裏妙義・女坂


巷間、噂になっている星穴岳がむしょうに見たくなって、正月田舎に帰るついでに一つ見にいってみるか ときめ、田舎に帰る。
星穴岳は、30年以上前に姿を見たことがあり、穴が二つあいた岩峰をみて、なんと変わった 形の山なんだろう、と強烈な印象のある山だ。
最近、ホームページ上の記事を目にし、昔登山道があったが、今は道が失われて行くことが出来ないらしい。 昭和43年の妙義登山地図を引っ張り出して見て見ると、立派な登山道の赤線が書いてある。 ただ、当時も危険なルートにはかわりはなかったらしい。
高校生の時、ハイキング仲間が、星穴の姿、形がすばらしいといっていたのを思い出す。 こういう気持ちになると、行って見なければすまない。 幸、妙義山は田舎に帰ると地元のためすぐにいける。
1月4日は、偵察に、国民宿舎裏妙義手前に車を止め、星穴橋まで林道を歩く。 あらためて裏妙義の岩峰のすばらしさがみょうになつかしい。 中木ダムサイトからみる星穴岳は、両目がしっかりと見える。 明日の天気を考えながら、女房の実家に戻る。
夜の天気予報を見ると、強い冬型になるらしい、あまり強くなるとこの付近でも風花 が舞ったりするので気になる。
朝6時ころ眼がさめると、なにやら音がする、外に出てみると、雨だ。 妙義を見ると、半分から上は霧か雪でもやっている。 これはちょっとやばいかな、でも冬型だから、1,2時間で晴れてくるだろう、と期待しながら 待っているが、一向に晴れる気配がない。
東からは上がってくる太陽が見え、上空は厚い雲で雨。山上部は、どうやら完璧に雪になってきた。 しかたない、もう少しようすをみるか、待ったがあきらめきれない。 午後になれば晴れるだろうし、雪もそう積もらないだろうと決め、出かける。

少し走り、妙義山中に入ると、すぐに雨から雪に変わってきた。 まあ、水っぽい雪だから、道路にはそう積もらんだろう、と雪はあまり気にもせず、 国民宿舎裏妙義の先まで入り、少し道が白くなってきたので、三方境入り口のところに車を止める。 ここまで車で20分だ。
まだ雪はかなり降っているが、昨日まで上のほうでも雪は全然なかったため、積もっても今朝 の新雪が少しだし、しめっているためすべらないだろう、と勝手に考え、トレッキングシュウズ で歩きだす。 雪のやむタイミングと、積もり具合で行けるところまで行ってみよう。
女坂への案内はない、入り口は星穴岳登山禁止の案内板。 星穴沢に降り、適当に右に上がると、登山道らしき道にでる。 しばらく行くと、10センチくらいのビニール管に左、女坂と書いてある。 真っ直ぐは登山禁止の星穴新道らしい。
今日は、女坂から星穴岳を眺めにきたので、左の沢を渡る。 これから先は、雪がうっすら積もってきているため、踏み跡がはっきりしない。 かすかなテープのしるしや、ケルンをたよりに登って行く。
途中、沢が広くなり、枝沢がいくつもあってわかりにくいところで少し迷ったが、 沢沿いの小尾根に踏み跡を見つけた。
沢を離れていくと、明確な踏み跡の登山道になり、急な登りが始まる。 右側を見上げると、ピークがいくつも有る特有な形をした星穴岳が、すぐそこに見られるようになった。
穴が二つ見え、左はおむすび型、右の星穴は釣り鐘型に見え、星穴はかなり大きい。 しばらくは、木の間越しに見る星穴岳を見ながら登ると、大きな岩の下を通る。 頭上の落石を気にしながら登ると、見晴らしのいいやせ尾根になる。
この付近になると、表尾根の相馬ヶ岳や金銅山が見え出した、縦走路は近い。 雪も積雪3センチくらい、ほぼやんできた。 薄日も時々見えるようになる。もう天候は回復してくるだろう。 すぐに、表尾根縦走路に飛び出る。 ここまでほとんど危険なところはない。

こんなに簡単に危険な縦走路にでるなんて、怖くなったら逃げるのは女坂だ。 金銅山方面に立て看板があり、鷹戻し危険、上級者以外登山禁止と書いてある。 昔、表妙義縦走をやったことがあるが、そのころは身体も軽く、怖いもの知らずだった。 奥の院の垂直30Mの鎖、鷹戻しの鉄はしごと連続する鎖の50Mも、意外と簡単だった記憶がする。
しかし、今は違う、金銅山方面に少し行き鷹戻しを眺めると、とても行く気がしない。 垂直の壁のように見え、まして冬、雪もあり下は少し凍っている。 眺めるだけにして戻る。 浅間山も下のほうが見えるようになってきた。 風もあり、寒いので早めに女坂に戻る。
もう大分太陽が顔を出し、周りに青空がみえるようになった。もう、急速に晴れるだろう。 尾根を下りだすと、星穴岳の後ろに太陽が回り、穴が光って見える。 鬼が両眼を見開いているようだ。 下りは、登ってきた足跡があるので迷うことなく上り口についた。 もうほとんど雲の無い快晴、ぽかぽかと暖かい。道路も雪が解けている。 周りの景色を楽しみながら車に戻った。
1月12日、もう一度女坂を行く。 今日は先週の雪も消えポカパカ陽気、星穴岳のアップと獅子岩から浅間山を追加でのせた。

 車――――――星穴橋――――表尾根縦走路分岐――――――車(約4時間)

 10:00 10:10  11:40(12:00)  14:00


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