丹沢・雷沢右俣


8月9日(土)くもり時々晴れ後にわか雨。
今日の目標は2つ、雷沢の右俣と、土沢の枝沢。ゆっくり家を出て、浅瀬に着いたときは9時を過ぎていた。
あまりぱっとしない浅瀬の世附川には、夏休みで来ただろう子供達が、水に浸かり歓声を上げていた。
ここのところ目立った雨もないので、水は澄み、通常水位で透明感がある流れがとても綺麗だ。
橋上から大叉沢を見ると、山女が悠々と泳いでいる。
気温は高く、林道を歩いていると汗がしたたり落ちてくる。
途中、ミヤマカラスアゲハの吸水が沢山見られ、写真を撮って行く。
長い林道歩きはとても疲れる、やっと土沢取水口への降り口に着いた。
釣り橋から、世附川を眺めると、ほとんど流れはない。
山女が悠々と泳いでいるので、帰りに手で追いかけて水遊びでもしていこうかな、と思いながら歩く。

ここの水量が少ないのは、上で取水しているので当然わかるのだが、同様に取水されていると思われる土沢が、ゴウゴウ と音を立てて流れている。
この疑問は、あとになって解ける。
まずは、土沢出会い近くに合流している、枝沢を探しながら、道を歩く。
出会いから100M位のところで、対岸に流入する枝沢を見つけた。
そんなに水量は多くないが、少し滝があるかどうか、探ってみる。
100M位登ると、沢が左に曲がり何か有りそうな予感がしてきた。
はたして、有りました、滝が。 2段・8Mの滝で、割合いい感じでした。
これ以上、あまり水量が期待出来ないので、ここで引き返し、滝があったので気分良好。
さて、巡視道に戻り、取水口まで歩く。
取水口を見ると、下部は泥で完全に塞がれ、水の流路が絶たれていた。
水門が開かれ、すべての水は、下流へ流されている。
去年の台風あたりで塞がれたのだろう、重機がないととてもどけることが出来ない量だ。
ここに、ひもでパンツまでが干してあり、泊まりこみの釣り人だろうか。
これから先は、水量の多い土沢の遡行になる。
気持ちよく水に浸かりながら、雷沢出会いまで歩いて行ける。
20分ほどで、本流に小滝がある雷沢出会に着く。水量はまあまああり、楽しみだ。
F1は水を浴びたかったので、直登する。
しばらく歩き、少し滑の箇所を辿ると、滝場の三又に到着だ。

右又の滝は綺麗な簾状で落ちている、この上部に滝が連なるゴルジュが有るというが、 下から見ていると、とてもそんな雰囲気には見えない。
上空が大分雲って来た、時折遠くで雷の音がしている、先を急ごう。
左から小さく巻いて、右又のF1上に出る。すると、正面先にF2の滝が見えてくる。
F2から上は、かなり立っていて、滝が続いているようだ。
本流と右又間の尾根を巻いての上りは、ロープを出すと、F2の下に簡単に降り立つことが出来る。
F2は6Mの直瀑で、その上にも滝は見える。さて、どうやって、このゴルジュ突入が可能になるか。
大きく巻くと、このゴルジュ上に出そう。しかし、それでは面白くない。
良く見ると、落ち口右に、利用できそうな、アジサイの小木が2,3本ある。
ためしに、一番下の木に投げ縄方式でロープを掛け、体重をかけてみる。なんとか、大丈夫そうだ。
木を足場にして、なんとか落ち口に立つことが出来た。
空はさらに暗くなり、雷も近くになって来ている。
次の3M滝は、水を浴びながら登りきる。
このゴルジュは、丹沢には珍しく狭いゴルジュで、電光形になって滝が続いている。
次の滝は8Mの滝、注意すれば登れそうだが、空は風雲急を告げているので、とてもその気にはならない。
さらに、上の直瀑が見えている。
三脚を立てる場所もなく、夕方のような暗さに撮影をあせる。
雷の音が頭上にきた、早く脱出しないと、雨になる。
時間もなく手持ちで写真を撮り、ゴルジュ内の逃げを図る。雨がポツポツ来た、早く降りなければ。
F2の下に降りたときには、すでにザアザア降り。
雷がすぐ近くで、ピカドン、ピカドンやっているので、とても怖く、傘をさすことも出来ない。
木の下でしばらく雨宿り、雷が少し遠ざかった所で傘を出し、じっと、土砂降りの中を耐える。
30分ほど立つと、ようやく小降りになってきた。空はまだ暗く、雷も遠くでまだ鳴っている。
時間も遅くなってきたので、これ以上の探索はやめ、小雨の中を下山にかかることにした。
雷沢の水量は増えているが、濁った感じはない。
土沢に出たところで、驚いた、真っ茶々ではないか。水量は2倍になり、ゴウゴウと音を立てて流れている。
水際は足場と深さを確認しながら、慎重に下る。渡渉点は、流れと深さを確認しながら歩いた。
雨がなかなかやまないので、林道途中まで傘をさしながら、ゆっくり下る。
浅瀬にいた子供達の姿はすでに消え、いつも通りの誰もいない静かな風景に戻っていた。
雷沢で雷に会うとは、しゃれにもならねぇ、遅く出たのは、失敗でした。

車――右又ゴルジュ―――車

9:10  12:50   16:50

 

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