病院選びについて 

 病院選びは難しいですね。

 

 いまやクローン病も潰瘍性大腸炎もかなりメジャーな病気になりつつあるけれど、内科的治療にも、病院によってできるものと出来ないものが、残念ながらあります。

 主治医を選んで一緒に成長したとしても、例えば顆粒球除去療法をしたいと思った場合、残念ながら、その医院では出来ないと言うこともありえます。

 変わった薬を飲んでみたいと思っても、保険の関係で処方できない場合もあります。

 大学病院などは、比較的そういう「おためし」の部分は融通が利くようですが。

 

 そう言うシステムの部分を理解し、自分が一番良いと思う病院へ行きましょう。

 大学病院で新しい治療を試すのが良いと思うかたは、大学病院へ行けば良い。

 大きい病院が安心だと思う方は、大きい病院へ行けば良い。

 とにかく「医師の人柄」重視で、近所の小さな個人医院へ行きたいと思えばそれも良いと思います。

 そういう小さな医院で大切なことは、臨機応変に大きな病院や大学病院へ紹介してくれること。ここははずせません。

 小さな医院で「患者の融通が利いて、お気楽に通えるということ。」はとっても重要ですが、時に「しっかり再燃」したり、「大変な状態になる」と言うこともありえる病気ですから、そう言う時のことを考えて、「どこの大きな病院と提携しているか。」、「悪くなったら、どういう対処をしてくれるのか。」と言う部分をしっかり聞いておくべきです。

 ずっと、小さな医院ですめばそれで良いですが、「再燃する」可能性はとても高い病気ですから、酷くなったときのことは、きちんと頭に置いておくべきです。

 

 正直なところ、今までいろんな同病の方の話を聞いて、違う病院だったらもうちょっと違う人生が送れたんじゃないかなと思ってしまう人に、出会うことも多いです。

 で、実は、私自身も、とんでもない病院に入院していた経験がありあます。

 病院において、特に入院中は、医師の前で患者なんて無力です。

 そこの病院の医師が「これしか道はないんですよ!!」って言う態度だとしたら、病院全体がそうなってしまいますし、そういったひとつの常識のなかで、「無力の患者が疑問に思うこと。」って言うのは、まれです。

 実際はこの病気は病気の原因がわかっていないのだから、治療は「沢山の道のなかのひとつ。」なのです。

 

 まだまだ、治療も手探りの部分も沢山あるようですから、例えば、潰瘍性大腸炎の方の手術でも、同じ手術するにしても、「もっといい状態でできるはずだった方、、、」と言うか、はっきり言ってしまうと、「内科的治療が上手じゃないから手術を受けなければならない羽目になってしまった人。。。」と言う方の話も沢山あります。

 

 IBDのような新しい病気って、原因もはっきりしてない訳ですから、治療の常識もポンポン変わります。

 驚くほどに。

 前回の入院時に「治療の常識」だった部分が、次の入院時には、違ってたりするんですよ。2,3年で「むかしはね。。。」と言う感じです。

 そして、まだまだ原因もきちんとわからないわけですから、これからも、結構ポンポン変わる可能性があると思います。

 で、そういう情報って、とりあえず大学病院は、入って来やすいようですが、なぜかその後、ほかの病院とか医院に伝わるの遅いんですよね。

 不思議です。

 大学なんかから離れてしまった先生のところってその手の情報、得にくいみたいです。

 医師が自ら新しい情報を得ようとしなければ、そこの病院は、ずーーーーっと、「その医師が大学病院を離れた段階のまま。。。」と言うこともありえるのです。

 そういう部分をインターネットなんかから、患者同士の情報交換で、得られれば、すごいことですよね。

 ちなみに以前、「この病気は新しい病気だから、40代くらいの医師が良い。」と言うような話も聴いたことがあります。

 

 さて、次は「病状のレベルによって。」と言う部分の具体的なお話しです。

 病気の段階やレベルによって、患者自身が病院に求めるものも変わってきます。

 潰瘍性大腸炎の直腸型で、それほどでもないときは、どこの病院でも良いかも。。。。?!

 左側結腸型や全大腸型で、何度か再燃して入院した経験のある方も、「緩解を維持していて、病状がそれほどでもない段階の時。」には、薬をもらうだけのために通いやすいところへ行くとか、逆に、遠いけれど有名な病院へ、3ヶ月に一度だけ通う、、、とかね。

 ただ、何度も言うように、再燃時のことをきちんと頭に置いた病院選びは必要だと思います。

 もちろん、ずーーーっと緩解が続くことが理想で、緩解が続いている時には、「このまま一生再燃しないんじゃないか。」と言う気持ちになりがちですが。脅すようですが、残念ながら、再燃を繰り返す病気ですんで。。。

 ただ、受け止め方次第で、自分自身の生活がきちんとおくれるはずの病気ですから、基本的には、通える範囲の気の合う先生が見つかれば、そんなに有名な病院じゃなくても、良いと思います。

 何度も言いますが、「もしもの時にはきちんとした大きな病院に紹介してもらう事が可能な病院」という部分は絶対にはずせません。

 何もなければそれで良いですが、何があるかは、わからないのですから。

 

 患者自身が「病気に対して色んな意味での自信」がつくまでには、とりあえず、クローンや潰瘍性大腸炎をきちんと診ることのできる大きな病院や大学病院へ通い、いわゆる、一般的な「標準治療」のようなものを経験して、自分自身の体と病気のことをきちんとわかった上で、それから近くの医院なり病院なりに紹介してもらう、、というのも安全策かもしれません。

 IBDを診ることのできる病院は、近くの患者会などに相談すると教えてくれると思います。

 

 新しい情報や最新の治療と言う意味では、やはり、大学病院だと思います。

 でも、大学病院って言うのは、患者のためだけにある病院ではないので、言葉は悪いですが、「実験材料」のような扱いを受けたり、主治医が変わりやすかったり、待ち時間が長かったり、医師の移動が頻繁だったり、、、いわゆる、若い医師が成長するための練習台的な扱いをうけたり、、、とか、ある意味患者にとっていろいろ不都合なこともあるようです。

 しかし、「未熟な医師が大学病院で学習する。」と、言うことも、医療全体からみたら大事なことですから、多少の「未熟な部分」は、大学病院にかようのなら、ある意味仕方がないと思います。

 私たちの病気は「特定疾患」として金銭的に医療補助をうけているわけですが、これは、「医療費が沢山かかるため、患者が経済的に大変だから」と言う意味あいのものではなくて、「まだ原因や治療法がハッキリ分からないから、病気自体の研究のため」と言う意味あいが大きいのです。

 

 ちなみに私は、今は大学病院に通っています。