丹沢・裸山沢


11月3日(土)曇り後雨、裸山沢。
きのうの天気予報は曇り午後から雨。 日曜日は晴れとの予報なので、明日は行かないと家族に言ってあった。
しかし、朝眼がさめて外に出てみると、星が出ている。 もう一度、朝5時前の天気予報をテレビで見ると、変わらない予報で午後から雨。 迷う、”雨が予報より早くきたら”、明日は雨上がりの晴れだ。 しかし、外の空はあいかわらず薄曇り。 よし、行こう、午前中だけ持てばいい。
日の出の時間、青空がまだ残っている、なんとかよさそうだ。 水無川堰堤の水量は通常よりややある。 ここのところ、毎週適当な量の雨があり、今年の秋は水が豊富だ。 日にちがゆるせば、雨上がりの日曜日が一番いいのだが、疲れが残ったままの仕事はつらい。
いつものように玄倉林道ゲート前に駐車。 あい前後して、数台の車が入ってくる。
今日は11月3日、晴れていればかなりの人出が予想されるが、紅葉見物の人は明日に延期するだろう。 空を見上げると高曇り、まだ雨の心配はない。”あと2時間持ってくれ”と思いながら 歩き始める。
川の周囲の紅葉は始まっているが、ベストは来週だろう。 40分ほどで青崩ずい道手前から玄倉川へ降りる。 玄倉川の流れは以外と少ない、上のダムで止めているのか?。
くるぶしくらいの渡渉だ。途中大きな崖崩れの個所があり、本流を三分のニくらい埋めていた。 少し深みには山女の姿もちらほら見える。
モチコシ沢出会いを過ぎ、向山沢の滝とその先の赤い滝をまず見に行った。 向山沢に大滝があると聞いていたが、いままでどこにあるかわからなかった。
中川川沿いに、向沢があり、そこにあると思って行ったが、何も無い。 地図をみても、他に”向”がつく沢名は、何処にも見当たらない。 いったい何処にあるのか、それとも実際にあるのか疑問だった。 それが山渓の11月号の記事にあるのがふと目に入った。
こんなところにあるのか、水の流れのないような場所に、これだから丹沢は広い。 よし裸山沢のついでに見に行こう、というわけで、大滝下に着いた。
水の流れは少ないが巨大なスラブの大滝が目の前にある。一番上からは水が空中を飛んでいるのが かすかに見える、あとはふた筋に分かれ、全体がねめったような滝だ。 大雨のあとはさぞやすばらしいだろう(玄倉川が遡行できるかが問題)。
その先の赤い滝も水量が少なく、簾のように落ちている。 この付近は玄倉独特の白い巨岩が多く、滝と、始まった紅葉ですばらしい景色だ。 林道を歩いているだけでは味わえない景観がここにはある。
大滝をあとにしてモチコシ沢に入る。 モチコシ沢の大滝は相変わらず堂々と落ちている。 上にいくには、どうしても手前の深みを渡らなければならない。 前来たときは太腿くらいだったが、今日はもう少しありそう。 壁際をおそるおそる伝いながら水に入ると、金玉まで濡れてしまった。
さて、前来たときは確か右側を這い上がったと思ったが?。 登るルートを探すと以外と手がかりがない、一本の古いザイルが垂れているが。 前回はどうやって登ったのか覚えていない。ひょっとしてあのザイルを補助に登ったのか?。 たしか登り終わったとき非常に怖かったのは覚えている。 ザイルはよく見ると伸びるし、途中外が切れて中が見えているところがある。これはもう使えない、危険だ。
しばらく眼で追ったが、ここからはあきらめ、出会いに戻る。また腰下まで水に浸かってしまった。
本流から右尾根に上れるルートは無いかとじっと目をこらすが、かなり急で難しい。 それでも一箇所、立ち木伝いにぎりぎり登れそうなところがあり、そこに取り付いた。 かなり垂直に近く、立ち木を追うのに腕力がいる。
100Mくらい登ったろうか、やっと安心して休める傾斜になった。 のどはカラカラ、久しぶりに力を使って一所懸命ひたすら登った。今までの玄倉で一番厳しい。 尾根に上がるとゆるやかになり、巻き気味に沢身に下りる。 すぐ二俣で右が裸山沢。
