峰谷・モクボ谷


11月8日(土)薄曇り。
ああ・・・・デジカメが落ちていく。 カメラはどうなる、写真のデータはどうなる、と、ただただ呆然と転がりながら落ちていくカメラの方向を眺めていた。
あまり期待していない谷だが、今日は峰谷川奥のモクボ谷を訪ねることにした。 紅葉も麓近くまで降りてきたようだ。
峰谷川は、坊主谷や枝谷を遡行したことがあり、本流であるモクボ谷は最後の谷でもある。
思えば去年の冬スタートした奥多摩巡り、そろそろ次の冬も近づき、滝めぐりも最終章になりつつある。 林道の通行止め区間があり、来年に持ち越す所の2、3箇所をのぞきほぼ終了だ。
また、あらたな目標を持つか、体力の衰えもあり、あまり決めていない。

今日は遡行図がないので、2万5千分の1の地形図をネットでコピーし、それと同定しながら歩くつもりだ。 国道から右折し、峰谷川沿いに入る。
この道に入るともう、対向車とはほとんど会わない、静かな道になる。 比較的走りやすい林道を、以前来た、坊主谷出会いまで行く。
この先の林道は未知のこともあり、少し先の広い路肩部分に車を止める。
モクボ谷を下に見ながら、林道を歩いて行く。 10分ほど歩いたところで、下の水音が少し変わってきた。
下を覗いて見ると、なにがしの滝がありそうだ。 ロープを使って降りて見ると、二条の綺麗な滝が落ちていた。
落差は5Mほど。 水量もあり、なかなか見ごたえがある。
少し写真を撮って、再び林道に上がる。
少し行くと林道は二つに分かれる。 沢沿いの道と右に上がって行く道だ。
おそらく、右の道は、この前歩いた坊主谷F1手前で見上げた時に見えた林道だろう。 沢沿いに真っ直ぐ進むと、林道はすぐに終点になる。
地元の車が2台止まっていた、おそらく山葵田の手入れのようだ。 ここまでは、割合整備された林道なんで、車高の低い車でも入ってこれるだろう。
終点付近には、手入れされた立派な山葵田が、本流沿いや、枝沢のあちこちにある。
山葵田の横、左岸に山道が続いている。

しばらくは沢沿いの仕事道を歩き、連続して出てくる石積み堰堤4個をクリアしていく。 最後の堰堤のところで、仕事道は終わるので靴を履き替える。
左の枝沢にはさらに続く堰堤が見られる。 本流は狭く、ゴルジュ状になり、先に滝が見える。
ここからは、くねくね曲がって小滝と滑が交互に出てくる。 ゴーロがなく、割合面白いところで、苦労するところもなく、水流沿いを歩いて行ける。
最初の見栄えがする7M滝が出てきた。 この滝は3段になって落ちており、中段の滝は少し空中を飛んでいる。
前後にも小滝があり、感じがいいところだ。
ここは左を小さく巻いてあがる。
次に出てくるは、2段6Mの滝だ。 この滝は幅広く落ちていて、下段2M、上段4Mの滝だ。
この滝も左から巻いてあがるとゴルジュも終わり、谷も明るくなる。
しばらく明るいゴーロを歩き、地形図と照らし合わせながら、枝沢を確認していく。 やがて、二股らしきところになった。
水量比はほぼ同じだが、心持左が多い。 左は沢床も低く、本流のような感じで山葵田跡が続いて見える。
右は狭く、滝となって落ちており、その先は見えない。 右の方が面白そうで、俄然探検意欲が沸く谷だ。
出発時間が遅かったせいもあり、そろそろ帰る時間を考えないといけない時間になってきていた。

右谷を少し探検してみて、その先なにもなければ、終了することにして、滝場を登って見る。
下段、5Mの滝の上から水流沿いを倒木を利用しながら登っていく。 滑滝を登るとS字になって谷は続く。
その上にも滝が二つ見える。 5M簾状の滝が出てくる。
この滝は右から簡単に登れる。 とりあえず見える次の滝まで行ってみて、その先何もなさそうだったら、戻ることにした。 次の滝は幅広4Mくらいの滝だった。
先がよく見えないので、少し見えそうなところに登ったところ、大きな滝のような頭が先の方に見えた。
これは、”ひょっとすると大滝かぁ!!”と、はやる気持ちをおさえながら、滝まで登る。
まぎれもなく大滝だ。
モクボ谷には不動滝という名の滝があるというが、どの滝が該当するのか知らない。 名前をつけるならば、この滝にしてほしい、そのくらい立派な滝だ。
落差は15Mくらいあるだろう。 もう、この滝を見れて十分、少し戻ったところで飯とビールで乾杯だ。
写真を撮りながら、尾根にあがって行くと、驚くことに、その上にはさらに滝が続いている。 見えるだけでも3段30Mくらいありそう。
もう、その先はわからない。 上段は幅広のようだ。

滝の全体像を撮り終わり、尾根を回りこんで、本流の方に進む。
ここでハプニングが起きた。
降りるのにロープを取り出そうとしたとき、カメラがポロンと落ちた。 急斜面をすごい勢いで転がりながら落ちていく。
どこか木の根で止まれ、と思ったが、あっという間に見えなくなった。
あわてて、カメラを探しながら、ロープを使って降りて行く。 下も急なため、カメラが途中に止まっている形跡はない。 最悪は谷の中、水中に没しているかもしれない。
転がって行ったとおぼしきルートを真っ直ぐ降りながら谷の方を見ると、水のわずか手前に、黒いケースに入ったカメラが見えた。
拾い上げて、損傷がないか確かめ、動作を確認、
問題なく動くようだ、これといった変形個所やダメージもないようだ。 撮影OK、再生も問題なし。
少し、前回落としたとき開いた、前面カバーが少々開きぎみになっているだけだった。
100Mくらい、落ちたようだが、ほとんど無傷というのは、非常にラッキーだった。 なにより、撮影したデータがおしゃかにならないでよかった。
ほっとした。さあ、ビールだ飯だ。
ゆっくり休憩をとり、元きた沢筋を下りにかかる。 下りは慎重に巻きながら降りる。
堰堤上の仕事道へは、割合早く降りてこられた。
大滝はあったし、カメラは無事だったし、めでたしめでたし。
前回載せられなかった西川の大滝を、最後に載せた。

車―林道終点―3段7M――二俣――大滝――本流(飯)―――林道終点――車

9:30 10:00  10:40   11:30 12:10  13:00(13:20)  14:30  14:50

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