丹沢・伊勢沢


6月6日(木)薄曇り。
今日は一日雨の心配はないとの予報なので、伊勢沢を詰め、枝沢の滝を確認をして行こうと思う。
フェルトの底が半分以上減り、新しい靴を買わなくちゃと思いつつ、我慢して使っている。
もう、長い沢歩きは、しないしなあ、などとも、思う。
愛着のある靴下は穴だらけ、変えたいなあ。
これと同等の靴下を探したが、もう販売されていない。
両足の親指の爪は、半分死んだまま、なかなか、元に戻らないしなあ。
いい靴がほしいな、だけど、もう必要ないかな、あまり悩みはしないが、だらだら履いてきた。
下山用の運動靴を詰めるとそれだけで、ザックが重く感じてしまう。
よし、この沢足袋と靴下は今回で最後、長い遡行はもうしないと決め、出かけた。
神ノ川のトイレ横に車を止める。
平日だから、誰もいない、と思っていたら、おばちゃんグループが先に出発していった。
支度をしていたら、もう一台来た。これから蛭へのボッカだという、ご苦労さんです。
7時半出発、林道をゆっくり歩いていると、後ろから工事の車に抜かれた。

地図は用意していたが、しっかりと忘れてしまった。記憶だけが頼りだ。
伊勢沢が見えるようになってきた。さてー、出会いへの道は何処だったっけなあ。
ほとんど覚えていない、降りられそうな植林の中に踏み跡があったので適当に降りた。
なんとなく釣り師が使用しているような道だ。
神ノ川に降り、さて、出会いは上か下か、たぶん上流だと思って100Mくらい歩くと、出会いに着いた。
少し先の本流には堰堤がある。
以前は直接、出会いが見える位置に降りてきた気がするが、もう少し先だったのだろう。
ここのところ少雨で水量の期待はないが、伊勢沢の水量は豊富だ。
今日は、周りの景色を眺めながら、ゆっくりと歩く。
まずは、二段のF1が現れる、ここはどう巻いたっけ、と思いながら眺める。
とりあえず簡単な下段を登って見る。上段の左側には、トラロープが垂れていた。
右側もシャワーで登ればいけそうだ。

安全な左を選択、トラロープを利用するが、身体が重く、体重をかけると、なかなか上がらない。
左手はロープを巻き、右手でコブをつかみながら、重たい身体を引き上げた。
結構疲れる、滝の上で一休み、前はどうしたっけなあ、と思いつつ、よく見ると、左岸にしっかりと巻き道があった。
伊勢沢の両岸は岩壁が続く、丹沢にしては珍しい景色だ、沢をしっかり辿っている、という気がする。
次はF2・15Mの滝。この滝は10M、12M、15Mと諸説あるが、見た目中心は10M。
途中で見た、全体像は15M、滝の高さは難しい。
下から見ていると小さく感じるが、横で見ると大きく感じる。
ここは左に垂れているロープを引っ張り登る。
途中、3ノ沢の滝を眺めては、前は下までいったなあ、と思いつつ本流を進む。
やがて、F3の滝が見えてきた。右にある鎖の状態はどうだろうか。
水量があるときは、この滝の登りは辛いが、今日は少なめなので、下段を登って見る。
右側には、トラロープやら、ザイルなど、かなり垂れている。
上部は滑りそうなので、あきらめ、鎖の巻き道へ逃げる。
F3の落ち口へ降りるところが少し問題。
以前は鎖にぶら下がり降りたような記憶があるが、その鎖は手前に垂れている。
水が多い時は水流を渡るので怖いところだ。
一番安全と思われる方法は、最後の鎖をつかみ、手前に一旦2Mほど降り、残地ロープを頼りに上部を渡り抜けることだろう。
それで抜けると、そんなに恐怖感はなかった。

F4の伊勢沢大滝が見えてきた。まずは、手前の3M滝を入れて大滝の写真を撮る。
左を少し登って見ると、大きな紅葉の木があった。紅葉時期はいい構図で撮れそうだ。
しばらくは、撮影タイム、丁度太陽が滝の上に来ているが、薄曇りのため、あまり支障はない。
さあ、この先は未知の領域、巻きはどっちだろう。
大滝の巻き道は、手前のルンゼで右からだったと記憶する。
ややきつそうな、手前のガレルンゼに入って見る。少し登ると、正面は立ってきた。
左を見上げると、急斜面だが、なんとなく、踏み跡らしき道がありそうだ。
取り付いて見ると、トラロープが出てきた。少し、ジグザグ登ると、立ち木がある大滝の右尾根に乗る。
尾根に登ったところで一休み、大滝方面を眺めると鎖が見えた。
鎖まで、やや怪しいトラバース道になっている。巻き道は尾根の上にも続いている。
ここは、そろっと、トラバース道を進み、鎖に取り付く。
登るとすぐ下に大滝の落ち口が見えてきた。割合楽に、大滝落ち口へ降り立つことが出来た。
大滝を巻いてしまえば、きついところはないらしい。
落ち口上の3M滝の上から、遠くを眺める。ぽっかりと開いた空間を眺めるのは気持ちがいい。
驚いたのは、この上流に魚影が走ることだ。

