奥鬼怒・三沢大滝


8月11日(月)〜12日(火)くもり。
いつかは行って見たいと思っていた三沢大滝、やっと実現した。
日本登山体系の遡行図には、50Mの大滝マークがある。
だんだん行った人も増え、それほどむずかしい遡行ではない。
ガソリンが高いので、あまり遠くは、と考えてしまうし、だんだん気力、体力も衰えてくるし、近県の滝で、どっかないかなあ、と考えた。
そうだ、三沢へ行ってみよう、とすぐに閃く。休みも取れ、天候も安定しているようなので、丁度いい。
カップめんを沢山買い入れ、寝袋を放り込み、いざ出発。
まだ、交通渋滞もなく、比較的楽に日光まで来れた。
イオンで、最終の食料を買出し、旧霧降高原有料道路に入る。
ここが、いつから無料になったのかは知らないが、栗山方面に出るには便利になった。
まずは、霧降の滝へ寄ってみる。無料駐車場に車を止め、展望台まで歩く。
展望台からの眺めは遠望なので、いまいち、2,3枚撮って、滝下までの道を探る。
滝壺までの道は、現在通行禁止らしいが、まあ、滝を目指すわれわれには、あまり意味がない。自己責任で行くしかないだろう。
遊歩道の途中から、明確な、踏み跡があったので、降りてみる。
途中小さな展望台があり、ここまでは、一般観光客も比較的安心して来れそうだ。

ここからは急な下りになり、両手を使わないと危ない、最後は踏み跡も不明確になるが、ガレ場を降りて、滝下に着いた。
眼前に迫る霧降の滝は優雅だ。滑が多いのと滝音がしないので、歩き廻れる。
登りの途中、茸取りだろうか、地元の老人に会った。
”昔は、滝まで降り、滑り台のようにして、良く遊んだものだ”、とおっしゃっていた。
車に戻り、霧降高原道路を走る。出口にある、大笹牧場で一休憩。
名物とやらの、ソフトクリームを食べ、時間調整しながら、旧栗山へ下る。
まずは、冷たいビールを調達しなければならない。
旧道へ行くと、すぐに酒屋があった、時間が早いので、買うのは後にし、先に、三沢出会いまで偵察に行ってみる。
ダムサイトの旧道から、国道に入り、2KMほど走ると開運橋がある。橋を渡り、左折すると、すぐに三沢橋だ。
橋の横に旧道があったので、入って見ると、ちょっとした広場になっていて、今宵の宿にするには最適だ。
しばらく高校野球を聞きながら時間をつぶし、再び、街中の酒屋にいき、ビールを買う。
三沢左岸の広場に戻り、早速、河原の石の上で喉を潤す。
三沢の水は結構冷たいので、ここで冷やしておくと、30分もすれば、十分飲めるだろう。
時間は早いが、明るいうちに、食事をし、そのまま寝込むと、一気に眠りこんだ。
目を覚ますと、まだ0時過ぎ、外は、霧雨のような、わずかな雨が降っていた。
ラジオのオリンピック情報などを聞きながら、うつらうつらする。
坂本九ちゃんの歌がラジオ深夜便から聞こえてきた。
そうか、今日は命日か、あれから23年も過ぎたのか。
23年前、くしくも、日光から実家のある群馬へ家族旅行で帰る途中であった。
ラジオから、日航機が墜落したらしい、それも群馬・長野の県境近くらしいという情報が流れた。
まだ、落ちた場所もはっきりしなかったが、実家の近くである。いまだに、この時期になると思いだす。
”見上げてごらん夜の星を”を聞いていると涙が出てくる。
お星様になった九ちゃんの歌がきいたのだろうか、空を眺めていると、星が見え出した。
聞いた事がなかった”おやじ”という歌も、いい歌だった。

