食事療法について

 食事療法についての情報は、色々なホームぺージに沢山あります。

 おすすめのホームページは、


    『 炎症性腸疾患のレシピ 』
    IBD's COOKING

     http://member.nifty.ne.jp/rinse/

 それから、「北海道IBD」で作成された「生き生きライフ」と言う小さな雑誌も内容が充実しています。

  生き生きライフの購入方法は、

       「北海道IBD」   http://www2.snowman.ne.jp/~h-ibd/

 

  ですから、自分できちんと病気を理解した上では、食事療法を試すための情報は沢山あります。

 

  私のホームページでは、そう言う各論的な部分は、他のすばらしい情報におまかせして、大まかな意味での「食事療法の意義」の部分を述べたいと思います。

  食事療法は、主に潰瘍性大腸炎の方についてです。

  治療は、先生と、、ですが、食事療法は、患者自身がやることが可能な部分ですので、せっかく頑張って食事療法をしても、それが「勘違い」に基づくものだったとしたら、「ひとりでやっている」部分なので、間違いも気がつかないですよね。

  ご飯はおかゆしか食べてはいけない、、、、と思っていらっしゃるかたにも出会ったことあります。

  胃ではないので、ご飯とおかゆの差は「食物繊維の量」にあります。

  お米の量が同じなら「同じ食物繊維の量で、ご飯はこのくらいだけど、おかゆにすると実際口に入れる量が沢山になる。。。。」その程度です。ご飯の方が好きならば、ご飯にしてちゃ〜んとかんで食べた方が生理学的にも良いと思います。。。。

  おかゆかご飯か、、、、が問題ではありません

  それから、低脂肪ということで、とにかく脂肪を取らない食事、、、、と言う方もいらっしゃいます。

  

  でも、そう言った「勘違い」しがちな部分が多々あるのもこの病気の食事療法です。

  低脂肪低残渣、、、、という言葉にも振り回されがちです。

  低残渣低残渣、、、で食物繊維を極力取らないような食生活をしていたら、なんだかおなかの調子が変だった。。。。とか。

  緩解期には、便通を整える意味で、ある程度の食物繊維の量は必要です。

  油を全く取らなかったら、便秘をして酷かった、、、とか。

  予断ですが、お米なんかにも、油分って含まれているんですよ。

  一般的な意味での「あぶら」を取らなくても、案外色々な食品に脂肪分はふくまれているのです。

 

  5,6年前までは、潰瘍性大腸炎やクローン病の食事療法と言うのは、一般的ではありませんでした。

  「食事はこの病気に関係ない」とも言われてもいました。

  この病気は原因がハッキリしていないのですから、「食事をきちんとすれば必ず再燃しない。」と言うものではありません。

  ですから、あまりにも食事療法に成果を求めて「がちがちに食事療法する」のはどうかと思います。

  これだけ頑張っているのだから再燃しない!!と思っている人が再燃した時のダメージは大きいように感じますし。

  特に、子供が患者の場合、「あれも駄目、これも駄目」と言う食事療法は関心しません。

  

  ですが、私たち病歴の長い患者は、自分の体験や試行錯誤で、「この病気に食事は関係ないと言うことはないな。。。」と言う結論に達するかたは、非常に多いです。

  ただ、食事が原因で強烈に下痢をしたから再燃につながる、、って言うとそうとも限らないのです。

  再燃につながる下痢と、再燃につながらない下痢と、、、もあるのです。

  そう言う意味では、「食事には関係ない」とも思います。

  ですが、長い意味で、食物アレルギーのように、「ある食品を取りつづけていたら、あるとき許容量を過ぎて再燃につながった。。。」と言うものがあるとすれば、食事に関しては本当に「わからない」と言うしかありません。

  それでは何を食べても良いか????

