山梨・三ツ瀑訪問記


10月23日(木)〜10月25日(土)にかけて、前回(6月20日)行けなかった三ツ滝を訪ねた。
23日は、午後から記念日のため休み、24日は有給休暇をとり、山梨の滝を見に行く。 23日はとりあえず山梨県に入り、道の駅で寝る予定。
前回の失敗に懲り、今回は事前にルートや記事を調べておいた。 南アルプススーパー林道の芦安方面からは、まだ通行止めだ。
奈良田から入れる時間は、4:00〜12:00と18:30〜20:00の時間帯で一方通行。 逆に広河原方面からは、13:30〜17:00と21:30〜22:30の間のみ通行可の一方通行。 通行出来る期間は10月31までで、冬季閉鎖となる。
三ツ滝の記事は、岩燕に1954年の詳しい記録があった。 山梨県は滝が豊富だが、あまり趣味にしている人がいないのか、ホームページの記事が極端に少ない。 資料はこの記事と、山梨の滝の本の二つのみだ。
岩燕の記録を見ると、かなり難しそうで、びびってしまう。 それでも、山梨の滝の本に紹介してあるということは、簡単に行けそうだと思い、挑戦してみた。

市川大門のスーパーで食料と酒のつまみを買い、酒は向かい側の店で買う。 あとは今晩寝る予定の、道の駅しもべまで行くだけだ。
暗い山道の県道を上り下りすると、国道300号線に出る。 ここを左折し、本栖方面に走る。
やがて真っ暗で人気のない、道の駅しもべに着いた。 国道を通る車も少なく、非常に寂しいところだ。
見える明かりは、ぽつんとあるトイレのみ。 もちろん、止まっている車なんかありゃしない。
満天の星空が見え、天体観測に丁度いいようなところだ。 連れでもいたら、そく、泊まるのは断られるだろう。
一人だと、こういうところも慣れているので、そんなに気にならないのだが。 それにしても、ここが道の駅とは信じられない、ただ小さな駐車場があるのみだ。

星空を眺めながら酒を飲み、早々と寝袋に入り、眠りについた。 おかげで良く眠れ、目がさめた時は、5時近くになっていた。
起き掛けで食欲もなく、すぐに車を走らす。 国道300号線を、来たときの逆に走り、奈良田に向かう。 まだ外は真っ暗だ。
国道52号線を横切り、県道南アルプス公園線に入る。 早川の町に着くころには、空も大分明るくなってきた。
奈良田のゲート前に6時ころ到着。 ガードマンのおばちゃんから、通行時間帯の用紙をもらい、しつこく通行時間帯を守るよう念をおされて通過。 平日のせいか、どうも一番らしい。
橋の先のトンネルの手前で、工事車両が完全に道をふさいでいる。 通過車両がなくて安心して工事をしていたようだが、完全に通れないので、しばらく橋手前で待つ。 相手もこちらに気づき、重機を大型にのせ、出てきた。 まったく、通行時間帯なのに。
トンネルを幾つか抜けると、道路沿いに落ちる、たくさんの滝が出てくる。 一方通行なので、撮り忘れがないように、注意しながら進む。
結構、小沢なんだが水量のある滝が以外とある。
それぞれ険しいところにあり、滝壷には簡単に近づけない、道路から見るのみだ。
順番に、こごみ滝、神楽滝(10M)、仙丈滝(8M)、カッパ滝(10M)、桂ノ滝、間ノ滝(2段20M)と続く。 それぞれが、いろんな素顔を持ち、結構楽しめる。
対岸の上に見える、夜叉神からの道と紅葉真っ盛りの山肌がとても綺麗だ。 朝日は、まだ山の上のみで、谷筋までは時間がかかる。
発電所がある荒川出会いに着き、車を止めるところを探す。 荒川横の林道はゲートがあり、入ることが出来ない。 一方通行ということもあり、慎重に考え、県道の広くなったところに車を置く。
林道ゲートには、いやな雰囲気の看板があった。 ”工事中のため通行禁止、発破時間帯が五回アリ”と書いてある。
それでも、まだ作業員がいなければ行けると思い、林道を登ってみる。 林道途中の堰堤下に重機があるが、まだ作業している気配はない。
対岸に落差のある”けむり滝”が見えて来た。 下部は、最近出来た、荒川第二ダムの堰堤にぶつかって落ちている。
落差は50M以上あるだろう、水量はあまりないが、真っ直ぐに断崖を落ちている。 名前のとうり、下部は霧状で煙のようだ。

