、キャスト、よかったなあ。皆、上手くて。個人的には山崎一さん目当てだったんですが(笑)、今回は役柄のせいか小須田氏(第三舞台)が一番良かった。内田春菊さん、初めて生で観たし。小沢真珠場、綺麗だったし。他の役者さん達もそれぞれ、いい味出しててよかったです。たまにはこんなのもいいなあ、と。

青山円形劇場プロデュース ケラリーノ・サンドロヴィッチ作・演出「室温」at 青山円形劇場(20010708)
作/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 音楽:たま 出演:佐藤アツヒロ/中嶋朋子/近藤芳正 ほか
 主演が元光GENJIの佐藤アツヒロ氏と、中嶋朋子嬢という、ケラさんの作品の中でもかなり豪華なメンツの芝居。ホラーコメディ(多分)。
 なかなか面白かった。 円形劇場プロデュースということで、ナイロンとは(制作の面 で)関わりなく、だから多分ケラさんも結構気楽にやれたのかもしれない。相変わらず脚本は遅かったらしいけど。んでも、秋にKERA・MAPとナイロンの本公演を控えてるケラさんの身としては、 企画性とそういった面で「やってみたい」と思ったんではないだろか。勝手な推測だけれども。
 注目はやはり中嶋嬢。いや、よかったです。キレてる具合が。ちょっと芝居がかり過ぎかもですが、舞台だからいいでしょう(いいのか?)。そしてケラさん繋がりでは2度目の「たま」出演。相変わらずどんよりしてほのぼのとした演奏も美味しかった。ストーリとしてはありきたり(逆の意味でそうでもないか?)だけれど、問題はこの味でしょう。ああ、ケラさんだな、て。知ったかぶりですが。アツヒロ氏もなかなかでした(なんだそりゃ)。今回、個人的に一番痛かったのは三宅さんかな…。あの役はああでなくてはならなかったのかもだけれど、豪華絵本版のパンフにあるほど「ナイロンの三宅氏」から抜けてなくて、それがちょっと浮いてる感じがした。もうちょっと笑えるキャラか、もうちょっとフツーのキャラの方が全体に合ったような気がする。
 なにはともあれ、夏に観るにはいい作品でした。はい。

KERA・MAP #001「暗い冒険」下北沢/ザ・スズナリ(20010908)
作/演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

 「ナイロン100℃」主催ケラリーノ・サンドロヴィッチ氏プロデュースによる、企画からして思惑が邪推される(苦笑)「化裸地図」第一回公演。同じストーリ(或いは設定)の別 ヴァージョンを「南プログラム」「北プログラム」に分けて上演。
 まず第一に。そういうお遊びをやってみたい、と思って、ホントにやってしまうアタリはとてもケラ氏らしくて凄いとは思うのだが。観る側としては「同じ設定による別 ヴァージョン」とかいうのはやめて欲しい(苦笑)。しかも第一回から。会場がスズナリだったから多少安かったのと、チケットが取れたからまあいいけれども。 両方行っちゃう方がバカなのか(えーえー行って来ましたとも)。
 当日のタイムテーブルにより、マチネで「南」ソワレで「北」を観て、比較せざるを得なかったのだけれど。率直に言って「南」の方が面 白かった。好み、というか。 ケラ氏の思惑として「北」ではモノローグを多用、「南」ではそれを禁じ手としてストーリ運びをしたそうなのだが、モノローグが多いとやっぱりタルい。あと「南」の方が個性的な役者が多くて印象深かった。全体的に私がずっと「健康」時代から求めてる(それは仕方がないのですよ)ナンセンスでブラックでありながら軽い雰囲気が保たれていたし。観る順が逆だったらよかったなあ(苦笑)。流石に疲れた。気になる劇団の役者さんが沢山出てた(その上発掘もできた)のはおいしかったけれど。
 余談だが、ソワレの時に「南」の出演者達が端で「北」を観ていて、しかも私の隣に「殺し屋カルロ」が座ったのでドキドキだった(笑)。

シアターコクーンレパートリー2004「カメレオンズ・リップ」at シアターコクーン(20040228)
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 出演:堤 真一、深津絵里 ほか
 ヨーロッパだろうか?定かではない何処かの国の木々繁る森の中に建つ一軒の古びた豪邸。稀代の詐欺師ルーファスと謎の訪問者セルマ。その2人の騙しあいとそこに生まれた奇妙な愛情。また同じ屋敷に住む使用人夫婦達。ある夏、某化粧品会社の女社長がこの地にやってきたことをきっかけに物語は以外な方向へと発展しゆく…。(公式サイトより)
 なんていうか、壮大な恋愛物語でした。こういうイっちゃった愛憎劇って好きだ(笑)。役者も舞台美術も全てがゴージャスで、金かけてるなあ、と、思いつつ、どこかイっちゃった人達のイっちゃった物語が、ケラさんらしい小気味よいテンポで描かれてる。堤氏も深津嬢も生で観るのは確か初めてだったんですが、どちらも予想通りいい役者さんでした。そして生瀬さんの声がまたたまらなく…(笑)。あ、あと、山崎氏のこういうエキセントリックな役所って珍しくて、これもまたよかった。
 どうでもいいけど(いや、よくないか…)、シアターコクーン、高い金とるくせにシート悪すぎ…。確かに休憩挟んで3時間の芝居は長いけれど、内容的にみたら、シートさえ、もちょっとよかったら、もちょっと耐えられたのに(苦笑)。

