上越・米子沢


9月27日(土)〜9月28日(日)にかけて、先週、天候の関係で行けなかった米子沢に行く。
沢ノボラーでない私にとって、上越で行けそうな沢は、米子沢くらいしかない。 もう、遠くへの沢遠征はこれが最後かもしれない。
そのくらい他の地域は、丹沢や奥多摩と違って難しい気がするし、基本的に日帰り、低予算の精神に反するからだ。 身体も、なかなかついて行けなくなってきたのもある。
今週の天気予報はまあまあ良かったので、”米子沢に行こう”と相棒のKに電話したら、すぐにOK。 当たらない天気予報はあまりあてにしないで行こう、それでも雨は降らないだろうと決め、週末に出かける。
土曜日、荻窪駅で午前9時に待ち合わせ、ゆっくり行くことにした。 環八が込んでいて、大幅に遅れる、荻窪駅に着いたのは10時ちょっと前。 携帯で連絡しながら駅に行く。
荻窪に車で来たのも初めてなので、駅前南口に入る道もわからない。
人に聞きながらやっと到着。
相棒を拾い、環八に出る。 それでも、時間はたっぷりあるので、あせりはない。 関越に入り、渋川まで高速で行く。
天気は快晴、”今日だったら申し分ないだろうな”、と話しながら走る。 時間があるので、渋川から国道17線に降り、高速代を少しけちる。
三国トンネルを越えると、べた曇りの天気になった。 越後湯沢のスーパーに寄り、食料と酒を買う。
買い物をして、外に出ると、激しい雨が降っていた、にわか雨のようだ。 明日も降らなければいいけどな、と思いつつ、塩沢から清水地区への道に入る。
雨もやみ、舗装された林道を少し走ると、桜坂駐車場に着いた。 有料駐車場とあり、係員がいる。 一日500円、半日300円と書いてある。
一泊二日だと、二日分の1000円とられるかも知れない、そうしたらここはやめて少し下に止めようか、などと話し、まずは聞いて見ることにした。
交渉の結果、500円でいい、ということになり、目出度く駐車場に入ることが出来た。 地元の森林組合の人なので、気軽に応じてくれたのだろう。
橋を渡り、奥の駐車場に行くと、ほぼ満車状態だ。 ここには30台くらいは止まれるスペースがある。
夕方までに出て行く車もあり、半分くらいになる。 水洗トイレもあり、500円は維持管理料ということで妥当だろう。
時間もあるので、散歩をしながら、周りの景色や、人の動きを見る。 橋の下の流れは、米子沢なので、どこを登って行くのか、横の林道はどれなのか、歩いてみる。
料金所の横の林道が、堰堤の上の沢へ行く道らしい。 朝、人がいたら入りにくいな、注意されるかもしれない。
料金所の横には大きく”米子沢の遡行は禁止”と書いてあるのでなおさらだ。
係員を見ていると、出入りごとに、料金徴収のチェックをしていた。 これで大体わかった。 おそらく、係員がいるのは、8時から5時くらいまでだ、夜中に来た車は、出て行くときにとられるしくみになっている。
駐車場内や道路脇にテントを張っている人もおり、ぜんぜん問題ないらしい、実にうるさくない。 4時過ぎ、まだ明るいが、さっそく酒を飲み始める。
酒を飲むと、車でも簡単に寝られるからいい、というのはこじつけ、ただ好きなだけ。 暗くなる間でも、何組か降りてくる、大分暗くなってから、全員ヘッドランプをつけて降りてきたグループがあった。 夜行訓練か、と思うほど、そろっていた。 アルコールのおかげですぐに、眠りについた。
夜中に目がさめ、外を覗いてみると、満天の星空。 これで今日もいい天気になるなあ、と思いながら、また一眠りにつく。
3時すぎ目が覚め、NHKのラジオ深夜便を聞きながらすごした。 最近、深夜便を聞くことが多いが、いつ聞いていても、懐かしい音楽が流れ、いい番組だ。
夜明け近くになると、雲が少しずつ出てきた。 朝到着の車が何台か入ってくる。
ナンバーを見ると遠くの車が多い。 民宿の車で送ってもらったパーティーもあった。
ヘルメットをかぶって、明らかに米子沢に入るというパーティーが二組ほど、先発で出た。 我々は、ヘルメットなしでかっこ悪いので、遅れて6時半出発。
まだ係員はいないので、安心して左岸の舗装された林道を登る。 天気はべた曇りになってきた。 ここで忘れ物に気がつく。 肝心のビールを忘れた、かえすがえす残念なり。
林道が右の沢方向へそれるところで、林道と分かれ、米子沢に入る。 すぐに、真中が空いている堰堤を越える。
しばらくは、伏流が続くゴーロ歩き。 沢が狭まり、滑が始まるところのテーブルストーンで靴を履き替える。 すぐに、最初の滑滝が出てくる。