さて、ここからが問題である。 河原に下ると、ここにも重機やダンプがあり、工事中を伺わせる。
作業員はいないので、工事中を通ることの心配はいらないんだが、近くにあるという、吊り橋が見つからない。 おそらく、吊り橋は、ダム建設に伴って撤去されたのだと思う。
川中の作業道路をうろうろし、下から巻き道を探るが一向にわからない。 白い柵のようなのが見え、巻き道だと思って登って見たが、朽ちた木が横たわっていただけで、道はなかった。
時間はどんどん過ぎ、三ツ滝まで行けるかどうかあせる。 どうしても巻き道が見つからないので、少しびびった本流を、遡行することに決めた。
工事中の道を終了点まで進み、大石のごろごろする本流を辿る。 途中、ダイナマイトが剥き出しで置かれてあったり、爆破された岩があったりと、結構怖い感じがする。
北沢の出会いまでは、靴を履き替えることもなく、割合簡単にこれた。 ここには、工事のための吊り橋がかかっている。
吊り橋には”一般者通行禁止”と書いてあったが、渡って少し工事用につけられた道を歩いて見る。 少し歩いて、どうもこっちではなさそうだと思い、引き返し、川に降りる。
ここで靴を履き替え、遡行モードに入る。 時期が時期だけに、あまり濡れるのはやだなあ、と思いながら、両岸を渡渉しながら歩く。

少し水に入るだけで、簡単に広河原まで着けた、ここまで問題のあるとこはなし。 さあ、ここまでくると工事を気にしないで安心して休める。
ここで簡単に朝食のパンを食べ、先のルートを探る。
ここからの巻き道も良くわからなかったので、沢沿いを進むことにした。 南沢を分け、少し行くと川幅が狭くなり、ゴルジュっぽくなってきた。 右に左に越して行くと、右岸に落ちる、大唐松沢の滝が簾のようになって落ちているのに出会う。
大きな滝だ、上は見えないが、下だけでも50Mくらいある立派な滝だ。 文献では100Mくらいと云われており、三ツ滝の一つだ。
周りの紅葉とあいまって美しい。 いかんせん、快晴のため、写真を撮るには、光線の関係であまり良くない。 見事な滝をしばらく鑑賞し、次に進む。
大唐松沢の滝の下を、あまり濡れずに通り抜けると、関門の滝が出てきた。 落差は6Mほど、ここを登らないと上の二つの滝は拝めない。
ここまでは、たいしたとこはなかったので順調にこれたが、この滝は慎重にとりかからねばならない。 下からルートを探ると、左しか登るルートはない。
簡単に登れそうなのだが、登りきる上がよくわからないので不安だ。 慎重に足場を確認しながら、一歩一歩登り、滝の落ち口に出た。

ここを下るのは大変そうだ、ロープをかける木がないからだ。 落ち口を対岸に渡り、その上の小滝を巻く。
目の前に大きな滝が突然出現する。 本流の滝(40M)はトイ状で一気に落ちている。
左岸には、緩やかな階段状の細沢ノ滝(50M)が落ちている。 細沢の滝上には、取水施設と吊り橋が見える。 すばらしい光景だ、来たかいがあった。
ここを見るためにはるばる来たのだが、やっと到着できたので思いもひとしお、感激である。 しばらく、滝とすばらしい紅葉を眺めながらすごす。
さて、あとはどうやって、ここを脱出するかだ。 細沢の左側が登れそうだ。
何回かトライしたが、逆層で濡れていて滑り、ここはあきらめる。 そうかといって、簡単に下に戻れない。
6M滝の上から登ってきたルートを見るが、足場が小さく、ここも滑り落ちそうでとても降りられない。 しばらく、周りを眺めて見たが、ルートが見つからず、意を決死、6M滝を下ることにする。
落ち口から少し横にある木まで届けば、問題ないんだが、少し距離がある。 その上の木まで登れればなあと、上を見ると、錆びた針金が目に止まった。
これが使えれば上の木まで行ける、
慎重に確認しながら、そろりそろりと登って見る。 登れた、助かった、これでロープが使える。
針金のかかった木からロープを垂らし、滝横の木まで降りる。 ロープを付け替え、ほぼ垂直の滝横を慎重に降りる。
ここは体重がかかるので、非常に疲れた。 おまけに木も細い(5CMくらい)のでこころもとなかったが、なんとか降りられた。 降りて、一安心、あとはどうでも降りていける。
三ツ滝を上から見て見たかったので、大唐松沢対岸のガレを登り、巻き道にでた。 全体が見えるところはなく、大唐松沢の滝の上部と他の滝がちょびっと見えるところしかない。 ここも逆光なので、あまり写りは良くない。
ドーンと大きな音がした、発破の音だ。 工事をやってるみたいだ、どうやって通過しようか。 とりあえずは気をつけながら、作業が見えるところまで行ってみよう、怒られたら謝って通るだけだ。
巻き道は割合はっきりしていて、広河原まで簡単に着けた。 この先の巻き道ははっきりしないので、また川沿いに降りる。
ブルーの矢印やケルンがどうも、ルートを示しているようだった。
吊り橋から右岸に上がり、沢沿いに降りると朽ちた家があった。 ここを抜けると、もう川中の工事道路が見える。
作業員の姿は見えない、ひょっとして、発破準備をして避難してるんじゃないかと疑心暗鬼で降りて見る。 時間は12時30分、昼休み中かもしれない。 足早に歩く。