シアターコクーン・オンレパートリー2008「どん底」at Bunkamura シアターコクーン(20080419)
原作:マクシム・ゴーリキー/上演台本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
 
 

大人計画

大人計画「SEX KUNGDOM」at 下北沢/駅前劇場(19930226)
作/演出:松尾スズキ

大人計画部分公演「熊沢パンキース」at 下北沢/ザ・スズナリ(19950930)
作/演出:宮藤官九郎

大人計画Vol.12「ちょん切りたい」at 新宿/シアターTOPS(19951220)
作/演出:松尾スズキ

大人計画Vol.13「ファンキー!-宇宙は見える所までえしかない-」at 下北沢/本多劇場(19960713)
作/演出:松尾スズキ

大人計画Vol.15「生きてるし死んでるし」at 下北沢/本多劇場(19971222)
作/演出:松尾スズキ

大人計画Vol.16「Heaven's Sign」at 下北沢/本多劇場(19980808)
作/演出:松尾スズキ

大人計画Vol.17「母を逃がす」at 下北沢/本多劇場(19990508)
作/演出:松尾スズキ 出演:宮藤官九郎/池津祥子/阿部サダヲ/山本密/伊勢志摩 ほか

大人計画Vol.18「エロスの果て」at 下北沢/本多劇場(20010317)
作/演出:松尾スズキ

 商売女と行きずりの男との間に生まれた「サイゴ」。3人の育ての母親。何をするにも一緒の友。異常な知能のために快楽としてのセックスを拒むもう1人の友。彼の生みの母親。 それぞれの想いと行為とが行き着く先、それが「果て」であり「最後」であるのか。   久し振りに「大人計画」の本公演を観ました。最近続いている本多劇場にて。前作「母を逃がす」(確か…)で毒気がちょっと抜けたなあ、と、思った感じは少し引きずっているけれど、なんか、それでもいいかあ、とかも思った。相変わらず各役者さん達の「濃さ」は相当なもので。それだけで本公演を観て満足するのは間違っているだろうか(そうは微塵も思ってないから、この問いかけ自体、無意味なものだけれど)。以前よりテーマ性が薄くなったのだろうか。それを感じなくなったのだろうか。よくわからないけれど、まあ、とにかく、「面 白かった」とは思った。  それにしても、相変わらず一番の「イキ」かたをしてるのが、主催松尾スズキ氏。「腐った魚の目」(爆)は健在であった。

大人計画系その他

大人計画プロデュース「嘘は罪」シアタートップス(19940908)

日本総合悲劇協会「ドライブイン カリフォルニア」シアターサンモール(19961221)
作/演出:松尾スズキ

日本総合悲劇協会Vol.2「ふくすけ」世田谷パブリックシアター(19981219)
作/演出:松尾スズキ

大パルコ人 メカロックオペラ「R2C2〜サイボーグなのでバンド辞めます!〜」at PARCO劇場(20090517)

ウーマンリブVOL.12「SAD SONG FOR UGLY DAUGHTER」at 下北沢本多劇場(20110709)
 面白かったー。宮崎あおいさんの演技初見だったけどよかったー。田辺君は面白かったw
 

第三舞台

第三舞台「スナフキンの手紙」at アートスフィア(19940804)
作/演出:鴻上尚史

第三舞台公演'96「リレイヤーIII」at 池袋/サンシャイン劇場(19960928)
作/演出:鴻上尚史

第三舞台公演「朝日のような夕日をつれて'97」at 新宿/紀伊国屋サザンシアター(19970215)
作/演出:鴻上尚史

第三舞台20周年記念&10年間封印公演「ファントム・ペイン」at 銀座/ル テアトル銀座(20010922)
作/演出:鴻上尚史

 「スナフキンの手紙」の続編、というカタチをとったストーリは相変わらず鴻上氏らしく。しかし、どちらかというと「総集編」的な内容でした。楽屋オチ的なファンには懐かしくも美味しい「マクロネタ」満載で。記念公演ならでは、という感じ。サーヴィスたっぷり。だから逆に言えば単にそれだけの作品、て感じもするし、単体の作品としては、そういう部分が多すぎてウザったくもなったのだけれど、それもありかな、と。「特別 公演」として。個人的には十分美味しく楽しめたし。この時期ですら「第三舞台ネタ」はもうその元と同じ、或いは近似のものには成り得ないけれど、10年経ったら更に一層もう、それは別 物になってしまうだろうし。今がギリギリ、ということで。「ふるきよき」を楽しみました。
 それにしても、この年になってもあれだけの動きをできる役者さん達は凄い。脱帽もの。