策道がかなり残っているので、昔はかなり人が入っていたようだ。滝の上は癒し系の渓層になってくる。
少し辿ると両門の滝になる、登ってみると判るが右が本流の4M滝、左は5ノ沢・3Mの滝。
3M滝は簡単に登れる。5ノ沢に滝が見えるので、下まで行ってみる。
4M滝と6Mの滝が2段になって落ちていた。本流に戻り、少し歩くと連瀑が見えてきた。
F5・10Mとあったような気がするが、ここは二つの滝として分ける。
手前は簾状・5Mの滝、右から簡単に巻ける。
次も釜のある5M滝、ここは、左右どちらでも巻ける。少し遠めに巻いて、沢に戻ることが出来た。
また、少し歩くと、右から滝のある沢が合わさる。出会いには6Mの滝があった。
これからは、ゴーロの沢になり、しばらくして伏流になってしまう。
再び水流が現れると1:1の二俣になった。
左を少し歩いて先を見たが滝らしいものはなし、戻り、右俣を行く。
沢はゴーロの区間でまた伏流になる。ゴーロが終わり、左に曲がり、滝状になってくると、また水が出てくる。
もうこの辺になると水はかなり冷たい、湧き水の水流が続いているようだ。
階段状の滝をどんどん登っていく。あまり滝らしい滝はないが、それでも、途中8M滝として、一つカウントする。
上が開けて見えるようになってきた。くの字の4M滝を登ると、湧き水の水源になった。

ペットボトルを切ったのが置いてあり、どうやら昔あった原小屋の水源に辿り着いたようだ。
上を見ると人が通過するのが見えた。尾根は近い。
水源に付けられた道を50Mほど登ると、もう小屋跡があった原小屋平。上から光る水源が良く見える。
こんな尾根直下から湧いているのは不思議な思いがする。
遅くとも2時がリミットだなあ、とあせっていたが、なんとか1時半には尾根に出ることが出来た。
尾根で靴を履き替え、休憩していたが、会う人はなし。
さあー、姫次までゆっくり歩こう、と少し歩いたら、左太ももに痙攣が走った。
いつ来るかと思っていたが、やはり来たか、しばらくさすりながら、収まるのを待つ。
歩幅を縮め、姫次まで、ゆっくり歩いた。富士山はどうか、薄く見えている。誰もいない。。
しばらく、足の休憩も含み、撮影タイムとした。
2時半出発、これからは急な下りが続くため、膝をいためないように、気をつけて歩き、休憩を多めに入れながら下山する。
3時過ぎ、登ってくるおばちゃん二人に出会う。
この時間、どこまで行くのか聞いてみると、姫次まで登って青の原まで下るとのこと。
この時間帯で登ってくるのも不思議だが、日没前の暗くなるのを考えているのか。
てっきり、蛭ヶ岳山荘泊まりかと思った(それでも遅い)のだが、簡単に下れるというのは問題があるね。少し、言葉をかわし、わかれる。
やはりこの長い下りは膝にきた、適当な枯れ枝を杖にし、我慢しながら降りる。
4時半を目標にしていたが、なかなか先が見えない。
やっと橋が見えてきた、最後の階段は一歩一歩引き上げるようにして登った。
5時林道到着、孫右衛門の湧き水を飲みにいく、旨い、生き返るようだ。
林道で親の下山を心配した息子さんに会った。
「72歳の親が1時すぎ蛭から降りると連絡が会ったがまだ降りてこない、途中で会いませんでしたか」、
と聞かれたが「その時間だと自分の後ろ、おそらく、あと1時間はかかるでしょう」、
「そんなにかかるんですか」といいつつ、登山道入り口で待つ、といっていた。
最近の登山はどうなっているんだろうか、原則早立し余裕を持って下山するのが、当たり前、と思うのだが。
姫次までは、標高差900M、丹沢屈指の急な登山道だ、人によって相当時間は違ってくる。
自分としても、あまり使いたくない登山道、しかし、北丹沢トレイルランのコースになっている。
ここを走るのか歩くのかは定かではないが、参加する人の気が知れないなあ。
平地歩きになると楽だ。なんとか、伊勢沢を詰めあげることが出来たのはうれしい。

車――伊勢沢出会――原小屋平――車

7:30  8:00   13:30  17:15

 

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