明るくなったところで、朝食のカップめん用のお湯を沸かそうとした。
ところが、ラジュースの調子が悪く、栓が廻らない、どうも壊れたようだ。
しかたがないので、昨日買っておいた、昼食用のおにぎり二個を朝と昼に分けて食べた。
さあ、今日は長丁場なので、早めに入り口までいこう。
地図を見ると、左岸、右岸どちらにも入渓する道はありそうだが、右岸の道へ行ってみる。
鍵のないゲートがある(半分開いていた)、進入禁止とある牧場への舗装された道に入り、カーブの手前にある道へ右折する。
道はすぐに行き止りで、牧場の取水施設があるところだ。
どーもネットで見た林道終点というイメージとは違うようだが、そこに車を止め、道を探ると、踏み跡が三沢方向に伸びて いたので、ここを出発点と決めた。
草に埋もれた道を辿ると、はっきりした道になる。三沢の流れの音を聞きながら歩くと、堰堤の上に降りられた。 その先に丸太二本の橋がある。
上空に二本の取水パイプを見ながら、河原を歩く。
次の渡渉点で靴を履き替え、広い河原を歩いて行く。
さあ、これから4時間以上も歩かなければならないのだ、ゆっくり行こう。
堰堤を5つ、最初は右から、最後は左からと越えていく。
途中、今日歩いているような、踏み跡があるのに気がついた。同じ目的なのか、釣り人か、どちらだろう。
朝が早いので、釣り人かもしれない。途中で会ったらいやだなあと思いながら歩いて行く。
広いゴーロの河原をたんたんと上流めざし歩いていく。
途中、冷たい湧き水は沢山あるので、美味しい水にはことかかない。
左岸の崩壊地を過ぎ、次の大きな崩壊地にさしかかった。前方に釣り人が二人見える。
しばらく、きずかれないよう、静かに様子を眺め、少し見えなくなったところで、一気に崩壊地下を歩き、先回りするようにと、沢にでた。
ところが、さらに上流側にもう二人いた。しかたがないので、ゆっくり近づき、簡単に挨拶し、じゃまをしないよう、静かに追い抜いた。
だんだんゴーロの石も大きくなって歩きにくくなる。左右の林の中には、結構巻き道が続いていた。
枝沢に、山葵がちらちら見え出すと、左岸に山葵が群落する沢が出てきた。
自然じゃこんなの出来ないし、おそらく、ここでの山葵栽培が昔あったのだろう。
ここまで来ても、河原は広いし、一向に滝が見える雰囲気がない。長いゴーロ歩きは、かなり疲れる。
まだか、まだかと思うころ、ようやく前方に壁がありそうな地形に近づいた。
大滝の上部が見えてきた。でかい、高い、圧倒される。
ゴーロ歩きで、高度をかせいだ感じはしないが、時間だけは、しっかりかかった。
滝近くまで寄ると飛沫ですぐに雲ってしまう。
両岸は垂直に立っていて、長くいると、落石が怖くなる。
左50M、右60Mくらいあるだろう。
ここまで、何もなかったので、突然でてくる大滝には、圧倒されるし、感激もひとしおだ。
しばらく、写真を撮る時間を過ごし、大滝に別れを告げる。
さあ、また長いゴーロ歩きの下りが待っているのだ。
なるべく河原歩きを避けようと、左岸を少し登って見たら、古い踏み跡があった。
左右、ふみ跡を探しながら、半分以上林の中を歩く。
ようやく堰堤まで辿りついた。ここまで来ると、先は見えてきたが、かなり足取りは重い。
最後の堰堤を降り、取水パイプが見えてきたときはほっとした。靴は履き替えず、そのまま、右岸の道に入る。
思った以上に、歩きが長く、足のダメージは大きい。
本当は、もう一晩泊まり、深沢の下タケ沢へ行こうと思っていたが、ラジュースが壊れていたのと、足の状態を考えると、 もう明日同様な歩きをするのは無理だ。
今日中に帰宅することに方針変更。
国道4号バイパスで安いガソリンを補給し、帰途に着いた。

車―――――三沢大滝―――――車

5:30  10:10(11:40)  16:10

 

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