第三舞台 封印解除&解散公演「深呼吸する惑星」 at KAAT 神奈川芸術劇場(20111230,31)
作/演出:鴻上尚史

 新しい劇場だと聞いてはいたけれど、神奈川NHKと併設な建物だったんだね。
 他の公演に比べて(と言っても紀伊國屋ホールは単に出遅れたんだけど……)あっさりとれたのは(席もぱらぱら空いていた)、やはり年の瀬だからだろうか。


 以下、簡単な感想。

 第三舞台は紛れもなく第三舞台でした。
 第三舞台を第三舞台が演じていたと言ってもいいかも。
 そうせざるを得ないのだろうとも思う。
 そしてだからこそ終わりにしたのかなとも。妄想だけど。

 再び観られてよかった。
 ポップミュージックとダンスとか。長野さんの着ぐるみとか。映像出演の池田さんと伊藤さんとか。大変に美味しかったです。……そいえば、映像のキリアスは誰??←特に別人ではなく筧さんだったモヨウ。

 今日は横浜会場の千秋楽だったせいか、勝村さんまで登場してくれました。30秒のはずが5分(笑)。エチュード怖いよう(苦笑)。オーラスでは最後のキメポーズが皆と揃わず(知らなかったみたいな)、筧さんにフォローされててそれもまたよし。
 そしてカーテンコールではチャイナ服姿の(?)鴻上さんが出てきて役者紹介と挨拶を。

 余談的には、高橋君は医龍でいい役だったので楽しみにしていたけど、若かったなあ(何)。
 あと、部長の息子とブログの主はタチバナ君だったのかなあ、と、妄想。そうとることもできる、というだけで本筋には関係ないのでどちらでも好きに考えていいように思うけども。

 封印公演の「ファントム・ペイン」を観たから、あれから本当に10年か。歌ってしまいたくなるね(笑)。

 生で観たのは数えるほどだけれど(そもそも、旗揚げは81年だという。そりゃあよく観た印象はビデオが多くて、生では少ないよな)、第三舞台、やっぱ好きだ。
 

第三舞台(鴻上尚史)系その他

サードステージ・プロデュース公演+紀伊国屋書店提携「トランス」at 新宿/紀伊国屋ホール(19960221)
作/演出:鴻上尚史 出演:古田新太/つみきみほ/手塚とおる

サードステージ・ワークショップ公演「コーマ・エンジェル」〜「天使は瞳を閉じて」より〜at シアターサンモール(19970621)
作/演出:鴻上尚史 出演:稲葉暢貴/上野可奈子/堺雅人/旗島伸子/松田憲侍 ほか

鴻上ネットワーク第一回公演「ものがたり降る夜」俳優座劇場(19990619)
作/演出:鴻上尚史

 「セックス」と「愛」と「物語」と「癒し」の話。そしてちょっと宗教の話。でもないかな。
んー。鴻上さんらしいといえば鴻上さんらしく。でも良くも悪くも「新しい」ところもあり。 「第三舞台」でないことに違和感はなかった。「天使は瞳を閉じて」のワークショップ公演のようには。
ただ、相変わらずの現代の日本の話なのに、或る意味「御伽噺」になってしまっているところが ちょっとひいてしまって勿体無かった。
あと魅力的な役者さんに出会えなかったのが、これはストーリのせいなのか演出のせいなのか 単に役者の力量不足なのか。それとも自分の望んでいるものが違うのか。 一番印象的だったのが「鴻上さんが役者として出ずっぱりでダンスまでして、 おまけにすっぽんぽんになった」てとこなのが少し悲しい。
個人的には今回のストーリの幹をなしてる「セックス」に関するところが とてもここ数年考えていることと交差していて、ちょっと痛かった。

KOKAMI@network vol.2「プロパガンダ・デイドリーム」東京グローブ座(20000527)
作/演出:鴻上尚史
 「ものがたり降る夜」に続いての「鴻上ネットワーク(こう書くと小っ恥ずかしいので表記を変えたらしいが、どっちもどっちだと思う)」第2弾。
 前作の時に「2作目が問題だな」と思ったんですが、今回のは良かったです。鴻上さんらしいストーリと演出で、役者陣もいい感じに揃ってて。安心して観終われる、そんな感じ。これまで観てきた氏の作品は観てて必ずテーマをしっかり掴めたのですが(自分がそう感じただけでそれがテーマかどうかはわからないけれど、とにかくそう感じられる何かが明白にあった)本作ではちょっとそれが、特に観終わった直後にはよくわからなくて、それがまたよかったのかもしれない。宗教が出てきた時には「またか」と思ったけれど、結局それは「小道具」で終わったし。小説でも芝居でも「前作を越える何か」を求められることがやりつづけている側には難しいことだけど、本作では小さいながらもそれがあった。極めて個人的な感想ですけどね。
 残念だったのは席が悪かったこと。ステージを真横のしかも上から覗き込むカタチで観たのであまり芝居自体に集中できなかった。だからこの感想はちょっと歪んだものかもしれない。