車の中からカーラジオの音が聞こえた、どうも昼休みで寝ているらしい。 これさいわいと、さっさと通り抜ける。 呼び止められることもなく、林道に出られた。
あとはゆっくり車まで戻るだけだ。 以外と早く行ってこれたので、大満足。
太陽光を浴び、虹の出た、けむり滝を再度ゆっくり写真を撮り、車に戻った。
まだゲートが開かない時間帯なので、ゆっくり昼飯を食べ、もう一度下りながら道路脇の滝を確認して行く。 道路は貸切状態なので、のんびりと走れる。
第一陣の車が来る前に、工事車両がかなりのスピードでドカドカと降りていった。 さあ、私も帰るとしよう。 帰りは、ミキサー車のあとからすんなりとゲートを通過、おばちゃんがご苦労さんと手を振っていた。
時間はまだ早いので、奈良田にある白旗史朗の写真館(500円)に寄っていく。
さすが世界の山岳写真家、大きな写真がたくさんあって、見ごたえがあった。
次に、大塩の滝を見ようと思ったのだが、簡単に通過してしまった。
あとは、見神の滝を見て今日はおしまいにしようと思い、雨畑ダム方向に曲がる。 ところが、雨畑湖を過ぎ、トンネルをくぐっても、道路右横にあるはずの見神の滝が一向に出てこない。 もう一度地図を見ると、もっと手前でどうも行き過ぎたらしい。 タイムリミットが近づいているため、あわててUターン、狭い道を戻る。
雨畑地区に近づくと、正面に大きな滝が見えてきた。 滝の前には駐車場まである。
地形からすると、見逃したわけがわかる。 ダム方向から来ると、右手後ろになり、滝は見えない、小さな看板があるが、それを見逃すと、先へいってしまうからだ。
やっと暗くなりかけた滝の写真を何枚か撮れた。 それにしても、垂直の大きな滝(42M)だ。 ここから上段は見えないが、少し先の道路上からは、上段も良く見えるので一見の価値がある。
もう大分暗くなってきた、今日の宿泊予定の道の駅”とよとみ”を目指そう。
増穂町で買い物をし、国道140線沿いにある、道の駅”とよとみ”に着いた。 明日は儀丹の滝に行く予定だ。
ここは昨日の道の駅”しもべ”と比べると大違いである。 駐車場も広く、明るい。
隣には、ファミリーマートとラーメン屋があり、朝早くても助かる。 ただ、難をいえば、明かるすぎることと、国道の通過車両が多く音がうるさいことである。 12時過ぎまで、若者が大きな声だべっていた。
トイレの前のベンチには、自転車ツーリングの若者が寝袋で寝ていた、今時の若者としては根性があり感心する。
今日も酒の力を借りて、眠りについた。
続きは次のホームページにする。

ゲート―荒川出合―けむり滝―広河原―大唐松沢――本流滝―広河原――車

6:00   7:00  7:15   8:50   9:10   9:35  11:45  13:05

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