さらば同角沢

4月22日(土)晴れのち薄曇り。
体力は確実に落ちてきている。数年前と比べると、足があがらないし、ちょっとしたことでも疲れる。
もう同角沢は無理だろうか。
登れないかも、と自分自身考えていたが、滝の撮りなおしするためには、最低限無名の滝まで入らなければならない。
今日は、行けるところまで行ってみっか、これで最後にしょうと思いながら出かける。
天候はまずまずだが、朝はかなり冷えこんだ。
かなり芽吹いてきたが、桜の花とつつじの花が混在している山肌だ。
ゲート前には、数台の車が止まっており、ほとんどが釣り人だろうか。

ここから早朝山に向かう人は少なくなった。
明るい日差しの中、同角沢出会いまで玄倉林道をゆっくり歩く。
以前渡るのが大変だったF1前は、かなり埋まってしまい、今は少し濡れるくらいで、楽に渡渉できる。
F1の水量もかなり少ない。
F1を登る途中で、下流からきた釣り人から声がかかる。
「山菜取りに行くんかぁー」「いいや、ちょっと沢登りですぅー」手を振ってわかれる。
少し登って行くと、早くも三重の滝が出てくる、やはり以前より大分水が少ない。

ここの巻きは細い鎖に頼るしかない。
しかし、この鎖も大分心細くなってきた。
最初は全体重を預けなければ登れないが、続く鎖は、なるべく体重をかけないようにしながら登る。
やや上の方の支点ピン一箇所が、動くので要注意だ。
以前何回も下ったことがあるが、もうあまり下ろうとする気がしない。
もう、遺言棚まで登るしかない。
続く不動の滝の写真を撮り、右から巻きにかかる。
巻いて登る途中、急斜面の途中に新しそうなザックが引っかかっているのが目に入った。
何とかそこまで行けそうだったので、行って見る。
ひょっとして、上から落ち、近くに遭難者でもいるのかと見まわして見たが、人が倒れている様子はない。
もし、人が落ちたとしたら、沢まで落ちているはずで、下にはいなかった。

たぶん上の巻き道から誤ってザックだけを落したのだろうが、取りにこなかったのもおかしい気がする。
やや急斜面なので、釣り人にはザイル等がないと回収しにくかったのかもしれない。
黒と赤の新しいザック、釣り竿が脇にあり、釣りにきて落としたようだ。
デジカメが上蓋にあったので、何かわかるかもしれないと思い、メモリースティックだけ抜いてきた。
あとで気になったため、松田警察署に電話すると、「最近遭難届けもないしー・・・」とそっけない。
メモリーはアダプターがなく、見られなかったため、そのまま近くの交番へ”拾得物”として届けておいた。

不動の滝を巻いて上がると、しばらく小滝や大石の世界。
ダルマ石を過ぎると、右から大杉沢が合わさる。
出会いの滝は、水量が少なく、迫力がなかった。
行水の滝は、以前左側に穴が空いていて潜り抜けられたが、石が詰まり少しの空間しかない。
幸、水量が少なかったため、下半身を少し濡らした程度で通過できた。
行水の滝と次に出てくる関門のようなF5・5M滝とが、自分としてだぶっていたが、やっとはっきりした。
行水の滝は3Mほどの小滝、一人で登る時は、上の石がつるつるで手がかりがなく苦労するが、グループで入渓すれば簡単、肩車で楽勝だ。
次のF5は、左の狭いルンゼ状を登って巻く。

やっと無名の滝のお出ましだ。
落差25Mほど、垂直で一番むずかしそうな滝。
ここも水量少なく、いまいち迫力がない。
以前来たときは、気がつかなかったが、滝左横に、遭難碑がはめてあった(昭和42年の遭難)。
ここの巻きも意外と厳しい。
左のガレルンゼをよじ登り大きく巻いて登る。
前方に黒い物体が横切って行くのが見えた。
一瞬、熊かと思ったが、良く見るとカモシカだ。
写真を撮ろうとしたが、さっさと上の方に登って行ってしまい、顔を合わせることがなかった。
さあ、あとは比較的安心して歩いて行けるので、気分的にも楽だ。
小滝を幾つか越して行くと、最後の遺言棚が出てくる。
今日は、水が流れていない。
滝の前でゆっくり、コンビニおにぎりを食べる。
ここの空間は、広々として気持ちいい、そして、懐かしい心持ちだ。
遺言棚を右側から巻いて登り、東沢乗越しへの道に上がる。
乗越しの看板も懐かしいな。
ざれた道を下り、トクトクと溢れ出る湧き水を美味しくいただいた。
ここの水は、あっさりしていて、ヒジョウに美味しい。
たんたんと東沢を下り、中の沢経路に上がる。
この辺の道や、テープマークもかなり変わってきた。
小川谷の遡行から上がる道は、大きく二つのルートが出来ていた。
道が大きく崩壊していたのも変わった。
この道もだんだん歩きにくくなってきているようだ。
今日歩いてみて、気がついたこと、やはり、もう、きつい沢は無理だな、同角やザンザ洞への入渓は今後やめようと思う。
疲れた足をひきずりながら、車が駐車してあるゲート前まで歩く。
車――――遺言棚―――――車
7:10 13:30 16:10
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