遊園地再生事業団

遊園地再生事業団#2「ヒネミ」シードホール(19921203)
作/演出:宮沢章夫 出演:布施絵理/深浦加奈子/山崎一/手塚とおる/温水洋一/林和義 ほか

遊園地再生事業団#「箱庭とピクニック計画」原宿クエストホール(19940827)
作/演出:宮沢章夫

遊園地再生事業団#5「ヒネミ」新宿紀伊国屋ホール(19950128)
作/演出:宮沢章夫 出演:村松克己/大杉漣/中村有志/山崎一/徳井優/布施絵理/深浦加奈子

遊園地再生事業団#8「密の流れる地-千の夜のヒネミ-」紀伊国屋ホール(19960819)
作/演出:宮沢章夫

その他
山の手事情社 第18回公演「home」SPACE ZERO(19921221)
構成/演出:安田雅弘

第10回青山演劇フェスティバル パルコ・プロデュース「笑の大学」こどもの城 青山円形劇場(19961102)
作:三谷幸喜 演出:山田和也

ジョビジョバ新春スペシャル「ジョビジョバ'97」ザ・スズナリ(19970106)
作/演出:児島雄一

ノースウェット創立10周年 特別公演「八月のシャハラザード」シアターサンモール(19980829)
作/演出:高橋いさを

惑星ピスタチオ「ナイフ」シアターアプル(19981114)
作/演出:西田シャトナー 出演:腹筋善之介/保村大和/宇田尚純/遠坂百合子/福岡ゆみこ/末満健一

ジョビジョバLIVE「MONKEY MIND」東京芸術劇場小ホール2(19990320)
作/演出:児島雄一 出演:石倉力/木下明水/坂田聡/長谷川朝晴/マギー/六角慎司

松竹 日生劇場三月公演「歌舞伎」日生劇場(19990322)
演目:一、供奴 二、お染めの七役
 

HIGHLEG JESUS新作本公演「Sexual Violence No.1」フジタヴァンテ(20000311)
構成/演出:河原雅彦 出演:森本訓央/野村朋子/政岡泰志/小林愛 ほか

 実はこのハイレグジーザスに関して、私はなんの予備知識もなくて。せいぜい誘ってくれた友人が言ってた「エロ・バカ・ショック」という単語だけ。あと「指輪ホテル系」とかそんなとこ。とか言っても、その「指輪ホテル」自体に関する知識も実は殆どなくて(ちらしはよく見たし、なんとなーく雰囲気くらいはわかってるつもりだけれど)、だから、ほーんと、なーんも考えず、ま、とりあえず行ってみっかー、くらいの気分でフジタヴァンテに向かったのでした。
 とりあえず、一番の感想。「桟敷席じゃなくて、ほんっとーっに、よかったーっっ」(爆)。
 こればっかりは、ホント、どういう気合いの入れ方をしたんだか(失礼)、3・4番なんていう整理番号をゲットしてくれた連れに感謝。そして、指定席ではなく整理番号付き自由席だということを知るやいなや、開演までに間に合えばいいや、という甘えた気持ちを打ち捨てて、開場時間前にフジタヴァンテに着くことを決定した自分の決断力に褒美。
 確かに彼らは凄かった。どう凄かったって、僕らが遙か若かりし学生の時代に、安酒かっくらってしでかした、今じゃあ苦笑混じりにしか語れないような大馬鹿な諸行を、素面で、しかも金取ってまで他人様に見せている、そこがとりあえずで唯一(爆)凄い。それがどういうことかといえば、例えば、男役者達が全員すっぱだか(本当のすっぱだか。身体のどの一部も隠してない)になっちゃう、とか、「ともだち○こ」と称して観客の誰彼かまわずコックをなすりつける、とか、終いにはポリバケツに放尿してそれを観客席に飛び散らす、とか、つまりはそういうことだ。おいおい。マジかよ。いいんかよ。それ。ていうか、スーツのおぢさん、可愛そうだよ。女のコ、桟敷席から逃げ出してるよ。つまりは、それを覚悟に見に来なきゃあ、駄目なんだな。ち○こなすりつけられて怒ったりしちゃあ、駄目なんだな。全てを覚悟の上で楽しみに来なくては駄目なんだな。と。深く思ったことです。もう1つ思ったことには「2度は行くまい」と(苦笑)。
 気合いや楽しみや馬鹿の方向は「大人計画」的な味もするけれど、ストーリ性をすっかり排除して、まさに「それだけ」を追求したことでこのわけのわからないパワーは極められているんだろう。岸潤一郎氏の「ダイナミック、ダイクマー」技(例のCMソングを歌い叫びながら対象人物に念を投げつけるような動作)なんかは、その中で、ちょっと知的なキレを持っているけれど、彼らの本質はやはり「それだけ」の部分にあるんだろう。
 とにかく凄い集団だった。その一言に尽きる。