ここで先発の4人パーティーに追いついた。 先発隊はザイルを出し、慎重に左側を登っている。
しばらく眺めていて、登り終わったところで、我々は右側を越える。 ナメ沢の下を通り、滑を登ると、四段30Mの滝が現れる。
ここは、左の潅木の中に巻き道があるので、それを利用し、滝の上に降りる。 次の滝で、また先発隊がザイルを出し、慎重に登っていた。 どうやら、初心者か高齢の人がいるようだ。
簾状の15Mの滝が見えてきた。 先発隊がザイルで登り終わったところで、我々は登り、ここで挨拶をして追いぬく。
今までは、割合楽に登れた。 核心部のところで左岸のまき道に入ってしまい、どんどん登ってしまった。 少し登ったところで”ここは巻くと沢に戻れないところだ”、と気がついた。
Kは残置ハーケンを利用すれば、降りられると言ってさっさと下に降りてしまった。 私は怖いのであきらめ、少し戻り、木に残置があるところから降りようとしたが、ロープが届かない。
下のKに声をかけ、ロープにザイルを足し、沢に降りる。
雨が降り出してきたので、上だけカッパを着る。 先ほどの先発隊にまた会い、前後しながら登る。
5Mの直瀑のところで、彼らは巻きに入ったので、Kが突っ張りで登りきる。 私はザイルで確保してもらい、ごぼうで登る。 これから先は先発隊に会うことはなかった。
核心部にある滝は濡れていてかなり緊張感を伴う。 一つ一つ滝の前で、右か左、どちらを登れるのか、滝の前で登るルートを考える必要があり、かなり面白い。
最後の大滝(2条が1条になっていた)は右側から簡単に登れた。 慎重に登るコースを選んで行けば、ノーザイルで抜けられるところだ。
大滑が始まり、最初の出足は20Mくらいの滑滝。
ここを登ると、いよいよ300M続く滑が出てくる。
少し傾斜がきつく、歩く場所を選んで登る必要があるが、慎重に登って行けば楽しいところ。 登るにしたがって、傾斜も緩くなる。 大滑が終わると、幾つか、小滝がでてくるが、もう安心して越えられる滝ばかりだ。
やがて左岸に3Mの小滝がかかるところに出る。 赤い沢床に落ちている、滝の姿がかわいくて、とてもいい感じ。 少し登ると、明るく開けた二俣になる。
右俣には”登山禁止”、と書いてある白杭が打たれていた。 もう、春の小川のような緩やかな左俣を、ルンルン気分で辿っていく。
この辺から、両サイドには赤い大きな野イチゴが沢山あり、ほう張りながら、小川を歩く。 禁断の木の実を食べた”アダムとイブ”のような気持ちであり、天国のような沢歩きだ。
雨も上がり、少しガスもとれてきて、なだらかな山容の景色が広がる。 沢から左に上がるところがあったが、良くわからないので、そのまま水の流れる沢を詰める。
やがて、水もほとんどなくなってきた沢を左に登って行くと、沢がなくなり、草原となった。 遠くに人の声が聞こえてきた。 登山道は近い。
草原を少し登ると、池糖が2、3ある木道に飛び出した。 登山道だ、完登の握手。
なんと心地よい詰めなんだろうか。 これで晴れていれば最高なんだが。
避難小屋に出る予定だったが、少し上の方に出たらしい。 どうも、手前で左に上がる道が、避難小屋へ出る道だったらしい。
天気もあまり良くないので、避難小屋目指して下る。 10分ほどで小屋に着いた。 外は寒いので、中に入り、昼食とする。
二人の先客がおり、食事をしているところだった。 ビールがないのが寂しいが、しょうがない、飯と着替えをし、休憩する。
次のパーティーがまた入ってきたので、長居せず、下山にかかる。 外は寒くはないが、遠くはガスがかかり見えない。
たんたんと、ぬかるんだ登山道を下る。 少し下るごとに”何合目”という杭が打たれていた。
六合目を過ぎ、五合目近くになったら、沢での先発隊が下っているところに追いついた。 彼らは、きっちりと避難小屋に出たのであろう。
五合目は展望台になっている。 丁度、ガスも上がってきて、登った米子沢が良く俯瞰できる。 沢を登った人には感動がひとしおだ。 丁度、最初の滑滝から続く連瀑帯が筋のように見える、すばらしいところ。
ここから駐車場までは、30分くらいで着いてしまった。 途中、思いがけない雨が降ってきたが、それでも予定通り完登できたので、めでたしめでたし。 下山した時間もいい時間なので、湯沢の立ち寄り湯にも入って行けそうだ。
車で走り出したら、またにわか雨、どうも日本海の天気はきまぐれだ。 越後湯沢の”駒子の湯”に寄る。
駐車場で車から降りたところ、地元の女性が近寄ってきて、期限切れ近くの回数券があるのでくれるという。 ただでは悪いので、二枚で500円を渡した。 これでも半額なのでとてもラッキー。 お湯もいい温泉で、軽く汗を流して行くには最高でした。
帰りの関越は日曜日ということもあり、渋滞20KM。 相棒のハプニング(車に携帯、財布を置き忘れた)はあったが、10時ころにはそれぞれの家路に着き、心地よい疲れで眠りについた。
総括的に米子沢を見ると、丹沢や奥多摩よりは上である、真の初心者にはきついだろう。

駐車場―ナメ沢―簾状滝―大滑下――二俣――登山道―避難小屋――駐車場

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