  良いのかも知れません。

  ただ、何を食べても良いと言うことの意味は、「色んなものを食べてバランスの良い食事をしましょう!」と言うことで、間違っても「毎日カップラーメンやパスタや、中華料理を好きに食べて良いですよ。」ということではないのです。

  このあたりも勘違いしやすいところです。

 

  さて、きちんと食事療法に話を戻します。

  基本の低脂肪低残渣、、、と言うものも、一人の患者でも、体調によって、病状によって、かなりそのOKのラインは変わってくると思います。

  とりあえず、自分の体の中の様子を、知る、、、、ということです。

  それは体の様子は何が教えてくれるのかと言うと、便の形状、回数、おなかの張り具合、おなかの音、、、そのあたりの感覚的なこと、、、、です。

  一般に食事療法と言うのは、一日できちんとしたものが出来なくても、前日不足しがちだった栄養素を次の日にう取ったりして一週間でつじつまを合わせるような、こともしますが、この病気の食事療法は、基本的には、便の状態に合わせて、、、、と言うような部分が、食物繊維などに関しては、特に出てきます。

 「どの程度のものを食べると、どんな便が出るか。」

 初めのうちは、便と食べ物を関連付けて観察するのも大事です。(^^;;

  難しいですね。(^^)

 

  取りあえず実際の食事療法の話を、、、低脂肪ということで、油のおはなし。。

  緩解のときに極端に脂肪が少ないと、便秘をなさるかたも多いです。

  便秘ももちろん腸に良くありません。

  油そのものの質の問題もあります。

  N-3系の油が多く含まれる(しそ油、えごま油など)などは、炎症を抑える作用があり、ある程度摂取しても良いと言われています。また、青魚(さば、いわし、あじなど)にもN-3系の油は含まれています。

    #  ちなみにN−3系の油をカプセルで飲む、、、と言う治療もあるそうです。

  ただし、N-3系の油は酸化しやすいので、火を通す料理には不向きです。

  油は、料理のうまみを感じるのに大切なものでもありますので、料理の最後にしそ油をたらす、、と言うような使い方をしても、料理がおいしくなったりします。

  

 火を通す料理には、n-9系の油の割合が多いオリーブオイルなどが良いようです。

 なぜなら、酸化しにくく、熱によって変質しにくいからです。

 少量のオリーブオイルで炒め物を作る、、、というもの良いですね。

 N-9系の油というのは、炎症を良くも悪くもしないそうです。

 オリーブオイルは、揚げ物には不向きなので、たま〜に揚げ物をするときには、「キャノーラ油」などの菜種油をつかうと良いです。

 

 このように、油の種類に気をつかうだけでも、ぜんぜん違うと思います。

 ただ、これは、IBDの人に限らず、病気を持たない人にとっても同じです。

 

 次に一番大事な食物繊維の話です。

 食物繊維には水溶性のものとそうではないものがあり、水溶性の食物繊維は、体調によっては多めに取っても良いと言われています。

 ですが、それは、緩解期の時の話です。

 実際この病気で一番、「体のために大丈夫な量」が変化するのが「食物繊維の量」だと思います。

  おなかの状態が優れないときは、2、3日、極端に食物繊維の少ない献立ですごせば、ぜんぜん違うと思います。

  酷い下痢の時は、1日2日絶食しても良いと思います。

 それは、いわゆる普通の下痢の時の話です。

 それが再燃につながってしまった下痢だったら、今度は、基本低脂肪低残渣で、つまり栄養効率の良い食品をつかった食事が大切になってくる訳です。

 栄養効率の良い食品と言うのは、少ない量で栄養価の高い食品のことです。

 腸に何も通さなければ、傷ついた腸に良いのはわかっていますが、そんなこと不可能ですし、再燃したら、簡単に良くなる、、、とは考えにくいので、生きるためというか生活に必要なカロリーはちゃんと取らないといけないのですから。

 そう言う意味で、エンシュワリキッドやエレンタールを栄養補助のような形で上手に食事と併用するのも手です。

 このへんのことをしっかり理解すれば、後は、特別普通の病気の食事療法と基本は変わりはないので、身近な栄養士さんに、どんどん相談してアドバイスを受ければよろしいと思います。

 大まかな部分の理解が不十分で、OK食品(潰瘍性大腸炎やクローン病に良いといわれている食品)だけを食べつづけると言うような勘違いした食事療法をなさっている方に結構出会います。