演劇集団キャラメルボックス アナザーフェイスVol.3「俺たちは志士じゃない」(20000603/VIDEO)
 ずーっと人から借りっぱなしだったビデオをやっと観ました。いやー、どうも触手が動かなくて(苦笑)。
 「惑星ピスタチオ」の看板役者3人を迎えて新撰組やその周辺を舞台に涙と笑いを誘う作品。しかしながら、感想は一言で終わってしまう。「いやー、ベタだった」(爆)。まあ、「腹筋善之助氏が若かった」とかいうのもあるんですけどね(爆2)。かつて垣間見たキャラメルボックスの客層を思い起こさずにはいられなかったです(苦笑)。
 しかし、観ていて思ったのは、先に読んだ鴻上氏のエッセイ。今、既にそうですけど、この先、少なくとも暫くは、このテの「わかりやすい話」がウケる、というか受け入れられやすくなっていくんだろうかな、と。それは別 にいいのだけれど、それで「わかりやすくない深い作品」が減っちゃったりしたら嫌だなあ、と。

演劇弁当猫ニャー第1回公演「猫型弁当〜Beef, Onion and Cats〜」下北沢駅前劇場(20010721)
作/演出:ブルースカイ 出演:池谷のぶえ/池田エリコ/西部トシヒロ/加藤美保 ほか

 突然解散した「劇団猫ニャー」に続いて旗揚げされた「演劇弁当猫ニャー」の第一回公演。
 ナンセンスギャグの担い手として(?)ケラリーノ・サンドロヴィッチの後継者と言われる(?)ブルースカイ氏主催の集団で、以前から気になってはいた。ナイロンに客演した時のブルースカイ氏のとぼけた看護婦姿は未だに印象深いし。そして、今回初めてその集団の本公演を観たわけだけれど、やってることは確かにケラ氏的というか「健康」的だ。
  そういう意味で言えば、ネタの性質そのものは好みなのだけれど(結構笑ったし)、本当に何もストーリがなく、ネタの連続とフィナーレ的フィナーレという点では「ジョビジョバみたい」と言った連れの評価はまさしくその通 りだと思う。はっきり感想を言ってしまえば、総じて「シロウトくさい」。大学の劇研(=サークル)の芝居を観た時と同じ洗練されてなさ具合を強く感じた。役者の活舌が悪い。演技が、狙ったわざとらしさではなく、本当にわざとらしい。エンジンがかかってきたのか段々よくはなったけれど、それじゃいかんだろ、て。女優の顔と声はいいけれど、男優はホントに学生演劇の域を超えていない。更にテンポが悪い。暗転が多い。だらだらしすぎてツラい。狙ってるところ、イメージしてるところ、は、まあ、わかるのだけれど、内容と同時に全体のクオリティもあげてもらいたいものだ。2,800円なら、まあ、いっかー、とは、いつまでも思って貰えないと思う。

ペテカンVS In the Soup「目を閉ぢる」 at 東京グローブ座(20020414)
 コトの起こりはペテカンのメンバの一人がIn the SoupのVo.中尾氏と漫才コンビを組んでいたこと(笑)。ていうか、このイベント以前にも既にコラボレーションは幾度かあったようなんですが。文字通り「芝居と音楽の競演」ていう企画では昨年の新宿ロフトでの公演に続いて2回目。しかし…グローブ座とは…。
 ペテカンのことは全然全く知らなかったんですが、なかなか、ていうか、結構、レベル高かったです。笑い(コント?)のネタがナンセンス系で、昔の健康とか思い出しました。いや、あれよりは遙かに一般的でしたが。ジョビジョバの一般向けヴァージョンていうか(いや、今回初なので、しかも本公演《?》ではないのでよくわかりませんが)。調べてみたら、もう6、7年やってる劇団で、元々舞台芸術学院出の人達で始めた、というのも納得、て感じでした。 構成、テンポ、役者の質が高い。途中ちょっとダレたけど、上手いなあ、と。
 突っ込んだところを書くと、惜しかったのは、構成がやや中途半端だったこと。In the Soupの演奏と、ペテカンのパフォーマンス(?)を交互にやるので時間的な問題があったのだと思うけれど、ネタならネタ、ストーリがあるならあるで、もうちょっとはっきり一線引いちゃってもよかったんじゃないかと。あと、しょっぱなの暗転が長い(苦笑)。客がまだ舞台の世界に入りきらないうちだということと、機材があってIn the Soupの面々が常に舞台上にいるせいで完全な暗転にはできないということに、もうちょっと気を遣って欲しかった。それから第三幕、台詞と音楽の妙を芯にしているのはいいんだけど、最後の「合成」はいらなかったなあ。疲れた。
 転じて演奏の方はと言えば。今回はどちらかと言えばペテカン側のホームグラウンドで、完全な「ホール」(しかもグローブ座って小綺麗でクラシックなんですわ。シェイクスピア縁だし)だったので、In the Soup的にはちょっとやりづらいのでは…と思っていましたが、彼らは相変わらず彼らでした(なんだそりゃ)。しかし、宣伝を考えてのことなのか、選曲にはちと疑問が…。あそこで「グリーングリーン」(シングル発売予定)は、ちと無理があるのでは…(苦笑)。煽ってスタンディングさせちゃっても、そんなに支障はなかったと思うのだけれど…。ああ、立ちたかった。踊りたかった(苦笑)。余談ですが、今回雛壇(?)の上にずっとIn the Soupのメンバがいたんですが、最上段がドラムで、自分の居た位置から吉田さんが丸見えで新鮮でした。相変わらず多芸。そして普段見られない股をがっと開いた下半身のグラインドが…恥ずかしかったです(笑)。
 何はともあれ、難しい「企画モノ」の構成をこなした彼らに拍手。面白かったです。…ところで、ペテカンって結構大手なんでしょか。質的には売れてていいとおもうのだけれど、 全3回の公演の千秋楽でB列とれてしまったことを思うと…(因みにグローブ座はあまり広くないです。そして敗北の記憶があります《苦笑》)。

