奥多摩の滝・小常木谷


6月30日(月)曇り時々晴れ。
週末は、同期会でいささか飲みすぎたきらいがある。 月曜日は、お疲れ休みにしようと思っていたのだが、天気がよさそうなので、おもわず出かけてしまった。
あまり体調もよくないので、軽いところと考えていたが、天気は持ちそうだし、月曜のため釣り師はいないだろうし、と思いきって小常木谷に来てしまった。 朝から腹の調子が良くないし、あまり緊張感もない。 これで大丈夫なんかいな、と思いながら行く。
余慶橋に着いたのは7時過ぎ、ちょっと出るのが遅かった。 やはり、止まっている車はなく、誰もいないらしい。
巻き道に入り、小常木谷に降りる道を少し覗いてみる。 小さな祠があり、降りられそうだ。 階段状になり、ロープが張ってある。
比較的楽に、小常木谷出会いに出ることができた。
ここで靴を履き替えていると、籠を背負った地元の人が、長靴姿でひょいひょいと通り過ぎていく。 なるほど、地元の人がかなり利用してるんだ、たぶん、きのこ採りだろう。
両岸が迫るゴルジュの中を、ちょっと濡れる程度で、簡単に火打石谷との分岐に出る、出会いから200Mほどだ。 巻き道の登り下りを考えると、これは楽でいい。
少し、大常木林道を登り、谷から離れるところから入渓。 水量は多くも、少なくもなく丁度よさそうだ。
最初に腰まで入る、深い淵がある。 これでやっと目が覚め、気合も除除に入る。
花ノ木沢が入るところまで、4Mくらいの滝が3個ほど出てくるが、比較的楽に巻け、たんたんと進んで行く。 分岐を過ぎ、少し行くと谷は右に曲がり、大きな滝が垂直に谷を塞いでいる。 兆子の滝だ、深い釜に10Mの滝を落としている。
遡行図では左の滝横を登るとあったが、とてもとても、我々しろうとには登れそうもない。 両岸は切り立った崖で、どこを登っていけばいいんだ。
なんとか巻き道を探そうと、少しずつ戻りながら上の方を眺めると、あるある赤テープが。 しかし、かなり厳しそうだ。
垂直に近いところを、立ち木を利用し、なんとか登ると、少し平坦になる。 下を見てみると、兆子の滝の落ち口が見え、その上の滝も見える。
谷への戻りは、トラロープがあり、くの字の滝の上に出る。 上から眺めると、くの字の滝が滑り台のように落ちて、最下部はひょんぐっている。
兆子の滝の上に降りても、次のくの字の滝はとても登れそうもない、二つの巻きが正解だろう。

ここがいわゆる、置草履ノ悪場の始まりだ。
次に出てくるのはF3・不動ノ滝12Mだ。 この滝も、直瀑ですばらしい。
ここも、右の小沢の途中から、少しきわどく登ると、丁度頭上にトラロープが出てくる、ちょっといやらしい巻きだ。 巻きながら眺める滝の姿もいい、落差は15Mくらいあるかんじだ。 すぐ上にある5Mの滝も一緒に巻く。
少し戻りぎみに、5M滝を見てみると、下からあがるトラロープがあり、大木が谷に落ちこんでいた。 滝横はやっと歩けるほどの草つきで少し怖い。
次は登れそうな滑滝が出てくる。 思いきっていけそうだが、落ちると深い釜。
今一歩が出ず、横を見るとトラロープがあるので、それを使って登る。 ここはかなりトラロープが垂れているが、それでも簡単な登りではない、かなりの緊張感が必要だ。
次に出てくるのは、2段・18Mの大滝だ。 上段は斜めに落ちる末広がりの滝、下段は幅広の滝だ。 この滝も美しい滝だ。
巻き道は、右小尾根にあがり、滝をまるく囲むように、巻いていく。 滝をみながら巻いていくので、滝の構造がよくわかる。
よくできた道である、ここしきゃない。 大滝のすぐ上に降り立つ。
続いて出てくるのは、F5・F6の2段ねじれの滝だ。 見た目連瀑で、一つの視野におさまり、一つのねじれの滝でいいだろう。 ここは右から滝沿いに巻いていく。
上段の巻きで一部、下が落ちているところがあり、少し怖いが、シュリンゲが二本、電車のつり革のようになっていて、通りぬけることができる。 これで置草履ノ悪場はおしまいだ。
滝が連続してあり、またそれぞれの滝がすばらしい、巻きもかなりの緊張感があり、すばらしいところだ。 谷は明るくなり、左から岩岳沢が入る。
すぐ上にはF7・10Mの直瀑がかかっている。 ここで、丁度昼食時間となり、滝の前で大休止。


滝はほぼここでおしまいなので、帰り道はどうしようかなあとしばし考える。 当初の予定では、戻れたら元の登り道を戻る予定だったが。 戻れそうだが、少しあぶなそうだ。
あまり、岩岳沢の記録がないが、エスケープルートとあったのでなんとかなるでしょう。 ”よし、決め、岩岳沢を登り、登山道にでるぞ”、大丈夫かなあ、手元に記録もないし、地図もない。
登山道まで2時間とあるが、まあ、私の足で2時間半くらいかなあと思いながら、滑の続く岩岳沢を登る。 途中、分岐が幾つかあってどっちかわからないが、常に水の多い本流とおぼしき流れを辿る。
登れそうもない滑滝もあったが、ほとんどは水流沿いに登れる。 それでもかなり高度感があり、下を見ながら、よく登れるもんだと、われながら思う。 水もなくなり、どこが沢なのかだんだんわからなくなった。
左の小尾根にあがり、立ち木とブッシュをつかみながら登っていくこと30分。 上になんとなく、道らしいつくりが見えてきた。 出た出た、立派な登山道だ。
これでやっと帰れる、時間を見ると、丁度2時間かかった。
どのへんに出たのか良く分からないが、丁度いいとこに出たらしい。 谷側に道があるところで、少し下ると小山の裾を反対側になるところだった。
ここで、ゆっくりと身体をほぐし、疲れをとる。 刈払いされた立派な登山道を、ゆっくり下る。 谷と比べるとなんと楽なもんだ。
道は分かりにくいところもなく、だらだらと下って行く。 沢音が近づき、下に水流が見えるようになって、朝の見覚えのある、橋のところに出た。
かなり、ひざにきていたが、これで一安心。
靴を履き替えるのがめんどうくさいので、そのまま巻き道に行こうとしたが、あの登りを考えると疲れてしまう。 また、靴を履き替え、出会いまで下ることにした。
沢からあがり、今日の無事を感謝し、祠に手を合わせた。
明日からの仕事に、疲れが残るだろうなと思いつつ、難関の谷の一つを制覇したという、充実感を胸に家路に着いた。

 車――火打石谷出会――兆子の滝――不動の滝――大滝―――ねじれの滝――F7――登山道―火打石谷出会――車

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