 OK食品といいましても、バランスよく食べなければ、ただの偏食で、それは食事療法ではありません。

 一番大事なのは、トータルの栄養のバランスを頭に置いた病状に応じた低脂肪低残渣なのです。

 その部分を充分に理解すれば、潰瘍性大腸炎の栄養指導と言うのは、「栄養士さん」だったら、誰でも出来る簡単なものだと思います。

 

 栄養と食事の話と言うのは、「とても簡単」なようで、患者さん「一人一人勘違い」している部分がとても多いように感じます。

 有名な栄養士さんの講演を沢山の人数で聴いたとしたら、同じ講演を聞いても、「頭で理解した内容」は、「その人の栄養と言うものの知識のレベル」で、「全く違う栄養と食事の話」になってしまうことがとても多いです。

 正直な感想を言うと、「一般に物凄く頭が良い方」ほど、栄養の話を聞いた後の食事療法に対する勘違いが多いように感じます。

 まじめすぎるがゆえに、食事療法が「科学の実験」のようなものになってしまうことが多いのです。

 食事療法というのは、科学の実験とは違って、何と何が合わさればこんな効果が出て、こうなる、、、と言うものではなく、もっと未知の部分もある大雑把なものだと思います。

 食べ合わせや、相乗効果、未知の栄養素の問題、そして、おいしさ、楽しさ。。。。

 そう言うものすべてを含めて食事療法なのです。

 ですから、ひとりひとりの理解度に合わせた栄養指導をしないとあまり意味がない、、、と言う意味で、一対一の栄養指導以外が一番理想的だと思います。

 だから、どんなところで生活していても身近な栄養士さんと一緒に、栄養士さんの栄養の知識と、患者自身の自分の病状の把握の連携で、食事療法を実践することが可能だと思うのです。

 このホームページのこのページをプリントアウトして、栄養士さんのもとへ行ってみてはいかがでしょう?

 先に紹介した「ほかのホームページのレシピ」や、「いきいきライフ」のようなものも一緒に持っていって、相談なさってみるとよろしいかと思います。

 一人で食事療法するよりは、どんどん栄養士さんを使うべきです。(^^)

 この病気の栄養指導が普通の病院であまりできないと言うのは、この病気の栄養指導が、栄養と食事のみだけで出てくるものではなくて、「患者の病状」も関わってくるから、、、、だと思います。

 何度も言うように、そう言う部分を抑えれば、難しい栄養指導ではないのです。

 

 

   最後に、、、、ここから先は、もと不良患者のつぶやきです。

  食事療法を苦にならずにできればそれにこしたことはありません。

   でも、食べたいですよね?食べちゃいますよね?若い患者さんは。

   私は、今、食事療法をしていますが、それは、最終的に「これってやっぱり再燃って食事に関係あるよなぁ。。。」自分で納得し、今、現在食事療法が楽しいからです。

   そう言う気持ちになるまでは、気にしないで色々食べて痛い思いをするもの、、、、悪くないんじゃないかなぁ。。。って。。。駄目???

   いや、、、、何食べても大丈夫ではないですよ。痛い思いをするのは本人ですし。

   でも、そうやって、痛い思いをして、「やっぱ食事療法って大事なのね。」って自分で思ってから初めても良いんじゃないかな。。。。なんて思う気持ちもあり。。。。

   だけど、病気がわかってからすぐに食事療法を始めれば、私自身も今現在の病状は違っていたんじゃないかな、、、って言う気持ちもあり、、、、

   食事に関しては複雑なのです。(^^;;

   でも、だからこそ、自分自身で道を決めるって言うのも必要なんじゃないかなって。

   ガチガチな食事療法を病院から強いられている患者さんに出会うと、「そこの病院の栄養士は何を根拠にこんな強烈な食事療法を強いているのかしら???これを全部守ったら、再燃しないと言う保証があるわけ???」などどと思ってしまいます。

   気楽に、、、、食事療法できれば、一番良いね。(^^)