ミュージカル「ミス・サイゴン」at 帝国劇場(20040912)
 実は割とメインで(役名のある役で)高校時代の同級生が出ていて。それで観に行ってみたわけなんだが。
 内容は予想通りベタでアレだったんだが、歌とかダンスとか、やっぱ本職の人は凄いよなあ、と。エンタテインメントなんだなあ、と。それだけで気分良かった。
 わざわざ筧さんも出る回のチケットをとって観に行ったのだけど、やはり本職じゃないせいか、歌はちょっとキビしかったですか。いや、下手とかいうんではなく、苦しそうだな、ていうのが時々あって。でもやっぱり、筧さんらしい役作りになってる感じがして、ステキだった。市村さんとかとは全く違うんだろうけど、そこはそれ、と。
 一番の目的の彼女は、実は面識はあるけど、そんなに深い仲ではなく。でも、少なくとも、記憶にある彼女とは違って「舞台の人」で、普段も格好いい印象があったのだけど、また違う格好良さで。ああ、出勤にならなかったら挨拶したかったなあ。

HAYダンスカンパニー・サーディ企画提携公演
ドラマティックダンスミュージカル「MY LIFE ☆ WOTTA LIFE」at 東京芸術劇場(20050326)
 

宝塚歌劇 宙組公演「維新回天・竜馬伝!―硬派・坂本竜馬III―」「ザ・クラシック―I LOVE CHOPIN―」(20070106)
 

金剛永謹 能の会 第二十三回東京公演「春日龍神 龍神揃」 at 国立能楽堂(20070805)
 狂言と能がセットで「能楽」って初めて知ったよ。 頑張って予習して行ったけど、 特にお能の前半うとうとしちゃったのは内緒だ(ぇー。
 狂言はまだわかりやすくて集中できるんだけど、 お能は、正直、やっぱ謡本読んでねーと 意味わからんくて寝ちゃうなー、てのはある(あと音楽な。クラシックの現代音楽とかに慣れるとイケるかもかも?)。 んだが、それはそれとして、興味深かった。面白かった。 今回の曲は舞が派手だったし。 数を観たらまた楽しめるかもしれない。 唐突に終わることにも慣れる頃には(笑)。
  ところで、微妙に舞が揃ってないように見えたのは、 珍しい曲だからなのか(そもそも立方が12人も  舞台上に居るってのが珍しいらしい)、 面(おもて、と読む)のせいで周囲が殆ど見えないからなのか。 謎だ。
  歌舞伎も宝塚も狂言も能も観たから、あとは文楽だな(ぉ。
 

シルク・ドゥ・ソレイユ「コルテオ」 at 原宿・新ビッグトップ(20090315)
 突然だが、この前の日曜には国立代々木競技場オリンピックプラザに行ってきた。 ……と言ってわかった人は結構マニアックだと思うのだが。
 シルク・ドゥ・ソレイユ「コルテオ」を観に行ってきたのですよ(原宿・新ビッグトップとやらいうテントは、全貌を収めるのが無理っぽかったので撮影断念)。
てか、シルク・ドゥ・ソレイユってこんなところでやってたんだなー。常設シアター(演目は「ZED」オンリィなのか?)が舞浜にできたのは知ってたんだけど。

 どきわくしながら会場に入ると、開演前だというのにアーティスト達が客席に出てきていて、観客達を楽しませておりました。そしてほどなく開演。

 いやーあ。面白かったーあ。凄かったーあ。

 アクロバティックだったりコミカルだったりのパフォーマンスはどれもこれも目が離せなくて、間に30分の休憩を挟んで約2時間の公演はあっという間。
  コンセプトがあるのはぼんやりと知っていたけれど、ストーリィ仕立てというか、クラシックバレエのような脚本(?)・演出で。とは言っても、やっぱり演目が主体になりがちではあるんだけれども、それだけじゃない、という頑張り(?)がよかったというかやっぱりちゃんと予習して行った方がよかったなあ(後から復習はしたけど)。
  あと、楽器も歌も生演奏だったのが(もしかしたら一部には違ったのかもだけど)びっくり。ステキだわーあ。美味しいわーあ。
  演目別では、個人的にはティーターボードが一番好きかなあ。ボーカル・エアリアル・シルクもよかった。ああいポージングが大事なのって好き。あ、でも、シャンデリアも凄かったし、パラダイスもドキハラだったし、ツアーニクはやっぱり感動だったし、ヘリウム・ダンスも捨てがたい……。やっぱり全部よかったわあ(ぇぇー。萌えがあった分でティーターボードが少し飛び抜け、ということで(マテ。