少し行くと前見たことのあるF1に出る。 この滝は段々になっていて登れそうだが、全身シャワークライムになりそう。 今の季節ではちょっと登れない、右から巻くことにした。 水を含んだ砂がすべり、巻きにくいが少し大きめに巻いてまた沢に降りる。
続いてF2・45度5Mくらいの斜瀑。ここは右脇を登る。 続いて2Mの滝があり、その上は滝の広場になっている。 滝が四方から落ちていて、あきないところ。右側に20M、50Mの滝。 正面は本流で段々に狭いところを落ちている。 左側は簾のようにしたたり落ちている。
本流は30CM幅くらいの樋状の流れが続き、これ以上の水流があれば行けないくらいだ。 本流を半分登ると腐ったにおいがしてきた。 前を見ると一頭の雌鹿の死体が沢にあった。 おそらく夏頃に落ちて死んだのだろう。 これだから、本流の水は飲めない、安心して飲むのはやはり脇水だ。 あまり見ないようにして通り過ぎ、次の滝に取り付く。
この辺は周りが壁のようになっていて、下のほうにに立ち木がない。 もう一つ登ると、正面に見える15Mくらいの綺麗な滝まで行けるのだが、この5M二段の滝を 最後の一歩足が出ない。 逆層になっていて最後のてがかりがなく、黒くねめっていて滑りそう。 無理して上に上がっても周りが壁でへたをすると行き詰まってしまう。 しばらくトライしたが、ここはあきらめることにした。
今まで登ってきて始めてだ、目的の滝下に立てないなんて、非常に残念。 さて戻ろうとして下を見ると以外と急だ。滑るのが怖く下へも降りられなくなった。 ちょっと見たところ尾根にも上がれそうにない。 なんとか降りるてだてはと思い、狭い樋状の口に大きめの石をかうように置き、真中にロープを 渡し、下りようとしたがいまいち不安。 降りられたとしても水に濡れたロープが回収できるかどうか?。 ロープがないと出会いの急な斜面が下りられないだろう。 こまった、少し岩の上に横にになって休みながら、落ち着いて考える。
一番楽なのは尾根に上がることだ。ルートはないか。 急な壁に倒木が重なっているところがある。その少し上からは木がありそこまで行けば なんとかなりそうだ。 ”よし、登ろう”。 決めたら下を見ずに、倒木を頼りにして少しずつ滑らないように登る。 最初の木に手が届いた、足場を確認しながら登る。 やっと傾斜が緩やかになり、尾根上にでた。のどがカラカラ。 あとは慎重に尾根を選びながら下る。
少し下った尾根上に、今まで見たことの無い、直径2Mくらいの杉の巨木があった。 尾根にあがらなかったら見られなかった巨木だ。
あとは鹿糞の獣道を頼りに降りて行き、そろそろ沢へ降りるところを探さなくては。 少し急だが、なんとか沢床近くまで立ち木がありそうなところへ来たので降りていくと、 左側に滝が見える。あれ、ここは、登るとき見た滝の広場のようだ。 あそこに降りられそうなところがあったか、不安になった。 それでも右の滝と滝の間の小尾根をなんとか降りられた。 下から見たらそこしか降りるところがなかった。
少し小雨が降ってきた、天気予報はピッタリあたり、 こりゃ飯など食べないで早く本流に戻らないと。 最後の難関の下りがある、木も少し濡れてきた。
尾根から本流への下りは、ロープを頼りにごぼう降りの連続、下に降りたとき、腕はパンパン。 神経と力を使い疲れたが、おりればもう安心、雨のあたらない大石の下でやっとおにぎりをほうばった。
食べていると段々本降りになってきたので早めに食べ、ゆっくりと滑らないように玄倉川を下る。 靴は履き替えるのが面倒なので、そのまま渓流シューズで林道へ上がり、そのまま下った。 だんだん雨が強くなってきたので急いで下る。

 車―――モチコシ沢出会――裸山沢出会――滝の広場――モチコシ沢出会―――車

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