患者と医師のすれ違い

 

 書こうかどうしようか迷ったのですが、お話として興味深いものでしたので書いてしまいます。

 外科に入院したとき、同室の方のお話です。

 私の入院した大学病院の外科は、ほとんどが癌の患者さんでした。

 皆さん、「悪いところを切る。」と言う感じですので、癌だと言っても悲壮感は感じませんでした。

 私は大腸全部摘出の手術でしたから、切る量ではNO.1でしたので、(^^;;みんなに心配して

もらいました。

 

 今回お話するのは、その中のひとりの方についてです。

 その女性○さんは、は、69歳の方で、ずっと以前に癌の手術をうけ、今回もまた何か出来た

と言うことでした。

 自覚症状は、全く無し。

 色々検査した結果、その方は、今回出来たものは場所が悪く、手術は無理と言うことで、

転院して抗がん剤の治療をすることになったのです。

 

 私も○さんには、色々お世話になったし、何かと気が合うので(^^)退院後も、その方の

転院先の病院へ遊びに行ったりしていたのでした。

 

 先日、久しぶりに電話を頂きました。

「退院後、抗がん剤を一週間に一回点滴しなければならず、それが一回8000円もかかる。

一月に32000円。それにお薬が入ると、、、、」

と言うお電話でした。

 私は電話で話を聞いて、てっきり、「お金が大変だ、、、」と言う話だと思いました。

 

 今まで、それほど大変そうなそぶりはみせなかったし、一人暮らしとは言え、お子さんが

ふたりもいらっしゃって、とてもうまく行っていて、おき楽なひとり暮らしをしていると話していた

し、実際私の目にもそう見えていたのでした。

 でも、そう言うお金の話を私にわざわざ電話してくるのだから、よほど困っているに違いない

と思い、その方のお宅へ伺ったのでした。

 伺ってみたら(^^;;

 

 「お金がなくて払えない。」、、、、と言う話ではなく、「どうにかして安くならないかなぁ?」

と言う話でした(^^;;

 なんと、知り合いの市会議員も自宅に呼んで相談したそうで、でも

「そう言うものは決まっているから、マケられない。」

と、言われたそうで(^^;;;;;;;;;;;;

 

 私に電話する直前、抗がん剤治療を進めた外科の主治医の△先生にも

電話したそうで、

その△先生も私と同じく「払えない。」もしくは「払うのが大変だ。」と言う話だと思ったようで、

「どうにかしてお子さんに援助してもらえば。。。」

と言う返事をしたそうです。

 結局、「一週間に一回を2週間に一回にしても良い。」ということになったそうでした。

 

 その後、私が外科の外来へ行ったとき、主治医の△先生と、○さんの話になりました。

 私の主治医は、その方の外科の主治医でもあります(^^)

 もちろん、私はその方の身内でもないので、深くは話すことができませんが、

色々話をしてて、○さんと△先生のすれ違いにびっくりすることだらけでした。

 

 一番びっくりしたのは、△先生は、つつみかくさず全部病状などを話していたつもりが

患者さんの○さんには、ほとんど伝わっていなかった、、、、と言うことです。

 と、言うか、私も同室だったので、△先生と○さんのやり取りを断片的に聞いて、

「あ、癌なんだ、、、、大変だな。。。」

と思っていたのですが、

○さんは自分が癌だとは思っていませんでした。

その証拠に、今回、私との雑談で、

「まさか、癌じゃないだろうねぇ。。。」

と。。。。

 私は、「え?!癌じゃなかったら、何?????!!!」と思ったのですが

第三者の私が、まさか言えず、、、、

 考えてみれば、きっとこういう方にとっては

「癌である。」と言うことは、「体調うんぬん。」よりもショックであり、

「あなたは癌ですよ。」なんて言ったら、病気になってしまうかも。。(^^;;と

思ったのでした。

 

 それから、またまた、

 抗がん剤を始める前に△先生は、切ることが難しいので、

「抗がん剤を試してみる。」

と言ったのですが、○さんは、その「試してみる」を「実験される。」と言うような意味合いに

とってしまったようでした。

 

 それからまたまた△先生は、

「結局、一週間に一回の抗がん剤治療を2週間に一回にしてもやむをえないから

せっかく効いているのだから、それでもやって欲しい。」

と言うのを

「じゃあ、2週間に一回にマケテやっから!(^^)」

と言ったのでした。

 ってことで、彼女、○さんの方は、「マケテもらう。」のニュアンスに完全に

うけとっちゃってましたし(^^;;

「抗がん剤なんて医者の金儲けだもんな。きっとあれはノルマがあるんだ。」

なんて言ってましたし。。。。

入院時、色々な検査の時も言ってましたが(^^;;;;;

 公立の病院で、そんなもんにノルマなんてないっすよ。。。。

 

 ちなみに○さんは、入院してたとき、血糖値の日内変動の検査のとき、

「いっぱい血を取られるから、ふらふらしてしまう、、、、」と、みんながとめるのも

聞かず、一生懸命、色々間食してました(^^;;

 「あ、、、、空腹時の血糖値が!?」(^^;;;;;;

 話、それちゃった(^^;;

 

 で、入院中、その外科の主治医の△先生と○さんって、漫才のように仲が良く、

ポンポン冗談を言い合っているように、私には見えました。

 多分、△先生も、そう言う風に思っていたと思います。

 まさか、理解にこんなすれ違いがあったなんて夢にも思ってないと思います。

 で、私がそれぞれと会話しなければ、そのままだったんですよね。。。。

 

 明日、私外科の外来診察日なのですが、△先生にちょっと話をふって来ようと思って

おります。

 この間、少し話をしたときには

「抗がん剤効いてるから、佐久間さんからも、ちゃんとやった方がいいよって薦めて

おいて(^^)」

なんて言ってましたが。。。

 明日、

「先生、、、、○さん、自分が癌だって思ってないですよ。」

って言ったら、△先生、宇宙のかなたまでぶっ飛んでいきそうな気がします。

 

 ただ、でも、私もよく考えて、「だったら△先生はどんな風に言ったら良かったのかな?」

なんてことを考えてみましたが、難しすぎてわかりませんでした。

 ただ思ったことは、

「診察ってすっごい難しいんだねぇ。。。。」

って、ことです。。。。