 ところで、円形劇場、というのは、ビッグトップの形状が円なので当たり前なのだろうが、今回はステージが、中央の円と、それを貫く帯、というカタチで、およそ全方向に座席があって、その分、どんな演目でもアーティストが近かったんではないかと(これまでは、中央の円とそこから奥に扇状に広がるステージだったモヨウ)。まあ、そもそも、会場がそんなに大きくはないんで、大差はないのかもだけど。迫力満点でステキでしたよ。ええ。
  誘ってくれた某H嬢に感謝多謝。

 余談だけど、「Corteo」ってイタリア語で「行列」って意味なんだってさ。

歌舞伎座さよなら公演「四月大歌舞伎」at 歌舞伎座(20090412)
 以前、日生劇場での公演は観に行ったことがあるのだが、歌舞伎座で歌舞伎を観たことはまだ一度もない。なんとなく機会を逃していたのだ。したらば、どうやら来年には改装(改築?)されてしまうらしく、「その前に一度行ってみたい!」と思ったのが、暫く前のこと。
実は現歌舞伎座での「さよなら公演」は来年4月まであるのだが(苦笑)、ぼやぼやしてるとまた機を逃しそうだったので、詳しい友人を掴まえてチケットをとってもらった。


 これまで何度か撮っているが、晴れているとやはり撮りたくなる(今回はそれだけじゃないけど)。「再開発」後は「劇場とオフィス棟を併せ持つ複合建物となる予定」だそうだが、さて。


 歌舞伎座さよなら公演「四月大歌舞伎」夜の部の演目は以下の通り。
 「彦山権現誓助剱(ひこさんごんげんちかいのすけだち)」
 「夕霧 伊左衛門 廓文章(くるわぶんしょう)」
 「曽根崎心中(そねざきしんじゅう)」


 初めての歌舞伎座は予想した通りの雰囲気で、それだけでもう気分が高揚。花道だとか桟敷だとか。ええのうええのう。

 さて、開演時間も迫ってきたのでイヤホンガイドを借りて、席に着く。実は我ながら殊勝なことに、台本で全て予習してきたので、筋はガイド無しでもわかった。んだが、ガイドでは衣装や型についても解説してくれるので(リアルタイムでやっているらしい)、やはり便利。ただなー。片耳塞がるのがウザいといえばウザいので、善し悪しだなあ。

 演目はどれもステキだったけれど、個人的にはやはり「廓文章」だろか。筋はどうってことないんだが(むしろ「それでいいんかい!」て感じなんだが)、若旦那(というより馬鹿旦那?)の伊左衛門が味があったし、なにより玉三郎の夕霧がとてつもなく美しく色っぽく。
はあー。やっぱり玉様は最高ですだよーぅ。
  「彦山権現誓助剱」は最後の一つ前の幕のみで、「いざ敵討ち!」というところで終わっているのでちょっと消化不良気味(見栄えがよい幕だということなんだろうけど)。「曽根崎心中」は、なんだか妙にコミカルに観えてしまったが(←失礼?)、有名なラストのくだり(↓これ)が聴けてそれだけで満足。
「此の世の名残。夜も名残。死に行く身を譬ふれば。 
 あだしが原の道の霜。一足づゝに消えて行く。
 夢の夢こそ あはれなれ。 」


 休憩時間には売店などもうろついてみたり。ちょっとしたデパ地下みたいで華がある。


 終演後には二階にも上がってみたり。

 いやあ。堪能しました。楽しかったー。チケットとってくれたり同行してくれた友人方、ホントありがとうございました。是非また。
新しくなった歌舞伎座も見てみたいしね(座席の狭さが改善されることを期待している《苦笑》)。

古典芸能ではあと文楽なんだよなー。万斎さんのお狂言も観たいけど。そして古典芸能じゃないけどバレエも観に行きたい。ボレロか白鳥かジゼル希望(ぉ。
 

20111010
第27回「新宿御苑・森の薪能」 at 新宿御苑 イギリス風景式庭園

演目:狂言「越後聟」能「石橋」
出演:野村萬斎/観世清和/観世敦夫/室生欣哉
 丁度ひと月前のこと。
 新宿に買い物に出て、三丁目から都庁付近を往復した時のこと。
 地下道を歩いていてとあるポスターを見かけた。

 何?御苑で薪能?素敵じゃまいか。
 しかも「石橋」?やるの?狂言は万斎さんが出るの?

 こんなような呟きにマイ・ハニイ・某S嬢が応えてくれて。
 と、ここまで書いたら先が読めるかもしれないが。まあ、お約束(笑)。

 「ゆこう」
 「ゆこう」

 そういうことになった。

 最寄り駅で降りると、どうやら同じ目的の人達が沢山。ぞろぞろと新宿御苑の大木戸門に向かう人の列ができている。


 左:入口。大木戸門のところ。風情ある提灯。
 右:このパンフレットと同じ絵柄のポスターが目をひいたのだった。今年だけのデザインではないモヨウ。

 門のところで無事に合流して会場に向かうと、日はもう落ちて辺りは真っ暗。だだっぴろいイギリス風景式庭園の片隅に舞台は組まれていて、客席の後方は暗い芝生の広がり。
 と言っても、ナイターに使うようなパワフルな照明が煌々と舞台や客席を照らしていて、実は会場自体は全く暗くはなかった。照明に照らされない領域が凄く暗いだけで。なんとなく「薪能」という趣とは別の方向で不思議な雰囲気。これは、薪を焚いても、印象としてはカタチだけだな(苦笑)。


 左:遠くからの撮影だが、びっかびかなのがわかるだろか。
 右:よい月が出ていた。

 庭園の反対端には売店が出ていて、ちょっとした食べ物や飲み物を売っていた。時間がまだあったので、試しにそこまで歩いて行って見て、 戻りながら写真をぱしゃぱしゃ。……うーん。ブレまくる(苦笑)。


 舞台はこんな感じ。……て、遠くてよくわからないか(汗)。柱が認識できたら、そこが本舞台。本来は舞台の奥には「鏡板」と言って松が描かれた板があるんだが、この場合は……けやき?ごめん松じゃないということしかわからない(ぇー。

 ところで雨属性の女二人。どうなることかと心配したけれど、当日は晴れ。しかも、この時期にしては暖かいという。
 とは言え、10月の夜。吹きっ曝しの屋外。気候的に防寒度合いは少し緩めたけれど、ストールとフリース地のブランケットを持って行って、本当によかった(苦笑)。次の機会があったらもっと断然防寒体制で臨みたい。
 席は舞台に向かって真ん中より左めの後方。突然思い立って直前にとった席としては、まあまあだったかな。案外、橋掛かりに近い席をとっても良かったかな。揚幕の位置より後ろになっちゃいそうだったのもあってやめてみたんだけど。

 さて。
 本番。

 狂言は「越後聟」。万斎さんは聟役である。
 事前に検索したら「万斎さんが凄い」的な感想がよくヒットしたので、楽しみにしていた。何がどう凄いのか。しかし、そもそも狂言もお能もまだ1回しか観たことがないので、比べるものが私にはないのだった。てへ。
 狂言はでも、事前に予習をしていなくても(あらすじくらいはわかっていた方が観やすいと思うけど)なんとなく内容わかるし、なんとなく面白いので、あまり気を張らずに済む。役者の立ち居振る舞いだけで、そこはかとなくおかしい。もしかしたら失礼なのかもしれないが。でもそれを狙っているようにも思える。
 今回も、ただただ3人の登場人物(聟と舅と姉婿の勾当)が次々酒を注がれて呑む、それだけなのに、そこはかとなくおかしい。その一連があんまりゆっくりなせいもあって、もう一周するかと思われた時につい「まだ呑むんかい!」と心の中でツッコミをしてしまって、それがまたおかしい。
 そして最後の見所、聟の獅子舞。これは万斎さん独自のアレンジが加えられているそうで。側転するわ、倒立するわ、欄干越えるわ、欄干の上に立つわ。いやあ、アクロバット(動き的にアクロバットとは思えないかもだが、実際は大変なこと、のはず)。
 あと個人的には勾当がいい味出しててよかった。
 んー。それにしても。
 やはり万斎さんは万斎さんだなあ(何)。

 続いてお能。演目は「石橋」。「しゃっきょう」と読む。「花よりも花の如く」で覚えた(笑)。
 いやあ、面白かった。
 「石橋」は脚本のようなものをアップしてくれているサイトが見つかって、これがものすごく役に立った。あらすじを知っていても、ついうとうとときてしまうのがお能(まだ1回しか観たことなかったけど)。登場人物の台詞はともかく、謡になると何を言っているのかわからなくて(苦笑)。それがこの虎の巻を見ながらだと、おおよそ何を言っているのか、そもそもどういうところなのかがわかる。おかげで全く眠くならずに最後まで楽しむことができた(情けないとか言わない)。
 その上、この演目の見所は最後の派手な舞。しかも今回は連獅子。つまり、二人での舞(相舞とか言うんだっけかな)。親子の設定らしく(だったと思う。ウロオボエ)、紅い若い獅子と白い大人の獅子。一畳台に飛び乗ったり飛び降りたりの激しい舞の中にその対比も現れていて、とても興味深かった。いやあ、これは寝てらんない(笑)。
 余談だが、今回若い方の獅子を演られた方の父上が謡で出演してたそうで。親子、親子の演目となったとか。

 どちらの演目も獅子舞が肝。そして、双方共に、獅子舞と牡丹が結びついているモヨウ。なんでかなー、と思って後で調べたら、大雑把に言うと、所謂「獅子身中の虫」を防ぐ(?)のが牡丹の花(に溜まった露)なのだとかで。そうだったのかー。
参考サイト様:http://bit.ly/nw2tkK http://bit.ly/qO1J6v http://bit.ly/q7gihj

 この後しばらく、つい語尾に「ござる」がついてしまったのは内緒の話さ。

 最後におまけに、終演後に舞台を近くから撮影してみたので載せておく。


 因みに舞台上は夜露でびっしょりでした。狂言とお能の合間に拭いていたけど、こりゃ大変だわ。